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貴婦人の招待
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屋敷の侍女や家令達の様子が何だかおかしい。顔を見合わせてニマニマ。そして私に何か聞きたげにしながらも、聞いてはこないのだから。色々勘違いされている気もするけれど、詳しい事は言えないのだから、私は苦笑するしか無かった。
私は連日の夜会で、流石にバテてしまっていた。昨夜の夜会でダミアンにしばらく行かなくて良いだろうとお許しが出たので、久しぶりにのんびりした時間を過ごしていた。
安い茶葉も、侍女のメアリが丁寧に淹れてくれれば美味しくなる。いつも魔法のように感じる気持ちで、カップから喉にコクリと流し込むと、この家では経験の無い芳醇な香りが一気に鼻を抜けた。
私が驚いて顔を上げると、メアリはイタズラな表情で私に言った。
「ヴォクシー侯爵が夜会でお疲れなクレアお嬢様へと、珍しいお茶や嗜好品、果物などを差し入れてくださったのですよ。本当にヴォクシー侯爵はお嬢様の事を大事にお思いでございます。私共も侯爵のお気持ちが本当に嬉しくて、想像したことのない喜ばしい毎日です。」
そう言えばもっと食べ物を食べた方が良いと言われた事を思い出して、喜んでいるメアリには申し訳ないけれど、これも一種の契約のひとつかもしれないと思った。
でも美味しいお茶は、疲れた身体を癒してくれるわ。そう思いながら、私はお気に入りの温室を見回した。腕の良いケニーは温室も昔から居心地の良い空間にしてくれている。
お父様が王宮勤めだった頃に集めていた、珍しい植物もほとんど売り払って残ってはいないけれど、ひとつだけ私が気に入っていた、紫の可愛らしい小花が垂れ下がって咲く植木鉢を残してくれた。
高台に置かれた、丁度咲き誇る濃い紫の花が視界に入って、私は知らず微笑んでいた。この季節になると必ず咲くこの花は、私たちがどんな状況だろうと関係なく、己の宿命を繰り返していくのだわ。
それは恐ろしい勢いで周囲の状況が変化した私には羨ましいような、とは言え手を掛けなければあっという間に枯れてしまうと言う意味では、誰かに依存しなければ成り立たない野生とは違う箱入りの花の儚さを思った。
『君は理性的とは程遠い』とダミアンが私を評価したけれど、確かに私は誰かに依存して儚く消えていく様な令嬢ではないかもしれない。でもダミアンに会う前は、自分からそうなろうとしていたのだと、背筋がゾッとした。
あえて思い出さないようにしているダミアンとの慰めの口づけは、あれから二度ほどの夜会の時にも、お互いその件には言及しないようにしている。言及したとして、一体何て言えば良いのかしら。…素敵でしたとか?
