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結婚までのエトセトラ

11.私、白い結婚をしたいの

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「……行く場所も特にないから消去法でそばにいるのかと。別に何か話しかけてくるわけじゃないですし、食事中に任務の話はしない主義だってことはわかっていたから、ホントなんでついてくるのかなって不思議でした」
「……そうか」

 ルビは視線を外して、頬杖をついた。

「そういうことなら、もう少し個人的な話をしてもよかったですかね。なんか無言で食べるのが習慣になっちゃっていましたし」
「無理に会話をすることはないさ。話したいことを話したいように話せれば良い」
「気を遣わせていたんですね」
「勝手にやっていたことだ、気にするな」

 ちょっと拗ねてる気がする。

 ――まあ、鈍いからなあ、私。感情の機微がわからないんだよね……

 魔物との戦闘が好きなのも、少人数で行動するのが好きなのも、この感覚の鈍さに左右されずに自分の能力を発揮できるからだ。

「……ふぅん」
「なんだよ」

 興味が湧いて唸ると、ルビがこちらを見た。ここぞとばかりに私は微笑む。

「それで、結婚はするつもりなんですか? 私と」
「する気がないなら、休日にこんな場所に来ないと思うが」

 呆れるような顔をした。
 私は説明する。

「断るために来たのかと。ほら、私、白い結婚をしたいので、きちんとした夫婦生活に興味がおありならフっていただいて構わないんですよ」

 律儀な彼だ。仕事の延長でここに現れてもおかしくはない。なにも告げずに欠席するような性格ではないことは、仕事で組んできたからよくわかる。
 さっさとお開きにして帰ろうかと思い提案すると、ルビは座り直して私を真っ直ぐに見つめた。真面目な顔だ。

「俺は、白い結婚で構わない」
「でも、ここで私と結婚をしたら、性生活におけるパートナーを変更できなくなってしまうんですよ、制度的に。良いんですか?」
「じゃあ、俺からも尋ねるが」

 ルビは私の鼻を指さす。

「君が望んだのは仕事を続けることなんだろう? できる限り現在と同じように誰からも干渉を受けない生活を願っているのではなかったのか?」

 この様子、どうもルビは乗り気らしい。

 ――え、本気?

 現在の仕事のパートナーであり、今後もしばらくは一緒に組むことになるだろう。
 ちなみに結婚をしたらその相手と仕事をすることになると聞いている。ルビはパートナーとして優秀なので、私はありがたいくらいではある……けれど。

「え、まあ、仕事最優先ですよ、そりゃあ。体質の都合もあるので、できる限り今までどおりだとありがたいんですが」
「ならば、俺でいいと思うが。なにかほかに問題があるなら言ってほしい」

 そう切り返されると、特に思いつかない。しばらく唸ってみたが、仕事をこのまま一緒に組むにしても異論はないわけで、嫌ではないのだ。
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