異世界大冒険〜ある女性の新たな人生

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学園祭

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学園の剣武祭で優勝、その後の社交と王国貴族の話題を掻っ攫った母娘は、十分に存在を示して屋敷に帰っていた。

「お母様、社交での教えありがとうございます。流石お母様王国内の社交でのお母様の存在は憧れるものでしたわ。」
と言うと
「全て貴方のためよ。」
と教えてくれた。
愛されていると思った瞬間だった。


この後の学園の行事は、AクラスとBクラス対抗の学園祭である。
全学園のクラス別でそれ添えの専攻する競技が行われるのである。
飛び級しまくっている私は、何処で何をすればいいのかわからないので、担任の先生に尋ねに向かっているところである。


「ああ、ベティー嬢か。今回の学園祭には騎士科以外の競技であれば何処でもいいぞ。」
と言われ、私は上級生の魔法科のクラスに足を踏み入れた。

「ん!なんだ君は・・あ!君はベティー嬢だね。学園祭について此処に来たのだろう?適当に座ってくれたまえ。」
クラスの中心的な人物と思われる、青年がそう言うと椅子を一つ準備してくれた。
頭を下げながら私は、椅子に座り皆のする事を確認する。
すると学園祭の話をしていたようで、
「それでは確認するよ、学園祭では軍の運用に関する魔法の有用性を証明する。」
と言いながら今まで上がった案を確認し始めた
「一つ、物資の運搬について。二つ、野営時における完全確保について。三つ、行軍事の食事について。四つ、怪我や病気の兵士に対する対応について、だ。配った書類以外に案があれば発言してほしい。」
と言う司会の青年に私は手を上げた。
「ん!どうぞベティー嬢、意見があれば何でもいいぞ」
と言う言葉に私は立ち上がって

「先ずは、運搬についての項目ですが収納の魔法袋や重量軽減の魔法などの活用はどうでしょうか?次に安全確保については、結界魔法と気配感知の魔法が有効だと思います。最後に病気や怪我については、ポーションが有用ではないでしょうか?」
と意見を言うと

「君の言うことは我々も考えていたが、現実的に難しいために代替え案を考えている。」
と答えるので、私は頭を横に傾けて
「私が持っている魔道具がありますが、確認してもらえませんか?」
と言いながら
・自作の魔法袋(内容量~馬車1台分、馬車2台分、馬車3台分)3枚
・結界発生装置(範囲~10×10m、20×20m、30×30m)3つ
・気配感知魔道具(反応物~魔物、人、動物)1つ
・ポーション(病気用~治療薬、怪我用~回復薬)2種類
を取り出すと、先輩たちは我先にそれを確認しながら
「これは君が作ったのか?」
と聞いてきたので
「そうですよ、魔法の素養があればそこまで難しいものではにと思います。」
と答えると
「ええ!そんなはずが・・いや、教えてくれ。」
と言われてその日から私が先輩たちに講義するととになった。


ーー 魔道具は簡単に作れます


先ずは、魔法袋の作り方から講義を始めた。
「使う魔法は、空間魔法と時空魔法ですが、空間魔法だけでも作成は可能です。空間魔法は、魔力がある者が自分の周囲の空間を確認できるようになれば自然と生えてくるスキルなので、空間魔法のスキルのない方は先ず、目隠しと耳栓をしてから暫く生活をしてください。」
と言いながら目隠し用のアイマスクと耳栓を人数分取り出した。
「これをして生活すると空間魔法のスキルが身につくのですか?」
と半信半疑な先輩が尋ねるのに
「そうですよ。空間を確実に把握することが出来たらスキルが生えます。」
と答え、その日から皆に目隠し耳栓の生活を送って貰った。

最初に効果が出たのは、風の属性を持つ少女だった。
風を自分の周囲に出しながら跳ね返ってくる情報を読み取っていたのだ、すると5日目に
「先生!スキルが生えました。」
と報告に来た、そこで少女を対象に空間拡張のやり方を指導するも、魔力の量で躓いた。
「私の魔力がもう少し多くないと難しいのですね。」
しょんぼりする少女に私は、
「大丈夫です。魔力をもらえば補えることです。皆んなから魔力をこのからの魔石に貯めてもらいましょう。」
都からのやや大きめの魔石を手渡し、皆で魔石に魔力をため始めた。
その日のうちに溜められた魔石の魔力を使い1×1mの袋に空間拡張の魔法を付与すると、およそ3×3mの空間を拡張することが出来た。
「やりました、約9倍のものが入れられる魔法袋を作ることが出来ました。」
と喜び、即報告書作りを行うことになった。

残りの者で結界の魔道具作りに挑戦した。
空間魔法に強固な壁を周囲に立てる感覚で、風または土の属性を付加するのだ。
これも 発動体に魔石をつけることで意外と簡単に作成できたが、コスト的には高めになった。

これ以外は時間的な問題で、次の発表時に研究と実験を行うことになった。

「しかし今まで魔法袋は、ごく一部の高位の魔法使いが生涯に10個ほど作り残しているのがほとんどで、このように新たに作る方法があるなど誰も知らなかった。これについては秘匿するべき情報もあるので、発表には十分慎重を期そう。