慰めの口づけ以上に問題なのは、ダミアンの硬くなってしまったアレだわ。私もバカみたいな事を言ってしまって、流石に侍女のメアリにも相談することも出来ないわ。
教育によれば、殿方は得てして外的刺激でそうなりがちという話だったし、ダミアンがそうなったのも慰めの口づけが思わず興に乗ってしまったせいかもしれないわね?もう口づけはしないように気をつけましょう。
この秘密の契約は色々な新しい経験を連れてくる。それは私の辛かった時期を払拭するほどの目まぐるしい日々の始まりだったし、結果的に伯爵家のためにも役立っている。私は夏になる前に王都へ悲壮な決心で上京したあの頃をすっかり遠い日々に感じ始めていた。
そんな私の所へ、両親のお友達のグラント伯爵夫人からお茶会の招待状が届いた。私は夜会で親しみを示してくれた伯爵夫人が早速お仲間に紹介して下さるのだと、喜びに顔を綻ばした。
「メアリ、グラント伯爵夫人からお茶会のお誘いを受けたわ。あまり日がないのだけど、手土産は何を持っていけば良いかしら。グラント伯爵家は伯爵家の中では上位のお家柄ですもの、ありきたりの物しか用意できない私は肩身が狭いわね…。」
そうため息をつくと、メアリは少し考えていたけれど、ハッとして目を輝かせた。
「お嬢様、お嬢様にはとっておきの特技があるじゃないですか。」
そう言って、メアリは私の手芸小箱を持って来た。小箱には好きで作った細々としたものが入っている。その中のひとつ、真珠色の艶のある布で作った立体的な刺繍を施した小さな入れ物をメアリは取り出した。
私が自分の好きに作った割に仕上がりが美しくて気に入っているものだ。メアリが言うにはその布製の小箱の蓋の裏側に、グラント伯爵夫人のイニシャルを刺繍した布を縫い付けて差し上げたらどうかと言う。
「…こんな私の手遊びのものを差し上げるのはどうかしら。」
するとメアリは最近この様な凝った小箱が王都で人気なのだと教えてくれた。中に香りを付けた美しい石を入れて部屋に飾るのだそうだ。
私が早速伯爵夫人のイニシャルを刺繍すると、メアリが丁寧に縫い付けてくれた。伯爵夫人は我が家が困窮しているのを良くご存じなのだし、下手にお金をかけて手土産を用意してもきっと気を遣うばかりだろう。喜んで下さると良いけれど…。
「まぁ、何て素敵な小箱。王都の店でもこんなに凝った素敵なものは見かけませんわ。クレア様ありがとう。まぁ、貴女が作られたの?何て嬉しい驚きでしょう。こんなに心のこもった贈り物は久しぶりだわ。
皆様、こちらが以前お話ししたエリスク伯爵家のクレア様ですわ。見てちょうだいな、この素敵な贈り物を。」
グラント伯爵夫人が素直に喜んで下さったのを見て、私はホッとして息を吐いた。やはりこの貴婦人のお茶会の様なものに参加するのは初めてだったので酷く緊張する。
「貴方のお母様の事は私も良く覚えてますわ。本当に明るく楽しい方でしたもの。運命には翻弄されたかもしれませんけど、愛を貫いた方でもいらっしゃるわ。」
そう他の貴婦人が声を掛けてくださったのを皮切りに、貴婦人達が私に優しく色々な話をして下さった。夜会での注意すべき貴婦人の話などはこんな場所でないと聞けない話だった。
弾ける様な笑いと共に話が尽きる頃、グラント伯爵夫人が私に尋ねた。
「そう言えば、ヴォクシー閣下との馴れ初めをお尋ねしてなかったわね?私達にだけ、こっそり教えてくださらない?」
クスクス笑う貴婦人方に、私はなんて言うべきか迷ってしまった。そう言えばこんな時はどう言うべきかはダミアンと打ち合わせしてなかったわ。
「…あの、ここだけの話にして下さいね。わたくし領地に篭っていましたので、実はヴォクシー閣下の事を存じ上げなかったんです。ただ、ヴォクシー閣下の管理する孤児院閉鎖の話をお聞きして、どうしても放って置けなくて直談判に伺ったんです。
そこで初めてヴォクシー閣下にお会いしたんですわ。それが馴れ初め…でしょうか。」
