11 / 28
選択
貴婦人のやっかみ
しおりを挟む
私は相変わらず夜会に参加しているものの、自分のこれまでの社交界への不参加のお仕置きを受けているのも同然だった。と言うのも、令嬢達と面識がない事が、これ程までに身の置き所が無い事になるとは思わなかったからだ。
頼みの綱のダミアン様は、ちょこちょこと姿を消して貴族の男達のサロンへと入り浸る。私もそうしたいところだけど、女性用のサロンに行ったら、嫉妬めいた当て擦りが酷くて懲りたので、辛抱強く夜会会場で強張った微笑みを浮かべているしかないわ。
勿論声を掛けてくれる方は多いけれど殿方ばかりで、令嬢達は私をジロジロ見るだけで声など掛けて下さらない。はぁ、疲れるわ。
家のゴタゴタで、学生の途中で領地に籠ってしまったせいもあるけれど、私って友達が1人も居なかったのかしら。自分の不甲斐なさに項垂れていると、側に誰か立つのに気が付いた。
「クレア様、ご一緒しても宜しいかしら。」
目の前には少し年上の貴婦人が私を扇の向こうから見つめていた。…どなたかしら。直接名前を伺う事も失礼な気がして、私は自分から名前を名乗った。
「エリスク伯爵家長女、クレアでございます。あの…。」
目が覚める様な、まるで侯爵家に咲いていた赤い薔薇を思わせるドレスを見事に着こなした貴婦人は、大きな蠱惑的な眼差しで私をじっと見つめて言った。
「あら、ごめんなさいね。私はグレンジャー伯爵夫人ですわ。とは言っても、ここだけの話好きな様にさせて貰っていますのよ?」
そう言って意味深に周囲を見回した。好きな様に?一体どう言う事なんだろう。貴族の仄めかしなど分からない私は、戸惑いながらはっきり返事を返す事も出来ないでいた。
そんな私をじっと見つめた、20代後半に思われるグレンジャー伯爵夫人は、面白そうに囁いた。
「ダミアンが新参のご令嬢を夜会に連れ回していると聞いて、是非お会いしたいと思っていたの。…想像とは違ったわ。今まで連れて来るお相手といえば、押し付けられた何も分からない若いご令嬢か、私の様な道理の分かっている都合の良い相手でしたのに。
彼、本気になったのかしら。ふふ、それはそれで寂しいですわ。ダミアンはほら、あの通り文句のつけようもない爵位をお持ちで遊び上手な方ですもの。引くて数多でしたからね?」
これは…、私を動揺させようとしているのかしら。それとも親切心で色々教えてくれているのかしら。その前にダミアンと呼ぶくらいだから、彼とは昔馴染みなのかしら。私は一体どう立ち回って良いのか判断に迷っていた。
そんな黙りこくった私を見て気が済んだのか、グレンジャー伯爵夫人は機嫌良さげに私の前から立ち去ろうとしていた。けれど、丁度向こうからダミアンが真っ直ぐに私達の方に向かってやって来た。
「丁度ヴォクシー閣下がこちらにいらっしゃいます。是非ご紹介させて下さい。」
そう言うと、私を見て少し眉を顰めた貴婦人は、美しい微笑みを浮かべるとその顔のままダミアンに振り向いた。けれどもダミアンは貴婦人の前を素通りして、私に果実酒のグラスを渡すと、軽い音を立てて触れ合わせると美味しそうに飲み干した。
私はグレンジャー伯爵夫人の顔が歪むのを眺めながら、慌ててダミアンに声を掛けた。
「ダミアン様、こちらグレンジャー伯爵夫人ですわ。一人寂しくしていた私に声を掛けて頂き、色々教えて下さったんですの。」
するとダミアンは、ようやく辛抱強く待っていたグレンジャー伯爵夫人の方に振り向いて言った。
「…グレンジャー伯爵夫人。ご機嫌はいかがですかな。最近伯爵とはお会いしてませんが…。」
すると伯爵夫人はダミアンのグラスを持った腕に、しなやかな仕草で真っ赤な手袋に包まれた指先を掛けると、甘えるように囁いた。
「伯爵は相変わらず領地で狩りに勤しんでますわ。私は生臭いのは好きじゃありませんの。ですからお友達とこうして気晴らしに勤しんでいると言うところですわ。
ダミアン様も私の気晴らしに是非付き合って頂きたいわ。お誘いしても宜しいかしら。ね、クレア様。」
事情の分からない私には何も言えることは無かったけれど、ダミアンの纏う空気がひんやりと感じられる気がして、私は出番かも知れないと覚悟を決めた。
「ダミアン様、こんなお美しい貴婦人とご一緒されたら、…私妬けてしまいますわ。」
そう緊張で強張った声で言うと、ダミアンは私ににっこり笑いかけて、グラスを受け取って近くのテーブルに置くと、私の手を腕に掛けてグレンジャー伯爵夫人に言った。
「私のクレアが妬きますからね、残念ですが他を当たって下さい。クレア彼方に紹介したい人が居るんだ。」
強張った顔のグレンジャー伯爵夫人を置き去りに、私達はゆっくりと歩き出した。
「…あれで良かったのかしら。」
