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包囲網
招待状
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ガブリエルが綺麗な封筒を眉を顰めて眺めている。さっき執事から受け取ったものだ。セバスチャンがそんなガブリエルを促して言った。
「ガブリエル様、封を開けて読んで下さい。ギーク侯爵家のアルフレッド様からのものですから、無視はできません。」
ガブリエルが渋々封を開けて読むと、可愛い顔を顰めてちらりと僕を見下ろした。僕は気づかないふりをしながら、その先を予測してため息をついた。
揺れる馬車の中で、ケニーが運び入れた衣装を身につけながら、僕はガブリエルに言った。
「ガブリエル、しょうがないでしょ?流石にギーク侯爵家のご招待を断るのは、難しいですって。」
僕は滑らかなブラウスを身につけながら、見たことの無い服のボタンを留めた。
「それよりこのブラウスはどうしたの?ケニーが用意してくれたの?」
僕がそう尋ねると、さっきからこちらを見ないようにしていたケニーが少し顔を赤らめて言った。
「アルフレッド様です。運河に飛び込んだ時に一着ダメにしてしまったからと、ジュシアさんに招待状と一緒に贈られてきました。セバスチャンが留守でしたので、私が受け取りました。」
そう言うケニーに微笑みかけながら、セバスチャンが留守で良かったと胸を撫で下ろした。ケニーはセバスチャンも僕がジュニの人型だと知っていると思っているけど、あんなの嘘っぱちだから、セバスチャンが受け取ったら、ブラウスに困惑しただろう。
僕はまったく綱渡りの生活だなとため息をつきながら、ガブリエルを見つめた。ガブリエルはそんな僕に、足の先を揺らしながら口を尖らせた。
「でもね、アルフレッド様がこんなに辛抱出来ないなんて、ちょっと僕意外だったよ。ジュニの体調を考えたら、もう少し誘うのを待っててくれても良かったと思わない?それかいっそ、誘わないとか。」
僕はガブリエルの隣に座ってこめかみに唇を押し当てると、この可愛いご主人様の膨れっつらを突っついた。
「ほら、機嫌を直して、ガブリエル。アルフレッドだって、ガブリエルが楽しめるからって招待してくれたんだから。」
僕がそう言うと、ガブリエルは唇を歪めて言った。
「勿論、子守りのジュシア付きの僕を招待してくれたのさ。ご親切にもね?」
僕はガブリエルが、子供らしい独占欲を僕に出してくれるのが嬉しくてぎゅっと抱きしめて言った。
「僕はガブリエルと侯爵家とっておきの場所で遊べるのを凄く楽しみにしてるんだよ。ああ、ビショップも連れてきたかったね?」
腕の中でチラッと僕を見上げたガブリエルは、まだ少し頬が膨れていたけれど、さっきよりは機嫌が良くなったみたいだ。
「…しょうがないな。ジュニがそんなに遊びたいなら付き合ってあげるよ。」
僕はにっこり笑って、綺麗な緑色の瞳を覗き込んで言った。
「ありがとう、ガブリエル。さすが僕のご主人様は優しいね。」
「ガブリエル様、封を開けて読んで下さい。ギーク侯爵家のアルフレッド様からのものですから、無視はできません。」
ガブリエルが渋々封を開けて読むと、可愛い顔を顰めてちらりと僕を見下ろした。僕は気づかないふりをしながら、その先を予測してため息をついた。
揺れる馬車の中で、ケニーが運び入れた衣装を身につけながら、僕はガブリエルに言った。
「ガブリエル、しょうがないでしょ?流石にギーク侯爵家のご招待を断るのは、難しいですって。」
僕は滑らかなブラウスを身につけながら、見たことの無い服のボタンを留めた。
「それよりこのブラウスはどうしたの?ケニーが用意してくれたの?」
僕がそう尋ねると、さっきからこちらを見ないようにしていたケニーが少し顔を赤らめて言った。
「アルフレッド様です。運河に飛び込んだ時に一着ダメにしてしまったからと、ジュシアさんに招待状と一緒に贈られてきました。セバスチャンが留守でしたので、私が受け取りました。」
そう言うケニーに微笑みかけながら、セバスチャンが留守で良かったと胸を撫で下ろした。ケニーはセバスチャンも僕がジュニの人型だと知っていると思っているけど、あんなの嘘っぱちだから、セバスチャンが受け取ったら、ブラウスに困惑しただろう。
僕はまったく綱渡りの生活だなとため息をつきながら、ガブリエルを見つめた。ガブリエルはそんな僕に、足の先を揺らしながら口を尖らせた。
「でもね、アルフレッド様がこんなに辛抱出来ないなんて、ちょっと僕意外だったよ。ジュニの体調を考えたら、もう少し誘うのを待っててくれても良かったと思わない?それかいっそ、誘わないとか。」
僕はガブリエルの隣に座ってこめかみに唇を押し当てると、この可愛いご主人様の膨れっつらを突っついた。
「ほら、機嫌を直して、ガブリエル。アルフレッドだって、ガブリエルが楽しめるからって招待してくれたんだから。」
僕がそう言うと、ガブリエルは唇を歪めて言った。
「勿論、子守りのジュシア付きの僕を招待してくれたのさ。ご親切にもね?」
僕はガブリエルが、子供らしい独占欲を僕に出してくれるのが嬉しくてぎゅっと抱きしめて言った。
「僕はガブリエルと侯爵家とっておきの場所で遊べるのを凄く楽しみにしてるんだよ。ああ、ビショップも連れてきたかったね?」
腕の中でチラッと僕を見上げたガブリエルは、まだ少し頬が膨れていたけれど、さっきよりは機嫌が良くなったみたいだ。
「…しょうがないな。ジュニがそんなに遊びたいなら付き合ってあげるよ。」
僕はにっこり笑って、綺麗な緑色の瞳を覗き込んで言った。
「ありがとう、ガブリエル。さすが僕のご主人様は優しいね。」
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