途端に貴婦人方が色めきたって、まるで運命の出会いだとか、ヴォクシー閣下を知らないなんて事が有るのかと驚かれたりと、お茶会一番の盛り上がりだった。
「まぁ、本当にロマンチックなお話しだわ。ヴォクシー閣下も貴女の事ばかりエスコートして、本気なのではないかともっぱらの噂ですもの。まぁ無粋な冷やかしはこれくらいにして、クレア様にはもっと貴族界を楽しんで頂きたいわ。またご一緒いたしましょうね。」
そう優しく楽しげなグラント伯爵夫人に言われて、私はにっこりと微笑んだ。
ダミアンとの嘘の関係をここまで貴婦人の皆さんに楽しんでもらうと、少々罪悪感さえ感じるけれど本当のことは話せない。私はそれでもこうして母を知る親切な貴婦人方と顔見知りになれた事に、喜びを噛み締めていた。
私は連日の夜会で、流石にバテてしまっていた。昨夜の夜会でダミアンにしばらく行かなくて良いだろうとお許しが出たので、久しぶりにのんびりした時間を過ごしていた。
安い茶葉も、侍女のメアリが丁寧に淹れてくれれば美味しくなる。いつも魔法のように感じる気持ちで、カップから喉にコクリと流し込むと、この家では経験の無い芳醇な香りが一気に鼻を抜けた。
私が驚いて顔を上げると、メアリはイタズラな表情で私に言った。
「ヴォクシー侯爵が夜会でお疲れなクレアお嬢様へと、珍しいお茶や嗜好品、果物などを差し入れてくださったのですよ。本当にヴォクシー侯爵はお嬢様の事を大事にお思いでございます。私共も侯爵のお気持ちが本当に嬉しくて、想像したことのない喜ばしい毎日です。」
そう言えばもっと食べ物を食べた方が良いと言われた事を思い出して、喜んでいるメアリには申し訳ないけれど、これも一種の契約のひとつかもしれないと思った。
でも美味しいお茶は、疲れた身体を癒してくれるわ。そう思いながら、私はお気に入りの温室を見回した。腕の良いケニーは温室も昔から居心地の良い空間にしてくれている。
お父様が王宮勤めだった頃に集めていた、珍しい植物もほとんど売り払って残ってはいないけれど、ひとつだけ私が気に入っていた、紫の可愛らしい小花が垂れ下がって咲く植木鉢を残してくれた。
高台に置かれた、丁度咲き誇る濃い紫の花が視界に入って、私は知らず微笑んでいた。この季節になると必ず咲くこの花は、私たちがどんな状況だろうと関係なく、己の宿命を繰り返していくのだわ。
それは恐ろしい勢いで周囲の状況が変化した私には羨ましいような、とは言え手を掛けなければあっという間に枯れてしまうと言う意味では、誰かに依存しなければ成り立たない野生とは違う箱入りの花の儚さを思った。
『君は理性的とは程遠い』とダミアンが私を評価したけれど、確かに私は誰かに依存して儚く消えていく様な令嬢ではないかもしれない。でもダミアンに会う前は、自分からそうなろうとしていたのだと、背筋がゾッとした。
あえて思い出さないようにしているダミアンとの慰めの口づけは、あれから二度ほどの夜会の時にも、お互いその件には言及しないようにしている。言及したとして、一体何て言えば良いのかしら。…素敵でしたとか?
慰めの口づけ以上に問題なのは、ダミアンの硬くなってしまったアレだわ。私もバカみたいな事を言ってしまって、流石に侍女のメアリにも相談することも出来ないわ。
教育によれば、殿方は得てして外的刺激でそうなりがちという話だったし、ダミアンがそうなったのも慰めの口づけが思わず興に乗ってしまったせいかもしれないわね?もう口づけはしないように気をつけましょう。
この秘密の契約は色々な新しい経験を連れてくる。それは私の辛かった時期を払拭するほどの目まぐるしい日々の始まりだったし、結果的に伯爵家のためにも役立っている。私は夏になる前に王都へ悲壮な決心で上京したあの頃をすっかり遠い日々に感じ始めていた。
そんな私の所へ、両親のお友達のグラント伯爵夫人からお茶会の招待状が届いた。私は夜会で親しみを示してくれた伯爵夫人が早速お仲間に紹介して下さるのだと、喜びに顔を綻ばした。
