コレは流行りの転生ですか?〜どうやら輪廻転生の方でした〜

誉雨

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本編

半魚らしいです

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「あはは!ルシー、僕は自意識過剰だったみたいだ」

いやいや、ギル兄様はまだご自分の存在価値をわかっていないと思う。
ギル兄様はそこに存在して下さるだけで、我々に幸せを運んでくれる神様だ。
もっともっと意識してもらいたい。

「あの、先程からコチラを気にしていましたよね?何かありましたか?」
「何かって、そりゃ」
「ああ!初めて見たもんでさ。伴侶をジロジロ見られて嫌だったよな」

そして、さっきからこの冒険者達は自分を見て半魚だと言ってくるのだが、自分の何処に魚要素があるというのだ。
まさかと思うが、体臭が生臭とか…。
嫌すぎる。
自分の腕を嗅いでみたがわからない。
自分の体臭が気にならないとは本当らしい。

「にいしゃま!ぼく、くちゃい!?」
「えぇ?何?ルシーの匂いは良い匂いだよ?」

どうやらギル兄様にとって不快な匂いでは無い様で安心したが今後の対策を少し考えておこう。

「マジで動いて、喋ってるぜ」
「思ったより大きいんだな」
「…あの、この子が何か?」

ギル兄様、深く突っ込んではいけません。
彼らは自分の事を半魚だと思っているのです。
魚が陸地で動いて喋ってる事が信じられないのでしょう。
良いのです。
コロポックルから始まり、人外認定は慣れています。

「お手伝い妖精のブラウニーだろ」
「マジで、見つけた時はビビったよな」

ん?チョコレートのケーキがどうしたというのだ。
いや、それよりもお手伝い妖精とはなんだ。
座敷童子の親戚か?
わからない事が多すぎる。

「まさか、あんな可愛い舞まで見せてもらえるなんて。国で自慢したらみんなこぞってココに来るだろうな」
「俺たちも拠点をここに移そうぜ」

よくわからないが彼らはお手伝い妖精の半魚が気に入ったという事だろうか。
嫌われるよりは好かれていたいので、とりあえずニコニコしながら手を振っておく。
勿論、片手はギル兄様にしがみついたままでだが。

「ギルバート、ファル君、どうしたんだい?」

ここでやっとパパが帰って来た。
ゴミを捨てに行っただけなのに遅すぎる。
その所為でギル兄様の笑顔が一時、曇っていたのだ。
ギル兄様の笑顔が失われるのは世界の損失と言っても過言では無いと思っている。

「パパ、おちょいのよぉ!」
「ごめんよ。話しかけられちゃって、これでも急いだんだよ?」

領主で騎士団長のパパがよく話しかけられるのは知っているので、そう言われてしまったらもう文句は言えない。

「父上、他国の冒険者の方々です。竜人族の事を教えてくれました。あと、ルシーの事をブラウニーだと勘違いされている様で…」
「領主様じゃないですか!息子さんが竜人とブラウニーって、前世でどんな徳を積んだんですか。羨ましいな!」

どうやら彼らはパパと顔見知りだったらしい。
楽しそうに話し出してしまった。

そして自分はお昼寝の時間に突入してしまいそうだ。
さっきの雨乞いダンスで疲れてしまい、ギル兄様に抱っこされている安心感からか目蓋が重くなってくる。

「ふふふ。ルシー、おねむだね。大丈夫だから寝ていいよ」

トントンと背中を規則的に叩かれ、ギル兄様にしがみついたままストンと眠りに落ちていった。
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