可愛い僕の婚約者さま

一花カナウ

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告白――そして

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 アルフレッドの言葉を待つ時間が長く感じられる。

「――僕は、心の底からテアと結婚したいと思っている」
「はい。私も思っていますわ。産まれたときからの約束ですもの」
「だからそういうことじゃなくて……」

 アルフレッドは苦悩の表情を浮かべている。

 なんか変なことを言ってしまったかしら? 思うままを言っただけなのに。

 こんなふうに悩むアルフレッドを見るのは初めてだ。

「あの……体調が悪いのですか? でしたら、無理はしないでもう休みましょう」

 普段の様子と違うのは、疲れが出ているからなのかもしれない。テオドラが提案すると、アルフレッドは意を決した目を向けた。

「?」

 言葉を待つと、勢いよく肩を引き寄せられて抱きしめられた。

「アル……お兄さま?」
「僕は君を愛しているんだ。こんなふうに抱きしめたり、キスしたり、肌に触れたりすることを望んでいる。子どもができるようなこともしたい。それは君を一人の女性として愛しているからだ!」
「あ、アル……?」

 回された腕に強い力がこもって、テオドラは彼の顔を見ることができない。
 アルフレッドの告白は続く。

「君に異性として意識してもらいたくていろいろ計画したんだけど、デーヴィッドのせいでぶち壊しにされた。その苛立ちを君にぶつけて卑怯なことをしているし、それ以上の卑怯なこともしたいって考えている。もう、テアにとっての兄じゃいられなくなる。僕は君の夫になりたいんだ」

 耳に押し付けられた胸から激しい鼓動が聞こえている。この告白をするのにどれだけの緊張を強いられているのかが、そこから察せられた。

 アル……。

「……卑怯なことなんてないです」

 テオドラは自由な腕を彼の背後に回して、アルフレッドを抱きしめ返した。

「私、あなたに触れてもらえる日を楽しみに待っていました。恋人になれないまま結婚するんだなって、寂しく思っていたんです。友だちは手を繋いだだのキスをしただのと報告してくるのに、私にはそういう経験がなかったから……みんなが羨ましかった」
「テア」

 名を呼ぶ優しい声に、心が震える。

「アルフレッドさま」

 兄としてではなく、一人の男性として感じたい。
 彼の名を呼ぶと顔を上げ、見つめ合う。
 互いを求めているのがそれだけで伝わってきた。

 キスは目を閉じるもの……ですよね?

 友人から聞いた話を参考にそっと目を閉じてみる。
 少し遅れて、チュッと音がした――額から。
 テオドラは慌てて目を開ける。恨めしそうににらむ前に、素早く唇を塞がれる。

「んっ……」

 初めてのキスは甘くてしょっぱくて、酸っぱい味がした。

「……あまり可愛いことをしないでくれ、テア。ここが外であることを忘れてしまうから」

 アルフレッドが困っているように感じるのだが、テオドラには理由がわからない。

「でも、裏庭はあまり人が立ち寄らない場所です。キスくらいなら心配いらないと思うんですが」

 不思議に感じて告げれば、アルフレッドから軽く突き放された。

「あのな。僕は、君のドレスを脱がすようなことをしそうだからこの辺でやめておこうって提案してるの。キスも初めてなのに、いきなりそれ以上のことはしたくないでしょ?」

 早口でまくし立てられるように説明された。
 テオドラは目を瞬かせる。

「そ、それは今すぐここでとなると嫌ですけど……アルフレッドさまがそうしたいっていうなら……その、私……」

 自分がしたいのだとは言えなくて、わざとまわりくどい言い方を選ぶ。
 こんな野外で素っ裸になりたいわけではない。だが、そういうこともあるらしいとは聞いていたので、自然と興味が湧く。なにより、ずっと触れようとしてこなかったアルフレッドが自分に触りたいというのであれば、どうにか叶えたいと思うものではなかろうか。

「うーん……むむ……」

 もじもじして答えたテオドラに、アルフレッドは文字どおりに頭を抱えて身もだえていた。

「……アルフレッドさま?」
「とりあえず、だ。間違いが起きないうちに移動しよう。今日は事件があったあとだし、帰っても問題ないはず。――テア、今夜はうちに泊まれよ」

 アルフレッドに誘われたことが心底嬉しかった。断るわけがない。

「はい」

 満面の笑みを浮かべる。期待してきた恋人っぽいことをするのだろうかと思うと、とてもドキドキした。
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