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未来を賭けた対決
オレは死ねないよ
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「――ジュン? 一葉が死んだとき、なんでオレがすぐに両親の元に行かなかったのかわかるか?」
「いきなりなんだよ?」
井上の周囲には依然として闇が広がっている。多重世界シンドロームの力が発現しているのだ。
「問いを問いで返すってことは、やっぱりわかってなかったんだな」
「なんだよ、もったいぶって」
貴家は掴んでいたナイフを地面に落とすと、かかとで後方に蹴り飛ばす。
「お前はずっと誤解していたようだが、オレは一葉とジュンと一緒にいたくてこっちに残ったんだ。それが原因で一葉が命を落としたのだとしたらやりきれない。でも、お前たちに会わなければ良かったとは思わない。今のオレがあるのは、お前たちに会っていたからだろうから。そして、今のお前を作ったのも、オレの影響が少なからずあるからだ。だからオレは、その責任を果たしたい」
真摯な態度で告げる貴家を井上は笑う。
「どうやって? 僕はあんたに、死を持って償ってもらおうって思ったんだけど? その願いを叶えてくれるの?」
「オレは死なない」
きっぱりと告げる貴家を、冷ややかな目で井上は見つめる。
「命が惜しいんだ。ふうん」
「オレは死ねないよ、ジュン」
繰り返される台詞。しかし貴家の想いは井上には届いていないようだ。井上は不敵に笑む。
「今は見逃してもいいけど、僕はまたあんたに刃を向けるよ?」
「だから、お前をそんなふうに突き動かす衝動を消し去る」
「――そうだな。貴家礼於。貴様の願い、私が叶えてやろう」
ナイフが転がっていった先で聞こえてくる声。あやめが視線を向けると、そこには霧島縁が立っていた。彼女の仕事道具である、自分の身長ほどの握り鋏を持って。
「井上純也、貴様の持つ多重世界シンドロームの力、私が断ち切ってやる」
そう宣言するなり、縁は動く。
宣言を受けた井上も素早く対処に入る。身の危険を感じたのだろう。暗い闇が井上から放出される。
「くっ……」
縁の一撃は回避されてしまう。充分な速さでの攻撃であったにもかかわらず避けきられてしまったのは、井上の能力によるものだ。偶然に起こるべき事象が井上の意志によって連続して起こっている。縁は悔しげに顔を歪めた。
(逃がしはせぬ!)
あやめは縁の補佐のために運命に干渉を始める。
井上によって捻じ曲げられた未来は今のところ彼自身の身体能力の強化にのみ当てられているようだ。そこに干渉していては力負けしてしまうため、あやめは縁の身体能力の強化に力を集中させる。
「――なぁ、あやめ?」
「は、はい?」
いきなり貴家に声を掛けられて集中が途切れる。貴家は呆気に取られたような顔をしていた。
「彼女、何者だ? オレの願いを叶えるとか言っていたが」
かなりまともな質問である。突然割り込んできた和服姿の少女が巨大な握りバサミを振り回しながら幼馴染みを攻撃している図は、すぐに受け入れられる光景ではないだろう。
「あの方はワタシの上司です。彼女に任せておけば何の心配もいりませぬ。怪我をさせることもないと思いますよ」
「いや、でも、あの巨大な刃物は充分に殺傷能力がありそうだが」
リーチの長い鋏では動きがどうしても単調になってしまう。縁の動きはその獲物の重みを感じさせないほどに洗練されていたが、運命に干渉することで強化された肉体を前に決定打とはならない。縁の顔に苛立ちが浮かぶ。
「あの鋏は運命を断ち切るためのものです。――ま、まぁ、廃人になることはありそうですけど」
縁が持っている鋏は、主に多重世界シンドロームの力を断ち切るために使用される。委員会(モイライ)の能力者からその力を奪うのにも使用されるらしい。他のどの《断ち切り手(アトロポス)》よりも確実に能力を奪い去るのだそうだ。
「味方だと思っていいんだな?」
「はい、それはもちろん」
