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ロングコートの後ろ姿 (お題…ロングコート/こっそり手繋ぎ)
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見覚えのあるロングコートの後ろ姿に、思わず走り寄って腕に抱きついた。
「慎ちゃん!今帰り?」
そう言って僕が仰ぎ見た相手は、慎ちゃんじゃなかった。僕は慌てて腕から手を離して、謝った。
「すみません!凄く似てたから間違えてしまって。」
すると、驚いた表情をしていた男の人は、僕と目を合わせると優しく微笑んで言った。
「…ごめんね、慎ちゃんじゃなくって。」
僕は目を逸らすことが出来なくて、囚われた様な気分で答えた。
「…いいんです。馬鹿兄貴なんてどうでも。」
見慣れたロングコートと、癖のある歩き方の後ろ姿に、僕はクスッと笑って後ろから早足で近づいた。そして、ポケットに手を突っ込んでいる理人さんの手に、重ねる様に自分の手をコートのポケットに入れて言った。
「理人さん!お帰りなさい。」
すると、僕を一目惚れさせたあの眼差しと微笑みで、理人さんは僕を見つめて言った。
「ただいま、祐樹。あ、お帰りもかな?」
そう言って、ポケットの中で僕の手をぎゅっと握った。僕が理人さんを兄さんと勘違いしたあの夜から、ひと月も掛からないうちに、僕と理人さんは一緒の部屋に帰るまでの関係になった。
あまりにも早く進んだ関係だったけれど、僕には戸惑いが全然無かった。それは今感じるお互いの手の温かさが、溶け合う様に感じるくらい自然なことだった。僕は何だか切なくてなって理人さんに言った。
「あの時、理人さんがこのロングコート着ていてくれたから、僕たち出会えたんだね。それって何だか不思議に思えるよ、僕。」
僕がそう言うと、理人さんは僕をじっと見つめて、少し甘さを感じる声で言った。
「祐樹が私を見つけてくれたお陰だよ。ありがとう、大好きだよ。」
「慎ちゃん!今帰り?」
そう言って僕が仰ぎ見た相手は、慎ちゃんじゃなかった。僕は慌てて腕から手を離して、謝った。
「すみません!凄く似てたから間違えてしまって。」
すると、驚いた表情をしていた男の人は、僕と目を合わせると優しく微笑んで言った。
「…ごめんね、慎ちゃんじゃなくって。」
僕は目を逸らすことが出来なくて、囚われた様な気分で答えた。
「…いいんです。馬鹿兄貴なんてどうでも。」
見慣れたロングコートと、癖のある歩き方の後ろ姿に、僕はクスッと笑って後ろから早足で近づいた。そして、ポケットに手を突っ込んでいる理人さんの手に、重ねる様に自分の手をコートのポケットに入れて言った。
「理人さん!お帰りなさい。」
すると、僕を一目惚れさせたあの眼差しと微笑みで、理人さんは僕を見つめて言った。
「ただいま、祐樹。あ、お帰りもかな?」
そう言って、ポケットの中で僕の手をぎゅっと握った。僕が理人さんを兄さんと勘違いしたあの夜から、ひと月も掛からないうちに、僕と理人さんは一緒の部屋に帰るまでの関係になった。
あまりにも早く進んだ関係だったけれど、僕には戸惑いが全然無かった。それは今感じるお互いの手の温かさが、溶け合う様に感じるくらい自然なことだった。僕は何だか切なくてなって理人さんに言った。
「あの時、理人さんがこのロングコート着ていてくれたから、僕たち出会えたんだね。それって何だか不思議に思えるよ、僕。」
僕がそう言うと、理人さんは僕をじっと見つめて、少し甘さを感じる声で言った。
「祐樹が私を見つけてくれたお陰だよ。ありがとう、大好きだよ。」
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