86 / 148
二重生活
ルークsideガブリエルが言う事には
しおりを挟む
「ガブリエル、今日もジュシアは留守なのか?」
丁度家庭教師の所から戻って来たガブリエルに尋ねると、ガブリエルは私をチラリと見て言った。
「ご機嫌よう、兄上。久しぶりですね。帰ってくるなり、ジュニの事ですか?僕が勉強している間だけですから、お昼には戻って来ますよ。そもそもジュニの主人は僕ですからね?」
取り付く島も無いガブリエルに苦笑すると、談話室で執事見習いが準備させた紅茶とクッキーを前に、ため息をついてソファへドカリと座った。
「ガブリエルは知っているか?ジュシアの仕事は大繁盛だぞ?希望者が多いのに、中々予約が取れないせいで、ますます人気なんだ。皮肉だな?」
するとガブリエルがクッキーをポリポリ食べ終わると言った。
「もちろんジュニの才能もあるけど、そればかりじゃ無いよね。結局あの雰囲気、陽気さに引き込まれてお客さんは気分良く買い物して、お店側も沢山買ってもらえて、両サイドから引くてあまたなんだから。」
そこまで言って、ガブリエルはクスッと思い出し笑いをして私を見た。
「この間なんて、ジュシアとしてこの城に来たんだよ。僕吹き出すのを堪えるのが本当に無理で。僕が母上に頼んだんだけどね。ケニーがあんまり挙動不審だったから、僕バレるかと思ってヒヤヒヤしちゃたよ。」
「でもジュシアは、客先に行かないって言ってなかったか?」
私はそう言うと、ガブリエルは瞳をキラリと光らせて言った。
「もちろん、僕のところに来るために方針を変えたんだよ。初等学院の貴族令息のみ客先へ伺うって。第一の顧客が僕って訳。お陰で母上は王都で評判のジュシアを一番に客先で迎えることが出来て大喜びなんだから。いつも一緒にご飯食べてるのにね?」
そう言ってクスクス笑った。私はジュシアが何を置いてもガブリエルを一番に考える事に内心面白く無かった。でも私には秘策があった。ジュシアは時々王都の自分の住まいに泊まる事がある。私は今度の騎士団配属の暁には、一緒に夜の王都へ繰り出すのも悪く無いかと思ったんだ。
そう考えていると、丁度ケインがジュニを抱っこしてやって来た。ジュシアは相変わらず、ケインの部屋で着替えを済ませているみたいだ。ケインは女性しか趣向が無いので、その点は心配していないけれど、そのうち誰かにバレるんじゃ無いかとハラハラしているのは私だけだろうか。
もしジュニの正体がバレたら、父上は彼を追い出すだろうか。今や、ジュシアは王都で仕事も住まいもある。マケロン伯爵家に戻ってくる理由はないのだ。…決してバレないようにしなければ。
キュー、キュー鳴きながら、ガブリエルの足元に縋り付くと、抱っこしてもらってご機嫌にクッキーを口に押し込むジュニを眺めながら、私は複雑な気持ちで彼らを眺めた。
しかし、ジュニは全然痩せないな。
丁度家庭教師の所から戻って来たガブリエルに尋ねると、ガブリエルは私をチラリと見て言った。
「ご機嫌よう、兄上。久しぶりですね。帰ってくるなり、ジュニの事ですか?僕が勉強している間だけですから、お昼には戻って来ますよ。そもそもジュニの主人は僕ですからね?」
取り付く島も無いガブリエルに苦笑すると、談話室で執事見習いが準備させた紅茶とクッキーを前に、ため息をついてソファへドカリと座った。
「ガブリエルは知っているか?ジュシアの仕事は大繁盛だぞ?希望者が多いのに、中々予約が取れないせいで、ますます人気なんだ。皮肉だな?」
するとガブリエルがクッキーをポリポリ食べ終わると言った。
「もちろんジュニの才能もあるけど、そればかりじゃ無いよね。結局あの雰囲気、陽気さに引き込まれてお客さんは気分良く買い物して、お店側も沢山買ってもらえて、両サイドから引くてあまたなんだから。」
そこまで言って、ガブリエルはクスッと思い出し笑いをして私を見た。
「この間なんて、ジュシアとしてこの城に来たんだよ。僕吹き出すのを堪えるのが本当に無理で。僕が母上に頼んだんだけどね。ケニーがあんまり挙動不審だったから、僕バレるかと思ってヒヤヒヤしちゃたよ。」
「でもジュシアは、客先に行かないって言ってなかったか?」
私はそう言うと、ガブリエルは瞳をキラリと光らせて言った。
「もちろん、僕のところに来るために方針を変えたんだよ。初等学院の貴族令息のみ客先へ伺うって。第一の顧客が僕って訳。お陰で母上は王都で評判のジュシアを一番に客先で迎えることが出来て大喜びなんだから。いつも一緒にご飯食べてるのにね?」
そう言ってクスクス笑った。私はジュシアが何を置いてもガブリエルを一番に考える事に内心面白く無かった。でも私には秘策があった。ジュシアは時々王都の自分の住まいに泊まる事がある。私は今度の騎士団配属の暁には、一緒に夜の王都へ繰り出すのも悪く無いかと思ったんだ。
そう考えていると、丁度ケインがジュニを抱っこしてやって来た。ジュシアは相変わらず、ケインの部屋で着替えを済ませているみたいだ。ケインは女性しか趣向が無いので、その点は心配していないけれど、そのうち誰かにバレるんじゃ無いかとハラハラしているのは私だけだろうか。
