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召喚聖女は早くお家に帰りたい!
召喚聖女は早くお家に帰りたい 1
しおりを挟む――かつてこの世界アンダーテイルズを救った聖女の生まれ変わりだとかなんだとか、ホントそんなのどうでもいいんですけど。私は私の役目をさっさと終えて日常に戻ります。
今の自分とは無関係な理由でアンダーテイルズという異世界に召喚された私――天宮(あまみや)萌絵(もえ)は、ようやく最後の儀式までたどり着いていた。これといった特技も持たない凡庸な大学生の私にはいろいろとシンドイ儀式もあったが、気合いと体力で乗り切ってきた。やればできるじゃん、私!
――とにかく、これでおしまいなんだから、やりきるわよ! そしておうちに帰るの!
聖水で身体を清め、神殿で祈りを捧げる――最後の儀式はたったそれだけのことであり、別に私じゃなくてもいい気がするのだが、これでアンダーテイルズは救われるし私は地球に戻れるとのことなので、茶々を入れずにさっさと終えるに限る。
そんなわけで私はアンダーテイルズの平和をひたすら祈った。この世界を覆い尽くそうとする魔の手を退けるために。無事に帰れるためにも必死である。
――ほんと、早くお家に帰りたい……
*****
「――いやはや、まさか聖女の魂が異世界に転生しているとは驚いたな。それに気づいて召喚をした神官長も大した腕前だ」
声がする。低くて痺れる素敵な男性の声。
「封印されている身としては気安く異世界まで探索するのは不可能。神官長の仕事っぷりは、歴代の神官の中でも上位に入る――そうだな、オレを封印する計画を立てた初代の神官長と同等……ああ、なるほど、そういうことか。あいつもしつこいな……」
そしてため息。
「おい、聖女――今の名はモエだったか。神官長はあんたを元の世界に帰す気なんかないぞ。そもそもオレの力を借りないと向こうまでの道は開かれない。オレを封印してしまったら、あんたはこのアンダーテイルズから逃げられない。それどころか、十中八九あんたは神官長に手篭めにされるぞ」
――なんですと?
「オレを封印することを口実に呼び出して、かつて愛した女を取り戻すつもりなのさ。だが、あんたは聖女の生まれ変わりであっても、あんたはあんたのはず。元の世界に帰りたいなら、オレが協力してやってもいいぜ」
――あなた……神官長が言っていた魔王でしょ? そうやって私の心を乱して、邪魔をしようっていうのね。でも残念、その手には乗らないわ。私は家に帰るの!
「そうか。残念だ。もう少し賢い女かと思ったんだが。ま、神官長もすぐに本性を現すさ。あんたも貞操の危機に陥れば、自分の過ちを認めるだろうよ。せいぜい頑張ることだな」
――はいはい。あっちに行っててくださいな!
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