私がダミアンの顔を見上げると、ダミアンはすっかり機嫌を直して私の耳元で囁いた。
「ああ、助かった。あの夫人は若い頃の記憶に囚われている様子だったな。グレンジャー伯爵もお可哀想に。」
私はダミアンの言葉を聞きながら、この目の前の華やかな夜会の中で一体どれだけの人が本当の幸せを感じているのだろうと思ってしまった。でもそれは結局自分自身にも降りかかって来る質問だわ。
「正解だった様で嬉しいですわ。でも私、声を掛けられて正直嬉しかったんですの。家のゴタゴタで、私は友人の一人も作ることなく大人になってしまったのだと気づいてしまったのですから。
普段は感じませんけど、こう言う時にその事が身に沁みますわ。」
するとダミアンが私の腰に手を回して、真珠色の手袋の先に唇を寄せて言った。
「君に丁度良いお相手を紹介しようと思っていたんだ。」
そうして連れてこられて引き会わされたのは、小さい頃にお会いしたことのあるグラント伯爵夫妻だった。
「クレア、エリスク伯爵とは仲の良いグラント伯爵だが、覚えているかい?グラント伯爵夫妻、こちらはエリスク伯爵の愛娘のクレアですよ。」
私は思わず綻ぶ笑顔で頷いて、優しく微笑むグラント伯爵夫妻に礼をとった。
「ええ、まだ小さな少女の頃に何度かご一緒した事がありますもの。グラント伯爵、伯爵夫人、お久しぶりでございます。その節は大変お世話になりました。父もお元気そうなお二人にお会いしたと聞けば、とても喜ぶと思いますわ。」
そう言うと、グラント伯爵夫人は私の手を両手で握って声を詰まらせて言った。
「ええ、貴方のお母様譲りの美しいお顔を見られて、嬉しさに本当に息が止まるかと思いましたわ。お母様は本当に残念な事でしたけど、こうして貴女が立派な淑女になられたのですもの、エリスク伯爵もどんなにお喜びでしょう。
今度是非我が家のサロンに遊びに来て下さいな。貴女のためになる貴婦人方をご紹介いたしますわ。」
まるで亡きお母様の様な温かな対応を夫人にされて、私もまたさっきまでの心細さからの反動でお礼の言葉も声が震えてしまった。嬉しさと動揺してしまった恥ずかしさに、私の側で腰に手を回したダミアンを見上げて震える声で囁いた。
「…いやだわ、私ったら。少女の様に泣いたりして。」
そんな私をダミアンはじっと見下ろすと、グラント伯爵夫妻にひと言断って、人混みの中を掻き分けて私をどこかへ連れ出した。ガーデンテラスに出ると、沢山のランタンに照らされて幻想的な光景が広がっていた。
「…ここなら好きなだけ泣けるだろう?」
そう言われてしまえば私の感情は決壊して、私の頬を止めどなく涙がこぼれ落ちた。
頼みの綱のダミアン様は、ちょこちょこと姿を消して貴族の男達のサロンへと入り浸る。私もそうしたいところだけど、女性用のサロンに行ったら、嫉妬めいた当て擦りが酷くて懲りたので、辛抱強く夜会会場で強張った微笑みを浮かべているしかないわ。
勿論声を掛けてくれる方は多いけれど殿方ばかりで、令嬢達は私をジロジロ見るだけで声など掛けて下さらない。はぁ、疲れるわ。
家のゴタゴタで、学生の途中で領地に籠ってしまったせいもあるけれど、私って友達が1人も居なかったのかしら。自分の不甲斐なさに項垂れていると、側に誰か立つのに気が付いた。
「クレア様、ご一緒しても宜しいかしら。」
目の前には少し年上の貴婦人が私を扇の向こうから見つめていた。…どなたかしら。直接名前を伺う事も失礼な気がして、私は自分から名前を名乗った。
「エリスク伯爵家長女、クレアでございます。あの…。」
目が覚める様な、まるで侯爵家に咲いていた赤い薔薇を思わせるドレスを見事に着こなした貴婦人は、大きな蠱惑的な眼差しで私をじっと見つめて言った。
「あら、ごめんなさいね。私はグレンジャー伯爵夫人ですわ。とは言っても、ここだけの話好きな様にさせて貰っていますのよ?」
そう言って意味深に周囲を見回した。好きな様に?一体どう言う事なんだろう。貴族の仄めかしなど分からない私は、戸惑いながらはっきり返事を返す事も出来ないでいた。
そんな私をじっと見つめた、20代後半に思われるグレンジャー伯爵夫人は、面白そうに囁いた。
「ダミアンが新参のご令嬢を夜会に連れ回していると聞いて、是非お会いしたいと思っていたの。…想像とは違ったわ。今まで連れて来るお相手といえば、押し付けられた何も分からない若いご令嬢か、私の様な道理の分かっている都合の良い相手でしたのに。
彼、本気になったのかしら。ふふ、それはそれで寂しいですわ。ダミアンはほら、あの通り文句のつけようもない爵位をお持ちで遊び上手な方ですもの。引くて数多でしたからね?」
これは…、私を動揺させようとしているのかしら。それとも親切心で色々教えてくれているのかしら。その前にダミアンと呼ぶくらいだから、彼とは昔馴染みなのかしら。私は一体どう立ち回って良いのか判断に迷っていた。