もしジュニの正体がバレたら、父上は彼を追い出すだろうか。今や、ジュシアは王都で仕事も住まいもある。マケロン伯爵家に戻ってくる理由はないのだ。…決してバレないようにしなければ。
キュー、キュー鳴きながら、ガブリエルの足元に縋り付くと、抱っこしてもらってご機嫌にクッキーを口に押し込むジュニを眺めながら、私は複雑な気持ちで彼らを眺めた。
しかし、ジュニは全然痩せないな。
49
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されて森に捨てられたら、フェンリルの長に一目惚れされたよ
ミクリ21 (新)
BL
婚約破棄されて森に捨てられてしまったバジル・ハラルド。
バジルはフェンリルの長ルディガー・シュヴァに一目惚れされて、フェンリルの村で暮らすことになった。
愛され少年と嫌われ少年
透
BL
美しい容姿と高い魔力を持ち、誰からも愛される公爵令息のアシェル。アシェルは王子の不興を買ったことで、「顔を焼く」という重い刑罰を受けることになってしまった。
顔を焼かれる苦痛と恐怖に絶叫した次の瞬間、アシェルはまったく別の場所で別人になっていた。それは同じクラスの少年、顔に大きな痣がある、醜い嫌われ者のノクスだった。
元に戻る方法はわからない。戻れたとしても焼かれた顔は醜い。さらにアシェルはノクスになったことで、自分が顔しか愛されていなかった現実を知ってしまう…。
【嫌われ少年の幼馴染(騎士団所属)×愛され少年】
※本作はムーンライトノベルズでも公開しています。
生まれ変わったら知ってるモブだった
マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。
貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。
毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。
この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。
その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。
その瞬間に思い出したんだ。
僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。
転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
わからないから、教えて ―恋知らずの天才魔術師は秀才教師に執着中
月灯
BL
【本編完結済・番外編更新中】魔術学院の真面目な新米教師・アーサーには秘密がある。かつての同級生、いまは天才魔術師として名を馳せるジルベルトに抱かれていることだ。
……なぜジルベルトは僕なんかを相手に?
疑問は募るが、ジルベルトに想いを寄せるアーサーは、いまの関係を失いたくないあまり踏み込めずにいた。
しかしこの頃、ジルベルトの様子がどうもおかしいようで……。
気持ちに無自覚な執着攻め×真面目片想い受け
イラストはキューさん(@kyu_manase3)に描いていただきました!
嘘はいっていない
コーヤダーイ
BL
討伐対象である魔族、夢魔と人の間に生まれた男の子サキは、半分の血が魔族ということを秘密にしている。しかしサキにはもうひとつ、転生者という誰にも言えない秘密があった。
バレたら色々面倒そうだから、一生ひっそりと地味に生きていく予定である。
【完結】あなたのいない、この異世界で。
Mhiro
BL
「……僕、大人になったよ。だから……もう、───いいよね?」
最愛の人に先立たれて3年。今だ悲しみから立ち直れず、耐えられなくなった結(ゆい)はその生涯を終えようとする。しかし、次に目が覚めたのは、生命を見守る大樹がそびえ立つ異世界だった。
そこで亡き恋人の面影を持つ青年・ルークと出会う。
亡き恋人への想いを抱えながらも、優しく寄り添ってくれるルークに少しずつ惹かれていく結。そんなある日、ある出来事をきっかけに、彼から想いを告げられる。
「忘れる必要なんてない。誰かを想うユイを、俺はまるごと受け止めたい」
ルークの告白を受け入れ、幸せな日々を送る結だったが、それは突然終わりを迎える。
彼が成人を迎えたら一緒に村を出ようと約束を交わし、旅立つ準備を進めていた矢先、結は別の女性と口づけを交わすルークの姿を目撃してしまう。
悲しみの中で立ち止まっていた心が、異世界での出会いをきっかけに再び動き出す、救済の物語。
※センシティブな表現のある回は「*」が付いてますので、閲覧にはご注意ください。
ストーリーはゆっくり展開していきます。ご興味のある方は、ぜひご覧ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる