コプラのTwitter1分小説 まとめ

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

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秘めた気持ち (お題…壁ドン/兄弟)

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『ゆう兄、待って!』

そう言って、膨れつらをしていた、あの可愛いかった弟が僕に壁ドンしている。見たことの無い険しい顔をしていて、僕は動揺を隠して尋ねた。

「トモ、あの、僕、何か怒らせる様な事しちゃった?」

すると、ますます眉を顰めて呟いた。

「家を出て、片桐って奴とシェアハウスするって聞いたんだけど、本当なのか?」


なぜかトモに言えなかったその事がバレてしまったのかと、僕は気まずい気持ちで視線を逸らした。

「…ああ、その事。まだ決定したわけじゃ無いけど、お互い大学も通い易くなるし、節約になるからそうしようかって話にはなった。」

トモは急に俯いて何かぶつぶつ言った。

「はぁ、やっぱ無理。あいつ絶対狙ってんだろ。…なぁ、最近俺の事避けてるよね。何で?俺が連れ子だって知ってたから?」


僕はいきなりトモが核心を突いたことに、心臓がバクバクしてきた。トモは僕が6歳の頃に、我が家に今の母さんと共にやって来た、義理の弟だ。当時3歳だったトモは、僕の希望で本物の兄弟として、呆れられるくらい仲良く一緒に育って来た。

でもトモは、中学に上がる頃には僕と口を利かなくなった。理由は分からなかったけれど、それでも僕はトモが可愛かったから、いつか僕と以前の様に仲良く話してくれる事を願っていた。


でも、それも限界だった。僕はトモから逃げ出すつもりだった。僕の心の奥に潜む、トモを大好きだと感じる邪な気持ちが苦しくて、事情を知っている片桐を巻き込んで協力を頼んだんだ。

それなのにトモは僕より高い目線から見下ろして、僕とは全然似ていない、切長の鋭い眼差しで僕を睨みつけて言った。


「…悠が俺を見る時の眼差しが変わったのはいつからか、分かってる?2年前?俺を焦がれる様に見つめるから、居た堪れなかったよ。」


僕は言葉を失った。僕がトモを兄弟以上の気持ちで見てしまった事が、バレていた事に絶望した。僕は声を震わせて声を絞り出した。


「ごめん。本当ごめん。もう、家出るから。迷惑かけないから。」

すると、急にトモは甘い声を出して言った。


「何で?悠が家から出る方が迷惑なんだけど。俺から逃げる事ないでしょ。せっかく悠が遅ればせながら、俺の事意識してくれたってのに。

…悠も馬鹿だよね。俺の方が悠を好きになったの、ずっと早かったのに、全然気づかないんだから。

ま、良いや。悠はさ、俺が来年大学進学する時に、俺と一緒にシェアハウスするんだから、勝手な事しちゃダメじゃん?」


そう言って、にっこり笑うトモの笑顔は、僕を呑み込む様な迫力があって、僕は思わず呟いていた。


「トモ…。僕の事好きって…、ほんとう?」


トモは嬉しげに、僕の唇に息を感じるくらい、自分の唇を近づけて言った。


「悠の事は誰にもやらないよ。俺のものだ。この家で出会った時からね?」








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