そんな黙りこくった私を見て気が済んだのか、グレンジャー伯爵夫人は機嫌良さげに私の前から立ち去ろうとしていた。けれど、丁度向こうからダミアンが真っ直ぐに私達の方に向かってやって来た。
「丁度ヴォクシー閣下がこちらにいらっしゃいます。是非ご紹介させて下さい。」
そう言うと、私を見て少し眉を顰めた貴婦人は、美しい微笑みを浮かべるとその顔のままダミアンに振り向いた。けれどもダミアンは貴婦人の前を素通りして、私に果実酒のグラスを渡すと、軽い音を立てて触れ合わせると美味しそうに飲み干した。
私はグレンジャー伯爵夫人の顔が歪むのを眺めながら、慌ててダミアンに声を掛けた。
「ダミアン様、こちらグレンジャー伯爵夫人ですわ。一人寂しくしていた私に声を掛けて頂き、色々教えて下さったんですの。」
するとダミアンは、ようやく辛抱強く待っていたグレンジャー伯爵夫人の方に振り向いて言った。
「…グレンジャー伯爵夫人。ご機嫌はいかがですかな。最近伯爵とはお会いしてませんが…。」
すると伯爵夫人はダミアンのグラスを持った腕に、しなやかな仕草で真っ赤な手袋に包まれた指先を掛けると、甘えるように囁いた。
「伯爵は相変わらず領地で狩りに勤しんでますわ。私は生臭いのは好きじゃありませんの。ですからお友達とこうして気晴らしに勤しんでいると言うところですわ。
ダミアン様も私の気晴らしに是非付き合って頂きたいわ。お誘いしても宜しいかしら。ね、クレア様。」
事情の分からない私には何も言えることは無かったけれど、ダミアンの纏う空気がひんやりと感じられる気がして、私は出番かも知れないと覚悟を決めた。
「ダミアン様、こんなお美しい貴婦人とご一緒されたら、…私妬けてしまいますわ。」
そう緊張で強張った声で言うと、ダミアンは私ににっこり笑いかけて、グラスを受け取って近くのテーブルに置くと、私の手を腕に掛けてグレンジャー伯爵夫人に言った。
「私のクレアが妬きますからね、残念ですが他を当たって下さい。クレア彼方に紹介したい人が居るんだ。」
強張った顔のグレンジャー伯爵夫人を置き去りに、私達はゆっくりと歩き出した。
「…あれで良かったのかしら。」
私がダミアンの顔を見上げると、ダミアンはすっかり機嫌を直して私の耳元で囁いた。
「ああ、助かった。あの夫人は若い頃の記憶に囚われている様子だったな。グレンジャー伯爵もお可哀想に。」
私はダミアンの言葉を聞きながら、この目の前の華やかな夜会の中で一体どれだけの人が本当の幸せを感じているのだろうと思ってしまった。でもそれは結局自分自身にも降りかかって来る質問だわ。
「正解だった様で嬉しいですわ。でも私、声を掛けられて正直嬉しかったんですの。家のゴタゴタで、私は友人の一人も作ることなく大人になってしまったのだと気づいてしまったのですから。
普段は感じませんけど、こう言う時にその事が身に沁みますわ。」
するとダミアンが私の腰に手を回して、真珠色の手袋の先に唇を寄せて言った。
「君に丁度良いお相手を紹介しようと思っていたんだ。」
そうして連れてこられて引き会わされたのは、小さい頃にお会いしたことのあるグラント伯爵夫妻だった。
「クレア、エリスク伯爵とは仲の良いグラント伯爵だが、覚えているかい?グラント伯爵夫妻、こちらはエリスク伯爵の愛娘のクレアですよ。」
私は思わず綻ぶ笑顔で頷いて、優しく微笑むグラント伯爵夫妻に礼をとった。
「ええ、まだ小さな少女の頃に何度かご一緒した事がありますもの。グラント伯爵、伯爵夫人、お久しぶりでございます。その節は大変お世話になりました。父もお元気そうなお二人にお会いしたと聞けば、とても喜ぶと思いますわ。」
そう言うと、グラント伯爵夫人は私の手を両手で握って声を詰まらせて言った。
「ええ、貴方のお母様譲りの美しいお顔を見られて、嬉しさに本当に息が止まるかと思いましたわ。お母様は本当に残念な事でしたけど、こうして貴女が立派な淑女になられたのですもの、エリスク伯爵もどんなにお喜びでしょう。
今度是非我が家のサロンに遊びに来て下さいな。貴女のためになる貴婦人方をご紹介いたしますわ。」
まるで亡きお母様の様な温かな対応を夫人にされて、私もまたさっきまでの心細さからの反動でお礼の言葉も声が震えてしまった。嬉しさと動揺してしまった恥ずかしさに、私の側で腰に手を回したダミアンを見上げて震える声で囁いた。
「…いやだわ、私ったら。少女の様に泣いたりして。」
そんな私をダミアンはじっと見下ろすと、グラント伯爵夫妻にひと言断って、人混みの中を掻き分けて私をどこかへ連れ出した。ガーデンテラスに出ると、沢山のランタンに照らされて幻想的な光景が広がっていた。
