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雪豹として
俺の出生の秘密
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俺は父親が俺の様に女を愛せない性癖だと、最初に聞いてからの違和感の答えを目の前に掲示されて動揺してしまった。母さんは言うなれば父親にとってかけがえのない友人だったんだと理解した。でもそれと、父親の子供を産むという事には飛躍がある気がする。
俺は父親が自分の預かり知らぬところで子供が産まれていたことを知ってからどうしたのか気になった。
「それで、俺の父親?はどうしたのさ?」
母さんは少し暗い顔をして言った。
「凄く怒ってた。それも当然ね。私が勝手なことをしたのは本当だし。
でも、怒った理由の1番は子供の側に居られないことだった。雪豹として目立ちすぎるせいで、彼は子供を危険に晒すことを恐れたのね。私が強硬手段で産んでしまった事に関しては、守護者も絡んでいた事もあって、君ならそれくらいやるってわかってた気がするって言われたわ。
それからあの人の庇護のもと、私はシングルマザーとして美玲を育てた。美玲は雪豹じゃなくても、私と同じ黒豹で、黒豹の一族には父親が誰なのか分からなくても、両手を上げて歓迎された。雪弥も知ってるでしょう?あの親戚たちを。高校卒業以来疎遠になって居た私の両親も、自分たちの孫だもの可愛がってたわ。
なぜか父親についてはほとんど聞かれなかった。もしかしたら薄々気付いていたかもしれないわね。私が一人で子供を産んだ事で、幼馴染だったあの人のことが脳裏をよぎったんだと思う。
それから美玲が手を離れる頃、私は病院で保管してあるもう一本の凍結精子を使う事を決めたの。一人でこっそりとね。もしかしたら守護者は気付いていたかもしれない。それだけの力がある人だから。病院から処分すると持ち出したそれを使って私はダメ元で実行した。
そして産まれたのは、雪弥貴方よ。あんな方法で、ただでさえ妊娠しにくい黒豹で、雪弥が授かったのは奇跡に近かった。貴方を初めて抱いた時、ああまた黒豹だったと少し残念に思ったのは本当よ。でもしばらくすると、雪弥はもしかしたら雪豹かもしれないと思った。
少し銀色に煌めく黒髪。父親そっくりの瞳。でもそれに気づいたのは私だけじゃなかった。両親も。そして親戚の一人。両親はもし雪弥が雪豹だったら、生きにくくなるって幼馴染のあの人の成長期を見ててよく知っていた。そして親戚の中で目ざとい人間が雪弥の事をつけ狙い始めた。
私と両親は決意するしかなかった。私は美玲と、あの人にも内緒で授かった雪弥を、誰も知られない場所で育てる事を決めたの。」
俺は父親が自分の預かり知らぬところで子供が産まれていたことを知ってからどうしたのか気になった。
「それで、俺の父親?はどうしたのさ?」
母さんは少し暗い顔をして言った。
「凄く怒ってた。それも当然ね。私が勝手なことをしたのは本当だし。
でも、怒った理由の1番は子供の側に居られないことだった。雪豹として目立ちすぎるせいで、彼は子供を危険に晒すことを恐れたのね。私が強硬手段で産んでしまった事に関しては、守護者も絡んでいた事もあって、君ならそれくらいやるってわかってた気がするって言われたわ。
それからあの人の庇護のもと、私はシングルマザーとして美玲を育てた。美玲は雪豹じゃなくても、私と同じ黒豹で、黒豹の一族には父親が誰なのか分からなくても、両手を上げて歓迎された。雪弥も知ってるでしょう?あの親戚たちを。高校卒業以来疎遠になって居た私の両親も、自分たちの孫だもの可愛がってたわ。
なぜか父親についてはほとんど聞かれなかった。もしかしたら薄々気付いていたかもしれないわね。私が一人で子供を産んだ事で、幼馴染だったあの人のことが脳裏をよぎったんだと思う。
それから美玲が手を離れる頃、私は病院で保管してあるもう一本の凍結精子を使う事を決めたの。一人でこっそりとね。もしかしたら守護者は気付いていたかもしれない。それだけの力がある人だから。病院から処分すると持ち出したそれを使って私はダメ元で実行した。
そして産まれたのは、雪弥貴方よ。あんな方法で、ただでさえ妊娠しにくい黒豹で、雪弥が授かったのは奇跡に近かった。貴方を初めて抱いた時、ああまた黒豹だったと少し残念に思ったのは本当よ。でもしばらくすると、雪弥はもしかしたら雪豹かもしれないと思った。
少し銀色に煌めく黒髪。父親そっくりの瞳。でもそれに気づいたのは私だけじゃなかった。両親も。そして親戚の一人。両親はもし雪弥が雪豹だったら、生きにくくなるって幼馴染のあの人の成長期を見ててよく知っていた。そして親戚の中で目ざとい人間が雪弥の事をつけ狙い始めた。
私と両親は決意するしかなかった。私は美玲と、あの人にも内緒で授かった雪弥を、誰も知られない場所で育てる事を決めたの。」
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