最弱と思い込んでいる、最強の転生者。

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アレンの大冒険

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ーー  アレンの大冒険

アレンは最近、『自分は少しだけ人より強いかもしれない』と思い始めていた。

何故ならば、彼が弱い魔物と思っていたオークやオーガそれにワイバーンが、普通の人からするととても強い魔物と知ったからだ。
でもそれは普通の庶民からすると、と言う但し書きがつく。

高ランクの冒険者や騎士達にとってはそんな魔物もこどもくらいの強さなのだと思う。
そんな魔物を僕は一太刀以上かかって倒す僕は、まだそこまで強くないと思う。

などと少しだけ一般人より強いかもと自覚し始めただけでも、両親の目的が達成し始めたようでもあります。

アレンを先頭に森を進み、ポイントを経由して目的地に到着したアレン達。
「あとはここから魔物を狩りながら戻るだけだね。」
とスカリーが皆に言うと、
「どうして先生達の姿が見えないのかしら。」
エリザベスが疑問を口にする。


             ◇


その頃、森の反対側の馬車の中には引率の教師達が囚われていた。

「おい、目標の位置はわかったか?」
と言う男に魔法使いの男が
「ああ、見つけた。最終目的地からUターンし始めたようだ、待ち伏せして襲うぞ。」
と答える。

「なら俺たちも向かうか。」
と男達が武器を手に森に入ってゆく。


             ◇


帰りの行程の2分の1ほど戻ったところで、野営をすることにしたアレン達。

「ここで最後の野営をしよう。」
アレンが皆にそう言いながら、収納から野営に必要な道具を出し始める。

その様子を使い魔の鳥を通じて確認する男ら。

「今度こそしくじるわけにはいかない。俺たちの命がかかっている。」
1人の男がそういうと
「命だと!そんな話わ聞いていないぞ。俺は降りる・・クッ!」
辞めようとした男が斬られる。
「他に逃げる奴はいるか!死ぬか、報酬か、それだけだろうが!行くぞ。」
男達は決死の思いで、野営地に向かう。


「見張りは僕がしておくから、みんなは先に休んでおいで。」
アレンがそう言うとみんなはテントに入っていった。
「さてと、また来たようだ。誰か狙われている子がいるのかそれとも、教師達によるドッキリなのか?僕には分からないけど・・皆んなを守るのは僕だよ。」
そう呟くとアレンは、周辺に害意を感知する結界を広げた。
「これでわかるはずだ。」


            ◇

「テントの前にいるのはガキ1人。残りはテント内のようだ、一気にガキを始末したら残りを攫うぞ!」
と声をかけて、魔道士らが魔物を召喚する。

「グルグルグル。」
真っ黒い大型の魔犬が3体現れる。
「頭が3つ!ケルベロスか。」
男が嬉しそうにしながら
「やれー!」
と号令をかけた。

「ん!害意!」
アレンは魔法を構築しながら、飛び込んできた魔剣に対峙する。
「野良犬を放つなんて、非常識だろう!」
と言いながら、魔力で作ったロープを三頭の魔剣の首に飛ばして動きを止める。
「おいどうした?ケルベロスが動かねえじゃねえか!」
男が怒鳴るが、魔道士達も同じように動きを封じられている。

「しょうがねえ、お前ら死ぬ気であのガキを始末しろ!」
と叫びながら、アレンに襲いかかり始める。

剣を取り出したアレンは、男達の足首を切り裂いてゆく。
「痛えー。」
転げ回る男達、命令していた男も足を切られたようで動けずにいた。
アレンはその男に近づき
「おじさん達は何が目的なの?こんな子供騙しのような方法で。」
と尋ねるアレンに男は
「くそー。お前みたいな化け者が居ると知っていたら・・。」
そこまで言ったところで、男の胸に矢が刺さった!

次々に飛んでくる矢がアレン以外を殺してゆく。
アレンは弓を放つ男に向かおうとしたが、テントの皆んなを危険に晒すわけにはいかないと思いとどまった。


            ◇

「今回は失敗だ。引き上げるぞ。」
1人の男が、矢を放った男に声をかけた。
「恐ろしいガキだ。俺の矢がかすりもしなかった。」
弓を持った男がそう呟きながら、男の跡を追う。

馬車に近いた男らは、
「今回はあのガキのために、しくじりましたが次は必ず。」
と馬車に向かって頭を下げる。
「次はないと思えよ。そしてあのガキの情報をもっと集めろ。」
と言うと馬車はその場を離れた。