「メアリ、グラント伯爵夫人からお茶会のお誘いを受けたわ。あまり日がないのだけど、手土産は何を持っていけば良いかしら。グラント伯爵家は伯爵家の中では上位のお家柄ですもの、ありきたりの物しか用意できない私は肩身が狭いわね…。」
そうため息をつくと、メアリは少し考えていたけれど、ハッとして目を輝かせた。
「お嬢様、お嬢様にはとっておきの特技があるじゃないですか。」
そう言って、メアリは私の手芸小箱を持って来た。小箱には好きで作った細々としたものが入っている。その中のひとつ、真珠色の艶のある布で作った立体的な刺繍を施した小さな入れ物をメアリは取り出した。
私が自分の好きに作った割に仕上がりが美しくて気に入っているものだ。メアリが言うにはその布製の小箱の蓋の裏側に、グラント伯爵夫人のイニシャルを刺繍した布を縫い付けて差し上げたらどうかと言う。
「…こんな私の手遊びのものを差し上げるのはどうかしら。」
するとメアリは最近この様な凝った小箱が王都で人気なのだと教えてくれた。中に香りを付けた美しい石を入れて部屋に飾るのだそうだ。
私が早速伯爵夫人のイニシャルを刺繍すると、メアリが丁寧に縫い付けてくれた。伯爵夫人は我が家が困窮しているのを良くご存じなのだし、下手にお金をかけて手土産を用意してもきっと気を遣うばかりだろう。喜んで下さると良いけれど…。
「まぁ、何て素敵な小箱。王都の店でもこんなに凝った素敵なものは見かけませんわ。クレア様ありがとう。まぁ、貴女が作られたの?何て嬉しい驚きでしょう。こんなに心のこもった贈り物は久しぶりだわ。
皆様、こちらが以前お話ししたエリスク伯爵家のクレア様ですわ。見てちょうだいな、この素敵な贈り物を。」
グラント伯爵夫人が素直に喜んで下さったのを見て、私はホッとして息を吐いた。やはりこの貴婦人のお茶会の様なものに参加するのは初めてだったので酷く緊張する。
「貴方のお母様の事は私も良く覚えてますわ。本当に明るく楽しい方でしたもの。運命には翻弄されたかもしれませんけど、愛を貫いた方でもいらっしゃるわ。」
そう他の貴婦人が声を掛けてくださったのを皮切りに、貴婦人達が私に優しく色々な話をして下さった。夜会での注意すべき貴婦人の話などはこんな場所でないと聞けない話だった。
弾ける様な笑いと共に話が尽きる頃、グラント伯爵夫人が私に尋ねた。
「そう言えば、ヴォクシー閣下との馴れ初めをお尋ねしてなかったわね?私達にだけ、こっそり教えてくださらない?」
クスクス笑う貴婦人方に、私はなんて言うべきか迷ってしまった。そう言えばこんな時はどう言うべきかはダミアンと打ち合わせしてなかったわ。
「…あの、ここだけの話にして下さいね。わたくし領地に篭っていましたので、実はヴォクシー閣下の事を存じ上げなかったんです。ただ、ヴォクシー閣下の管理する孤児院閉鎖の話をお聞きして、どうしても放って置けなくて直談判に伺ったんです。
そこで初めてヴォクシー閣下にお会いしたんですわ。それが馴れ初め…でしょうか。」
途端に貴婦人方が色めきたって、まるで運命の出会いだとか、ヴォクシー閣下を知らないなんて事が有るのかと驚かれたりと、お茶会一番の盛り上がりだった。
「まぁ、本当にロマンチックなお話しだわ。ヴォクシー閣下も貴女の事ばかりエスコートして、本気なのではないかともっぱらの噂ですもの。まぁ無粋な冷やかしはこれくらいにして、クレア様にはもっと貴族界を楽しんで頂きたいわ。またご一緒いたしましょうね。」
そう優しく楽しげなグラント伯爵夫人に言われて、私はにっこりと微笑んだ。
ダミアンとの嘘の関係をここまで貴婦人の皆さんに楽しんでもらうと、少々罪悪感さえ感じるけれど本当のことは話せない。私はそれでもこうして母を知る親切な貴婦人方と顔見知りになれた事に、喜びを噛み締めていた。
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