コレは流行りの転生ですか?〜どうやら輪廻転生の方でした〜

誉雨

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本編

お揃い

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昼寝から目覚めても、まだギル兄様の腕の中にいた。
寝ていたのは30分くらいで、そのままベンチで抱っこし続けてくれていた様だ。
手や足は痺れていないだろうか。

「にいしゃま」
「お目覚めだね。僕の可愛いルシー」
「ファル君、起きたんだね。そろそろシーザー達と合流しようか」

そうだった。
熊と虎を待たせていたのに、寝こけてしまった。
2匹とも待ちくたびれてしまっているだろう。

「でも、まずは水分をとろう」

果実水を飲ませてもらいながら周りを見ると、まだ横のベンチに冒険者達がいた。
まさか、ずっと自分を見ていたのだろうか。

「ブラウニーちゃんはこの後、何処に行くんですか?」
「いや、さっきも言ったけどこの子はブラウニーじゃ無いからね」

そうです。
パパにとってはコロポックルですよね。
だが、どちらも違います。
自分は人間です。

「ルシーは何処に行きたい?何か欲しい物はある?」

この恵まれた環境で、追加で欲しい物なんて思いつかない。
ギル兄様もパパも色々買ってくれるし、おもちゃは庭師のお爺ちゃん達が手作りしてくれる。
お出掛け用の服は買ってくれているし、セイバースさんの手作り着ぐるみもあるので必要を感じない。
絵本もクレヨンも買ってもらったばかりだ。

「うーん。あっ!シーちゃと、ソラちゃ、おみやげ、ほちいのぉ」

待たせているお詫びも兼ねて何か美味しいものを食べさせてあげたい。
やはり肉だろうか。

「シーザーとソラに?ルシーがあげるなら何でも喜ぶだろうけど…食べ物じゃなくてお揃いのリボンとかにする?」

テディベアの熊と、小さくなった虎の首にリボンがついていたら可愛いと思うが、自分の何処にリボンをつければよいのだろうか。
キノコ部分しか思いつかないが、自分は男児だ。
頭にリボンは正直、どうかと思ってしまう。
しかし、食べ物は無くなってしまうがリボンなら思い出として残しておける。
2匹とお揃いなのもいい。

「おちょろい!りぼん、しゅる!」
「うん。ちょうどあそこに雑貨を売ってるお店があるから見に行こうか」

ベンチからさほど離れていないお店に連れて行ってもらった。
布製品を取り扱っているお店の様で、お目当てのリボンも種類が多く迷ってしまう。
あまりヒラヒラした物は自分も使うと思うと手が出ない。
色も落ち着いた物を選んだ方がいいだろう。
目に止まったのは赤いリボンだ。
ギル兄様の瞳の赤とは違い、少し黒っぽい深みのある紅色。
これなら熊にも虎にも合うと思う。

「にいしゃま、こりぇ」
「良いのを見つけたね。ルシーにも似合う色だよ」

そして何故か4本購入した。

「僕もお揃いの仲間に入れてもらおうと思って…」

ちょっと恥ずかしそうに微笑むギル兄様、永久保存決定です。
このリボンを選んだ自分を褒めてあげたい。
ギル兄様の銀髪にとても似合うと思う。
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