ーー  学園の騒ぎ


今回、教師が囚われ生徒が危険に晒された問題に学園が大きく揺れた。

「学園長!今回の責任は誰が負うのですか?」
副学園長が、学園長を糾弾する。
そう彼は次の学園長を狙っているのだ。

「そうですね副学園長、囚われた教師の選考をしたのは・・貴方だったと記憶していますが、違いましたか?」
と切り返す学園長に
「教師の選定の問題ではありあせん。生徒が狙われたことが問題でしょう。」
と問題を替えようとする副学園長。
「しかし、一年生に囚われる暴漢達に囚われた教師の存在意義はあるのですかな。」
とさらに追い打ちをかける学園長。
「それは・・とにかく、狙われた事実が問題なのです。」
と自分の非は認めず、責任を転嫁しようとする服学園長に。
「生徒が狙われるのは当然ではないですか。いずれもこの国を将来背負って立つ逸材ですよ。それを育て守るのが学園の義務です。今回のような不甲斐ない教師はクビにします良いですね。」
と集まった教師らに宣言した学園長。
今回の不甲斐ない教師らは副学園長が採用した者達ばかり、これで副学園長の芽は消えた。


           ◇

学園長執務室。

「今回の襲撃は本当、危なかったわ。オーガにケルベロスなんて、教師でも太刀打ちできる者は数人しかいない。あの子が居なければ・・・公爵にお礼を言うべきかしら。」
と呟くと手帳を出して書き込む
「収納魔法に結界、強力な魔法攻撃に剣聖並みの剣技と。あの子本当に勇者じゃないの?あまりに強すぎでしょ。」
と呟きながら学園長は遠い昔を思い出していた。


ーー アレン自分の力に少しだけ自信を持つ。


アレンはその後、スカリー達に自分の魔法や剣技を褒められて
「僕は少しはみんなの役に立てたようだ。僕って自分で思う以上に強いのかな?」
と呟いた。

混乱があった為、今回の成績は無効になったが最後までやり遂げた班はアレンたちだけだった。

その後もスカリー達に誘われて、アレンは勉強に訓練にと楽しい日々を送り出す。


              ◇

「それで、アレンの周りの子らの身元は分かったの?そのバックも含めて。」
冷たい声が報告者に降る。
アレンの母は今、非常に不機嫌である。
「アレンに女はまだ早いわ。」
と言うと思いからだ。

「しかしあの子らはアレンのクラスメイトだよ。色恋にはまだ早いだろ。」
公爵が妻を宥めるが
「貴方、それを本気で言ってますの?小娘らにはそのバックが付いているのですよ。」
と夫の呑気な答えに怒りを表す妻に、言葉を失う公爵。

「もう少し詳しく調べて報告しなさい。特にアレンに近づく者を中心に」
妻の命令に報告者らは「命に代えまして確実に。」と答えてその場を後にする。
「貴方、アレンの元にあの子を使わせます。いいですね、手続きをお願いしますわ。」
と言うと公爵夫人は、部屋を出て行った、残された侯爵は部下を呼び
「学園長に言付けを頼む。」
と一枚の手紙を託した。



ーー  アレンのメイドと侍女登場。

公爵家に昔から使える一族が存在する。
「シノビシュウ」と呼ばれる一族だ。
彼らが何時から公爵家に使え出したかさえ、誰も知らないが影の仕事をしてきた一族である。
その類稀な剣技や隠密性は、どこの貴族の屋敷内でも出入り自由で隠し事を暴き出す。

国内の高位貴族でその存在を知らぬ貴族はいないがその姿を確かめたものもいない。

「貴方達に下命します。アレンの側であの子を守りなさい。特に女や陰謀からね。」
と公爵夫人が2人の少女に命を下すと
「「必ずアレン様をお守りいたします。」」
と答えてその場から消えるように姿を消す2人。


            ◇

学園のアレンの部屋。

公爵家の跡取りだけはある、広い部屋に2人の少女が膝をつきアレンに
「アレン様、我ら2人奥様の命で今日よりアレン様の身の回りを致します。どうぞよろしくお願いします。」
と言うとアレンは
「母上から・・・よろしく頼むよ。でも特にすることはないと思うけどよろしくね。」
と答えるアレン。

その頃学園長は、
「かの一族が出てきたか。この前のことがあればしょうがないが・・・問題が起こらなければいいが。」
と不安を感じる学園長。


ーー 学園対抗剣技・魔法大会

2年に一度、周辺国の学園の生徒が集められて、剣技や魔法の技を競う大会が行われる。
今回の開催地はアレンの通う学園だ。

「選考を行う。剣技及び魔法の成績優秀者を大会に選出させる。教師は自信を持って送り出せる生徒をここに記載して学園長に提出しなさい。」
議長役の主任教師が用紙を配りながら、競技と生徒氏名の欄を書かせる。

集め終わった用紙を見ながら学園長が
「これでは選手が1人ではないか!他の者はいないのか?」
とアレン以外の生徒を選出させる学園長。

すると1人の教師が
「今回はこの学園で行われる大会。是が非でも我が学園が優勝する必要があります。そうなると彼以外は・・・。」
と言う
「そんなことは分かっているが、これでは競技にならぬ。他の者も選出させなさい。」
と言い置き学園長は席を立った。

残った教師らは、あーでもないこうーでもないと頭を悩ませて、10人の選手を揃えた。
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