あやめの返事に、貴家の周囲に異変が生じる。多重世界シンドロームの発動。それは今まで見てきた出力の中でも最高値を出していそうなエネルギーを持っている。光を発しているかのようにもあやめの目には映った。
(貴家さまはやっぱりあのとき……)
それを見ていてあやめは思う。本気で井上と戦っていたのなら、あっさりと勝てるくらいの力を貴家は内包していたのだ。それをしなかったのは、井上に対して後ろめたい気持ちがあったからなのだろう。井上を変えてしまったことを、この事態を引き起こしてしまった自分を責めていたから、強く出ることができなかった。やはり貴家は優しい人間なのだ。
(問うのはやめましょう。今は何としてでも霧島さまに勝ってもらわねば)
あやめは自身の能力の操作に集中する。それぞれの想いの位相を揃えれば、必ず井上に勝てる。
縁の動きが瞬時に加速した。
「これで終わりだ!」
握り鋏が一閃。井上の身体を薙ぐ。
彼を包んでいた闇が霧散し、それと同時に上体が傾斜してゆく。
「――ふん、とりあえず、多重世界シンドロームの力は回収させてもらったぞ」
倒れ掛かった井上の体を、縁は鋏を消し去った手で支える。
「やった……のか?」
遠くから見守っていた貴家は、展開についていけずに隣のあやめに訊ねる。
「えぇ。もう大丈夫です」
「オレには何が大丈夫なのかよくわからないんだがな」
貴家の言うのもわからないわけではない。あやめたちは多重世界シンドロームの力を識別できる目を持っているが、下界の人間である貴家にはそれはない。何が起こっていたのかを正確に把握することはできないだろう。
「井上さまが目覚めたときにはきっとわかりますよ」
そう答えて、あやめは大事なことを思い出す。慌てて貴家の右手を取った。
「そんなことよりも、怪我は大丈夫なんですか! あぁっもう、ひどい怪我じゃないですか!」
ざっくりと避けている傷口からはまだ血があふれている。死に至るほどの出血量ではないが、縫わねばならない大怪我には違いない。
「心配するなって、すぐに病院に行くから。この時間だと救急になるんだろうなぁ。面倒くせーな」
「面倒くさいとか言っている怪我じゃないですよ! 待っていてくださいませ。すぐに手当てをいたします」
言ってあやめは彼の右手を両手で掴み、意識を集中する。
(完治させることはできないかもしれませんが、せめて出血だけでも止めてくださいませ)
これから起こるだろうことに干渉するのは容易いが、起こってしまったことに干渉するのは難しい。すべてをなかったことにできるのは《断ち切り手(アトロポス)》能力のみだからだ。ゆえに、あやめが取った行動は――。
「な、何が起こっているんだ?」
みるみるうちに傷口がふさがっていく。痛みもだいぶ和らいだことだろう。
「これでもう問題ないかと」
手のひらには出血した痕と、うっすらとした傷だけが残った。
「病院に行く手間は省けましたね」
言って、あやめは貴家を見て微笑む。
あやめが取った行動、それは貴家の自己修復能力に干渉することだった。本来なら起こるはずのない驚異の回復力を持って、その怪我を修復したのである。なかったことにすることはできないが、限りなく起こるはずのないことを起こすことはできる。
「君は一体……」
「正体を明かしましょう。――ワタシは位相管理委員会所属の《導き手(ラケシス)》能力者でございます。あなた様の住むこの世界とは別の次元で生きている者なのです」
「えっと……言っている意味が――ジュンに打ち付けられたせいで頭がおかしくなっているとか?」
戸惑う貴家に、縁は井上を担いだまま近付く。
「あやめの言っていることは本当のことだ。――申し遅れたな。私は緒方あやめの監督者である霧島縁だ。位相管理委員会の役員をやっている。能力は《断ち切り手(アトロポス)》。他人の運命を断ち切ることで情報操作を行う能力者だ。以後よろしく頼む」
「以後よろしくって……」
(霧島さまが自己紹介をしたと言うことは……正式に委員長(モイラ)として貴家さまを迎えると言うこと?)
困惑している貴家を横目で見ながら、あやめは心拍数が上がる胸を押さえる。
(ならば言わなくてはなりませぬ)
ここでのチャンスを逃せば、きっと取り返しのつかないことになる。あやめは言い出すタイミングをうかがう。
「それで唐突ではあるのだが、貴様に頼みたいことがある」
「頼みたいこと?」
聞くだけ聞いてみようという気持ちが態度に出ている。貴家は聞かずに断るということをするような男ではない。
(――委員長(モイラ)になるようにと依頼する展開ですよね、これは)
割り込むなら今だ、そう思っていたあやめであったが、縁の続く台詞に目を瞬かせることになる。
「いきなりなんだよ?」
井上の周囲には依然として闇が広がっている。多重世界シンドロームの力が発現しているのだ。
「問いを問いで返すってことは、やっぱりわかってなかったんだな」
「なんだよ、もったいぶって」
貴家は掴んでいたナイフを地面に落とすと、かかとで後方に蹴り飛ばす。
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「オレは死なない」
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「今は見逃してもいいけど、僕はまたあんたに刃を向けるよ?」
「だから、お前をそんなふうに突き動かす衝動を消し去る」
「――そうだな。貴家礼於。貴様の願い、私が叶えてやろう」
ナイフが転がっていった先で聞こえてくる声。あやめが視線を向けると、そこには霧島縁が立っていた。彼女の仕事道具である、自分の身長ほどの握り鋏を持って。
「井上純也、貴様の持つ多重世界シンドロームの力、私が断ち切ってやる」
そう宣言するなり、縁は動く。
宣言を受けた井上も素早く対処に入る。身の危険を感じたのだろう。暗い闇が井上から放出される。
「くっ……」
縁の一撃は回避されてしまう。充分な速さでの攻撃であったにもかかわらず避けきられてしまったのは、井上の能力によるものだ。偶然に起こるべき事象が井上の意志によって連続して起こっている。縁は悔しげに顔を歪めた。
(逃がしはせぬ!)
あやめは縁の補佐のために運命に干渉を始める。
井上によって捻じ曲げられた未来は今のところ彼自身の身体能力の強化にのみ当てられているようだ。そこに干渉していては力負けしてしまうため、あやめは縁の身体能力の強化に力を集中させる。
「――なぁ、あやめ?」
「は、はい?」
いきなり貴家に声を掛けられて集中が途切れる。貴家は呆気に取られたような顔をしていた。
「彼女、何者だ? オレの願いを叶えるとか言っていたが」
かなりまともな質問である。突然割り込んできた和服姿の少女が巨大な握りバサミを振り回しながら幼馴染みを攻撃している図は、すぐに受け入れられる光景ではないだろう。
「あの方はワタシの上司です。彼女に任せておけば何の心配もいりませぬ。怪我をさせることもないと思いますよ」
「いや、でも、あの巨大な刃物は充分に殺傷能力がありそうだが」
リーチの長い鋏では動きがどうしても単調になってしまう。縁の動きはその獲物の重みを感じさせないほどに洗練されていたが、運命に干渉することで強化された肉体を前に決定打とはならない。縁の顔に苛立ちが浮かぶ。
「あの鋏は運命を断ち切るためのものです。――ま、まぁ、廃人になることはありそうですけど」
縁が持っている鋏は、主に多重世界シンドロームの力を断ち切るために使用される。委員会(モイライ)の能力者からその力を奪うのにも使用されるらしい。他のどの《断ち切り手(アトロポス)》よりも確実に能力を奪い去るのだそうだ。
「味方だと思っていいんだな?」
「はい、それはもちろん」
あやめの返事に、貴家の周囲に異変が生じる。多重世界シンドロームの発動。それは今まで見てきた出力の中でも最高値を出していそうなエネルギーを持っている。光を発しているかのようにもあやめの目には映った。
(貴家さまはやっぱりあのとき……)