「…ここなら好きなだけ泣けるだろう?」
そう言われてしまえば私の感情は決壊して、私の頬を止めどなく涙がこぼれ落ちた。
111
あなたにおすすめの小説
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる
マチバリ
恋愛
貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。
数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。
書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。
勘違い妻は騎士隊長に愛される。
更紗
恋愛
政略結婚後、退屈な毎日を送っていたレオノーラの前に現れた、旦那様の元カノ。
ああ なるほど、身分違いの恋で引き裂かれたから別れてくれと。よっしゃそんなら離婚して人生軌道修正いたしましょう!とばかりに勢い込んで旦那様に離縁を勧めてみたところ――
あれ?何か怒ってる?
私が一体何をした…っ!?なお話。
有り難い事に書籍化の運びとなりました。これもひとえに読んで下さった方々のお蔭です。本当に有難うございます。
※本編完結後、脇役キャラの外伝を連載しています。本編自体は終わっているので、その都度完結表示になっております。ご了承下さい。
完結(R18 詰んだ。2番目の夫を迎えたら、資金0で放り出されました。
にじくす まさしよ
恋愛
R18。合わないと思われた方はバックお願いします
結婚して3年。「子供はまだいいよね」と、夫と仲睦まじく暮らしていた。
ふたり以上の夫を持つこの国で、「愛する夫だけがいい」と、ふたり目以降の夫を持たなかった主人公。そんなある日、夫から外聞が悪いから新たな夫を迎えるよう説得され、父たちの命もあり、渋々二度目の結婚をすることに。
その3ヶ月後、一番目の夫からいきなり離婚を突きつけられ、着の身着のまま家を出された。
これは、愛する夫から裏切られ、幾ばくかの慰謝料もなく持参金も返してもらえなかった無一文ポジティブ主人公の、自由で気ままな物語。
俯瞰視点あり。
仕返しあり。シリアスはありますがヒロインが切り替えが早く前向きなので、あまり落ち込まないかと。ハッピーエンド。
男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました
春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。
名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。
誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。
ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、
あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。
「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」
「……もう限界だ」
私は知らなかった。
宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて――
ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
結婚式に代理出席したら花嫁になっちゃいました
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
美希は平日派遣の事務仕事をしているが、暇な土日に便利屋のバイトをしている。ある日、結婚式の友人の代理出席をする予定で式場にいたのに!?
本編は完結してますが、色々描き足りなかったので、第2章も書いています。
唯一の味方だった婚約者に裏切られ失意の底で顔も知らぬ相手に身を任せた結果溺愛されました
ララ
恋愛
侯爵家の嫡女として生まれた私は恵まれていた。優しい両親や信頼できる使用人、領民たちに囲まれて。
けれどその幸せは唐突に終わる。
両親が死んでから何もかもが変わってしまった。
叔父を名乗る家族に騙され、奪われた。
今では使用人以下の生活を強いられている。そんな中で唯一の味方だった婚約者にまで裏切られる。
どうして?ーーどうしてこんなことに‥‥??
もう嫌ーー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる