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番外編〜12年後のガブリエルと僕
朝のおはよう
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「おはよう、ジュニ。よく眠れたかい?」
湯浴みから戻って来たガブリエルはそう言って僕を覗き込んだ。僕は目をパチパチしながら昨夜の事を思い出していた。昨夜は、そう、何もなかった。ガブリエルは僕に手を出さなかった。
流石に発情期でもないのに自分からガブリエルを襲うのは躊躇われて、結局僕はどうしたら良いかヤキモキしているうちに眠ってしまったみたいだ。
そして気が付けば目の前に爽やかな顔をしたガブリエルが微笑んでいる。ベッドに座ったガブリエルが僕を見下ろしながら、そっと僕の額に口づけた。
それはまるで昔僕がガブリエルにしていた事を思い出して、懐かしくもあり、もどかしい気分にもなった。ガブリエルは僕をどうしたいんだろう。
確かに僕の後見人になってくれたら嬉しいけど…。僕の望みはそれだけだろうか。僕は自分の気持ちが揺れるのを感じて、思わず目を閉じて僕をじっと見つめるガブリエルの視線から逃げた。
「さぁ、ジュニ起きて。…これからお客さんが来るから、悪いけど帰って欲しいんだ。湯浴み場に適当に衣装を用意しておいたからそれを着たら良いよ。」
そうガブリエルが言うから、僕は目を開けて言った。
「…そうなの?ごめん、直ぐに起きて着替えるから。」
僕がそう言って慌ててベッドから降りると、肌けたガウンが脱げ掛かった。僕は自分のあられも無い格好に思わずハッとして緊張したけれど、ガブリエルは意に返さずに立ち上がって、キッチンで何か作業をし始めた。お茶でも淹れてくれるのかもしれない。
僕はなぜか胸の痛みを感じながらサッと湯浴みすると、ガブリエルが用意してくれた衣装を身につけた。用意されていた新しい下着は、最近流行りの紐でサイズ調整出来るものだった。
とはいえ、ガブリエルが履くには明らかにサイズが合わない気がして、これから来るだろうお客さん用に用意してあったものかもしれないと思って、僕は気持ちが落ちていくのを感じた。
ガブリエルのシャツは大きくて袖を折らないと着られなかったけれど、昨日履いていたズボンは皺を伸ばしてあって、あまつさえ良い匂いさえしていた。僕はシャツの上からベルトをして何とか体裁を整えると、ガブリエルの待つ部屋へ戻った。
香りの良いお茶の側には、香ばしい匂いのパンと果実のジャムが皿の上に乗っていた。
「毎朝近所のパン屋から届くんだ。ジュニはパンが好きでしょ?ここのパン屋は評判が良いよ?」
そう言ってにっこり微笑むガブリエルに、さっき感じたお客さんへの嫉妬をまたもや感じた。きっとそのお客さんも、こうしてもてなすに違いない。
僕は自分でもうまく笑えない気がして、目を伏せてお茶を口にした。暖かくて美味しいはずのお茶は、妙に苦い気がした。
湯浴みから戻って来たガブリエルはそう言って僕を覗き込んだ。僕は目をパチパチしながら昨夜の事を思い出していた。昨夜は、そう、何もなかった。ガブリエルは僕に手を出さなかった。
流石に発情期でもないのに自分からガブリエルを襲うのは躊躇われて、結局僕はどうしたら良いかヤキモキしているうちに眠ってしまったみたいだ。
そして気が付けば目の前に爽やかな顔をしたガブリエルが微笑んでいる。ベッドに座ったガブリエルが僕を見下ろしながら、そっと僕の額に口づけた。
それはまるで昔僕がガブリエルにしていた事を思い出して、懐かしくもあり、もどかしい気分にもなった。ガブリエルは僕をどうしたいんだろう。
確かに僕の後見人になってくれたら嬉しいけど…。僕の望みはそれだけだろうか。僕は自分の気持ちが揺れるのを感じて、思わず目を閉じて僕をじっと見つめるガブリエルの視線から逃げた。
「さぁ、ジュニ起きて。…これからお客さんが来るから、悪いけど帰って欲しいんだ。湯浴み場に適当に衣装を用意しておいたからそれを着たら良いよ。」
そうガブリエルが言うから、僕は目を開けて言った。
「…そうなの?ごめん、直ぐに起きて着替えるから。」
僕がそう言って慌ててベッドから降りると、肌けたガウンが脱げ掛かった。僕は自分のあられも無い格好に思わずハッとして緊張したけれど、ガブリエルは意に返さずに立ち上がって、キッチンで何か作業をし始めた。お茶でも淹れてくれるのかもしれない。
僕はなぜか胸の痛みを感じながらサッと湯浴みすると、ガブリエルが用意してくれた衣装を身につけた。用意されていた新しい下着は、最近流行りの紐でサイズ調整出来るものだった。
とはいえ、ガブリエルが履くには明らかにサイズが合わない気がして、これから来るだろうお客さん用に用意してあったものかもしれないと思って、僕は気持ちが落ちていくのを感じた。
ガブリエルのシャツは大きくて袖を折らないと着られなかったけれど、昨日履いていたズボンは皺を伸ばしてあって、あまつさえ良い匂いさえしていた。僕はシャツの上からベルトをして何とか体裁を整えると、ガブリエルの待つ部屋へ戻った。
香りの良いお茶の側には、香ばしい匂いのパンと果実のジャムが皿の上に乗っていた。
「毎朝近所のパン屋から届くんだ。ジュニはパンが好きでしょ?ここのパン屋は評判が良いよ?」
そう言ってにっこり微笑むガブリエルに、さっき感じたお客さんへの嫉妬をまたもや感じた。きっとそのお客さんも、こうしてもてなすに違いない。
僕は自分でもうまく笑えない気がして、目を伏せてお茶を口にした。暖かくて美味しいはずのお茶は、妙に苦い気がした。
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