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プロローグ
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彼の大きな手のひらが私の太腿をじかに撫でる。それだけでもう充分に潤ってしまうくらいに興奮していた。
「フィルギニア君……」
「はい……アナスタージウス室長……」
ああ、この硬そうな黒い髪も、気まぐれに手入れする伸びっぱなしの無精髭も、銀縁の眼鏡の奥の緑色の瞳も、好きすぎてたまらない。
まるで私の身体を芯から熱くさせるためにあるみたい。
そっと彼の胸元に手を当てると、白衣の下に意外と筋肉があるのが伝わってきて、私の鼓動をいっそう速くさせた。
こんな布に邪魔されず、直接肌を触れ合わせたい。絡み合って、混じり合ってしまいたい。
室長……アナスタージウス室長……愛してほしいだなんてわがままは言わないから、優しくしてだなんて言わないから、私を抱いてください、室長……
口づけをねだるつもりでまぶたを閉じる。言葉でおねだりするのは恥ずかしいから。
ねえ、お願い、伝わって。
あなたのことがほしいのです。あなたに壊されたって構わないから、この熱を、あなたの手で取り除いて――
*****
むにゅっと何かを押し付けられた感触で目を開けると、なんとそれは自分の二の腕だった。寝返りをしたときに潰したらしい。
ああ、私はまたあの夢を……
あんまりにも悔しくて自分の柔らかな二の腕を思いっきりチューっと吸ってやった。自分でキスマークをつけるなんてアホっぽいが、自分しか見えないところに自分の浅ましさの象徴を刻むのは悪くない気がした。
二、三日もしないで消えてくれるけど、結構増えたわね……
肌に残る赤い痕を指でそっと撫でる。こんな痕を彼に刻みつけてもらいたい――そんなことを夢見てしまう。
「アナスタージウス室長……」
愛しい人の名前を呟いて恥ずかしくなり、私は枕に顔を埋めた。存分にジタバタしておく。こんな私の姿は、おそらく誰も知らない。結婚から縁遠く、恋愛にも興味がないと思われていたから。
だれよりも私自身が、こんなにも肉慾や性欲に苛まれることになるだなんて考えてもみなかった。
……あ、やっぱり濡れてるし。
もぞもぞしているうちに違和感を覚えて、確認のために触れてみた秘部はすっかり濡れていた。夢や妄想でこうなってしまうなんて、どれほど焦がれているんだろう。
部屋に差し込む陽射しから考えるに、出社までにはまだ時間がある。彼に触れられているところを想像して、少し処理しておこうと思った。
「アナスタージウス室長……」
彼を誘うような声で名前を呼んで、私は指を動かす。
まもなく、自室にいやらしい水音が響いた。
「フィルギニア君……」
「はい……アナスタージウス室長……」
ああ、この硬そうな黒い髪も、気まぐれに手入れする伸びっぱなしの無精髭も、銀縁の眼鏡の奥の緑色の瞳も、好きすぎてたまらない。
まるで私の身体を芯から熱くさせるためにあるみたい。
そっと彼の胸元に手を当てると、白衣の下に意外と筋肉があるのが伝わってきて、私の鼓動をいっそう速くさせた。
こんな布に邪魔されず、直接肌を触れ合わせたい。絡み合って、混じり合ってしまいたい。
室長……アナスタージウス室長……愛してほしいだなんてわがままは言わないから、優しくしてだなんて言わないから、私を抱いてください、室長……
口づけをねだるつもりでまぶたを閉じる。言葉でおねだりするのは恥ずかしいから。
ねえ、お願い、伝わって。
あなたのことがほしいのです。あなたに壊されたって構わないから、この熱を、あなたの手で取り除いて――
*****
むにゅっと何かを押し付けられた感触で目を開けると、なんとそれは自分の二の腕だった。寝返りをしたときに潰したらしい。
ああ、私はまたあの夢を……
あんまりにも悔しくて自分の柔らかな二の腕を思いっきりチューっと吸ってやった。自分でキスマークをつけるなんてアホっぽいが、自分しか見えないところに自分の浅ましさの象徴を刻むのは悪くない気がした。
二、三日もしないで消えてくれるけど、結構増えたわね……
肌に残る赤い痕を指でそっと撫でる。こんな痕を彼に刻みつけてもらいたい――そんなことを夢見てしまう。
「アナスタージウス室長……」
愛しい人の名前を呟いて恥ずかしくなり、私は枕に顔を埋めた。存分にジタバタしておく。こんな私の姿は、おそらく誰も知らない。結婚から縁遠く、恋愛にも興味がないと思われていたから。
だれよりも私自身が、こんなにも肉慾や性欲に苛まれることになるだなんて考えてもみなかった。
……あ、やっぱり濡れてるし。
もぞもぞしているうちに違和感を覚えて、確認のために触れてみた秘部はすっかり濡れていた。夢や妄想でこうなってしまうなんて、どれほど焦がれているんだろう。
部屋に差し込む陽射しから考えるに、出社までにはまだ時間がある。彼に触れられているところを想像して、少し処理しておこうと思った。
「アナスタージウス室長……」
彼を誘うような声で名前を呼んで、私は指を動かす。
まもなく、自室にいやらしい水音が響いた。
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