それを見ていてあやめは思う。本気で井上と戦っていたのなら、あっさりと勝てるくらいの力を貴家は内包していたのだ。それをしなかったのは、井上に対して後ろめたい気持ちがあったからなのだろう。井上を変えてしまったことを、この事態を引き起こしてしまった自分を責めていたから、強く出ることができなかった。やはり貴家は優しい人間なのだ。
(問うのはやめましょう。今は何としてでも霧島さまに勝ってもらわねば)
あやめは自身の能力の操作に集中する。それぞれの想いの位相を揃えれば、必ず井上に勝てる。
縁の動きが瞬時に加速した。
「これで終わりだ!」
握り鋏が一閃。井上の身体を薙ぐ。
彼を包んでいた闇が霧散し、それと同時に上体が傾斜してゆく。
「――ふん、とりあえず、多重世界シンドロームの力は回収させてもらったぞ」
倒れ掛かった井上の体を、縁は鋏を消し去った手で支える。
「やった……のか?」
遠くから見守っていた貴家は、展開についていけずに隣のあやめに訊ねる。
「えぇ。もう大丈夫です」
「オレには何が大丈夫なのかよくわからないんだがな」
貴家の言うのもわからないわけではない。あやめたちは多重世界シンドロームの力を識別できる目を持っているが、下界の人間である貴家にはそれはない。何が起こっていたのかを正確に把握することはできないだろう。
「井上さまが目覚めたときにはきっとわかりますよ」
そう答えて、あやめは大事なことを思い出す。慌てて貴家の右手を取った。
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ざっくりと避けている傷口からはまだ血があふれている。死に至るほどの出血量ではないが、縫わねばならない大怪我には違いない。
「心配するなって、すぐに病院に行くから。この時間だと救急になるんだろうなぁ。面倒くせーな」
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言ってあやめは彼の右手を両手で掴み、意識を集中する。
(完治させることはできないかもしれませんが、せめて出血だけでも止めてくださいませ)
これから起こるだろうことに干渉するのは容易いが、起こってしまったことに干渉するのは難しい。すべてをなかったことにできるのは《断ち切り手(アトロポス)》能力のみだからだ。ゆえに、あやめが取った行動は――。
「な、何が起こっているんだ?」
みるみるうちに傷口がふさがっていく。痛みもだいぶ和らいだことだろう。
「これでもう問題ないかと」
手のひらには出血した痕と、うっすらとした傷だけが残った。
「病院に行く手間は省けましたね」
言って、あやめは貴家を見て微笑む。
あやめが取った行動、それは貴家の自己修復能力に干渉することだった。本来なら起こるはずのない驚異の回復力を持って、その怪我を修復したのである。なかったことにすることはできないが、限りなく起こるはずのないことを起こすことはできる。
「君は一体……」
「正体を明かしましょう。――ワタシは位相管理委員会所属の《導き手(ラケシス)》能力者でございます。あなた様の住むこの世界とは別の次元で生きている者なのです」
「えっと……言っている意味が――ジュンに打ち付けられたせいで頭がおかしくなっているとか?」
戸惑う貴家に、縁は井上を担いだまま近付く。
「あやめの言っていることは本当のことだ。――申し遅れたな。私は緒方あやめの監督者である霧島縁だ。位相管理委員会の役員をやっている。能力は《断ち切り手(アトロポス)》。他人の運命を断ち切ることで情報操作を行う能力者だ。以後よろしく頼む」
「以後よろしくって……」
(霧島さまが自己紹介をしたと言うことは……正式に委員長(モイラ)として貴家さまを迎えると言うこと?)
困惑している貴家を横目で見ながら、あやめは心拍数が上がる胸を押さえる。
(ならば言わなくてはなりませぬ)
ここでのチャンスを逃せば、きっと取り返しのつかないことになる。あやめは言い出すタイミングをうかがう。
「それで唐突ではあるのだが、貴様に頼みたいことがある」
「頼みたいこと?」
聞くだけ聞いてみようという気持ちが態度に出ている。貴家は聞かずに断るということをするような男ではない。
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