5日後に学園祭が開催された。
王国の王族を始め、多くの貴族が子弟の発表や新しい研究を確認に来る、そこで将来性がある研究や人物は、スカウトされるのである。

そして魔道具作成についての発表で大騒ぎになった。
「魔法袋を学生が作っただと!容量9倍の魔法武器とと言えば、十分実践活用できる。直ぐに関係者を呼べ!」
と言い出したのは、国王と共に学園に来ていた宰相殿だった。
「陛下、この報告っ本当であれば我が王国は、他国に対して大きなアドバンテージを持つことになります。」
と興奮した話をする宰相に、国王は
「まだ興奮するのは早い、この結界の魔道具も効果を知りたい」
と近くの学生に声をかけた。

声をかけられたのは、そこで留守番をしていた私、まさか私が答えられるとは思っていなかった陛下が私の言葉に驚く。
「この結界の魔道具は、魔石の大きさでその範囲と堅牢さが変わりますが、基本的にはドラゴンブレスならば一度か二度は防げるものと考えています。」
と言う答えに
「ドラゴンブレス!嘘を言うでない、質問には正確にこたることが大切だ。」
と言われ私は、
「それでは何方か結界に攻撃魔法を打ってくださいませんか?」
と言いながら魔道具を発動した。
それを聞いて陛下はそばの警護の魔法師に
「結界を壊して力のつがいを見せなさい。」
と指示した。

警護の魔道士は、攻撃魔法が得意な者で結界に何度も攻撃魔法をぶつけるが、全く壊れる気配がなかった。
「少なくとも人の魔法攻撃は防げるようだな。それでこれはどのくらい維持できるのだ?」
と言う陛下に私は
「今の攻撃程度であれば、3日は大丈夫だと思います。範囲は50×50mで大丈夫だと思います。」
と答えると、「まさか」と言いかけたが
「その言葉がほんとうであれば、大変な発明である。」
と言うと何かを宰相に指示してその場を離れた。


その後も陛下は積極的に学生の研究や訓練の成果を確認して、視察を終えると学園長室を訪れていた。


「学園長よ、今年の学生は一味違うようだな。」
と意味深な話を振る。
「はい陛下、今年は鬼才天才の新入生がおりますのでその影響は多岐に渡っております。」
と答えると、陛下は
「先程魔法科の研究で興味深いものを見つけた、学園長はあれをどう考えるかな。」
と言う問いに
「魔法袋と結界の魔道具のことでしょう。どちらも同じ学生がその製造方法を学生に教えたものです、他国に渡ると危険と考え具体的な方法は秘匿しております。」
「流石であるな、それでその学生とは?」
「ホワイト伯爵家の天才児ですよ。」
「なるほど、剣の腕も敵うものなしの上、魔法もか。」
と言うと考え込んでいた。

学園祭は大盛況のうちに終了した、特にAクラスの魔法科の生徒には、特別に国王から表彰を受け将来の魔法局入所が約束されたのだった。

「ベティー嬢、ありがとう。これで大きな顔で実家に帰れるよ。」
とリーダーのカミューさんからお礼を言われた。


その後ホワイト伯爵は、国王に呼ばれ
「魔法袋を10枚ほど作って王国に献上してほしいができるか?」
と聞かれ
「どの魔法袋のことでしょうか?容量と機能で分かれているそうですが。」
と言う言葉に陛下は
「何、3×3mの袋ではないのか?」
と言われて伯爵は
「それは、学園祭で学生が作ったもののことであります。我が家の娘の作る魔法袋は、容量が馬車3台分が基準で時間停止の効力のあるものまであります。ただ時間停止のものは数が少ないようです。」
と答えるの陛下は、自分が考え違いしていたことに気づき改めて
「見本を出してほしい。それから再度依頼を出そう。」
と答えてその日は終わった。

屋敷に帰った伯爵は娘を呼ぶと陛下との話を聞かせた。
「お父様それでは、時間停止の魔法袋は一つだけで容量も馬車1台分にしましょう。ただの魔法袋は馬車3台分で5枚用意しましょう。」
と言う娘にその訳を聞くと
「簡単に時間経過の魔法袋を作れると思われると、便利に使われる恐れがあります。ただの魔法袋は意外にと簡単に出来ますので、5枚も渡せば後はご王国で作られるでしょう。」
と言う娘に感心していた。

7日後、魔法袋を届けたホワイト伯爵がその貢献で侯爵に陞爵されたのは、当然な話であった。
それまで王国には、そこまでの容量の魔法袋がなくしかも時間停止の機能付きの物は初めてであったからだ。

これから後、ソレイユ王国は、行軍時に荷物の運搬の制限が非常に少なくなったことから、他国に対して非常に大きな力を持つことになった。
しかも献上した魔法袋には、特別な制限がかかっており、それを知らないものは使うことが出来ない上に場所がわかるために、盗難被害も未然に防がられることになった。

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