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遅れてきた初恋

鷺沼と向き合う先には

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久しぶりに目の前にした鷺沼は、少しやつれた顔をしていた。あの遊び人風の雰囲気は影を潜めて、そこには少しタレ目の優しげな目をした、いつの間にか大人びた鷺沼がいた。

俺は鷺沼に言われた通り、緊張しながら自分から近寄ると、少し広げた腕の中へ身体を添わせて鷺沼を抱き締めた。今まで、こんな風に抱き合うだけってなかったかもしれない。


俺は黙ったままの、でも俺の背中に回した鷺沼の手に安心して囁いた。

「…俺、鷺沼とばっかり比べちゃってさ。それで気づいたんだ。鷺沼のこと、好きなんだって。メッセージ送った時も衝動的だったし、電話した時も何言って良いのか分からなくて、正直困った。

この俺が言葉に詰まるとか、あり得ないんだけど。…でもお前、ずっと俺を甘やかしてくれてたんだな。ありがと。」


俺たちの身長差は10cmも無いけれど、鷺沼の首筋のドクドクと速い脈を感じて、俺は鷺沼の首に手を伸ばしてそっと唇を合わせた。少し緊張感のあるそれは、妙な感じだった。

今まで散々してきたキスは、情欲のそれだった。そして、俺から鷺沼にキスしたのは初めてだと気がついた。それに自分からするキスがこんなに不安を感じるとは知らなかった。


相手からキスされる時は、自分が欲しがられてるって優位に感じるけど、自分からだと自分が無防備になる感じがして…。でも鷺沼が俺に返してくれるキスで、そんな心細さはあっという間に霧散してしまった。

ほんと、こいつ俺を甘やかすよ。俺はゆっくりと、探り合うように唇をついばむ鷺沼の甘やかなキスに、どんどん居た堪れなくなった。


俺は顔を背けて鷺沼に言った。

「…そんなキスされたら、恥ずいだろ。」

さっきから黙っていた鷺沼が、聞いた事のない甘い口調で俺に言った。

「…涼介、こっち向いて。」

俺が渋々鷺沼の顔を見上げると、鷺沼は蕩けるような表情で俺を見つめて囁いた。


「俺、嬉しくて死にそう…。涼介のそんなデレた顔、堪んない。」

俺は恥ずかしさがピークに達して、鷺沼の腕の中から逃れようとしたけど、鷺沼は何処に隠し持っていたのか俺を馬鹿力でグッと抱きしめると貪るように口づけた。

俺の口内を犯すような、情熱を感じるそれは、今までも何度となく感じてきたそれと一緒だった。ああ、鷺沼はずっと俺を愛してくれてたんだな、俺はそう感じて、鷺沼の与えてくれる情熱に無防備に溺れた。




~お知らせ~

明日7:30に新作投稿開始いたします♪
 馬に転生した大学生のBLですwよろしくお願いします♡
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