僕は傲慢男のセフレ

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

文字の大きさ
9 / 14

二人の通じ合う気持ち※

しおりを挟む
 聞いたことのない優しい声で、僕を逃さないと耳元で囁かれた僕は固まってしまった。強引に振り向かせられて、泣濡れた僕の顔をハッとした様に見つめたタカは、馬鹿みたいに嬉しそうな顔で言った。

「…奏が好きなんだ。もしかしたら中3の頃から好きだったと思う。執行部に引き入れたのも側に置きたかったからだ。でも、他の奴らと仲良くしてる奏を見るのは嫌だった。俺だけのものにしたかったんだ。やり方は凄い間違ったし、反省もしてるけど、頼むから俺を許してくれないか。…もう、俺のこと嫌いになったか?」


 タカは話しながら段々顔を強張らせていった。流石に自分が酷いことをして来た自覚があったんだろう。僕はタカが僕の事をそんなに前から好きだった事にまずびっくりした。顔を強張らせて僕の返事を待っているタカが、何だかいつもの自信家なタカとは全然違うのが、妙に可愛く思えた。

 僕はおずおずとタカに抱きついて、背中に手を回して小さな声で言った。

「…僕もずっと前からタカが好きだよ。今も、好き。」

 頬に触れるタカの首筋の脈がドキドキとしているのが感じられて、僕はタカの気持ちを信じられた。


 すっかり恥ずかしくなった僕は何だか顔を上げられない。散々えっちな事だってして来たと言うのに、妙にドキドキしていた。すると僕をぎゅっと抱きしめていたタカが優しく僕を呼んだ。

「…かなで。こっち向いてくれ。」

 僕はタカの顔を見上げた。男らしいスッキリした眼差しと、少し肉厚な大きな唇を緩めて、タカは僕をじっと見下ろしていた。

「好きだ、かなで。」

 そう甘く名前を呼んで、僕にそっと口づけた。その柔らかで包み込む様なキスは僕の全身を震わせて、ズキズキと興奮させた。僕はしがみつく様にタカの首に手を回して、その先を強請った。


 何度もキスしてきたはずの僕たちは、今が本当のキスだったのかな。お互いの気持ちが繋がったキスは熱くて堪らなかったけれど、今までだって僕たちは同じ様な熱いキスをしていた気がする。セフレだった僕達のキスは、本当は両思いのキスだったの?

 ふいに部屋の鍵を掛ける音がして、僕はタカの腕の中でぼんやり重い瞼を開けた。目の前のタカはぎらついた眼差しで僕に言った。

「恋人の欲求不満は喜んで解消してやるけど…?」

 そういえば、この部屋に入るなりムラムラするからタカに慰めて貰いに来たって、僕が言った事を思い出した。僕は自分でも信じられない事を言ったんだと顔を熱くしながら、タカの胸に額をつけて答えた。

「ばか…。早く解消してよ。」


 ベッドに深く腰掛けたタカが、僕と繋いだ手を引っ張って自分の腿の上に僕を跨らせた。僕たちは触れるだけのキスをしながら、少し震える手でお互いの服を剥ぎ取った。目の前の逞しくてなめらかな筋肉が僕のものになったと思うと、撫でてキスするだけじゃ味わいきれない気がした。

 タカの唇が僕の首筋をなぞって胸にたどり着くと、僕の身体を引き寄せて、タカの愛撫のせいで少し育った胸のてっぺんを舌で舐めてつついた。僕は呻きながら、もっと強く吸ってとタカに甘えた。


 じゅっとタカに吸われるとビリビリと痺れが股間に走って、僕は思わず腰を揺らした。すっかり高まった僕自身とタカの重々しいそれが服越しに触れて、僕たちはまるで申し合わせた様に擦り付け合った。ああ、逝きそう!

 僕がそう言ったのか、そう考えただけなのか、僕はベッドに横倒しにされて乱暴に下着ごと脱がされていた。膝立ちになったタカがスエットと下着を引き下げて、猛り切った自分のモノをゆっくり手で何度か扱きながら、僕に尋ねた。


「…準備は?」

 僕はクスッと笑ってタカに手を伸ばして言った。

「準備しておけって言ったよね?」

 するとタカは急に困った表情で僕に覆いかぶさって、優しくキスして言った。

「あんまり虐めないでくれ。反省してるから。」

 僕はタカの目の中に僕への情熱が籠っているのを見つめながら笑って言った。

「僕を喜ばせてくれたら許してあげるよ。」







しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

【完結】抱っこからはじまる恋

  *  ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。 ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります。 YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら! 完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

氷の支配者と偽りのベータ。過労で倒れたら冷徹上司(銀狼)に拾われ、極上の溺愛生活が始まりました。

水凪しおん
BL
オメガであることを隠し、メガバンクで身を粉にして働く、水瀬湊。 ※この作品には、性的描写の表現が含まれています。18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。 過労と理不尽な扱いで、心身ともに限界を迎えた夜、彼を救ったのは、冷徹で知られる超エリートα、橘蓮だった。 「君はもう、頑張らなくていい」 ――それは、運命の番との出会い。 圧倒的な庇護と、独占欲に戸惑いながらも、湊の凍てついた心は、次第に溶かされていく。 理不尽な会社への華麗なる逆転劇と、極上に甘いオメガバース・オフィスラブ!

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

姫を拐ったはずが勇者を拐ってしまった魔王

ミクリ21
BL
姫が拐われた! ……と思って慌てた皆は、姫が無事なのをみて安心する。 しかし、魔王は確かに誰かを拐っていった。 誰が拐われたのかを調べる皆。 一方魔王は? 「姫じゃなくて勇者なんだが」 「え?」 姫を拐ったはずが、勇者を拐ったのだった!?

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

処理中です...