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召喚聖女は早くお家に帰りたい!
襲撃 2
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「あっ……」
首筋に吸いつかれて、甘い吐息が溢れる。ピクピクと快感で震えてしまった。身体は彼を受け入れようとしているみたいで、私は戸惑った。
「気持ちがいいのか……? 息も上がっているし」
「そ……そうみたい……。あ、あの……前の私とも、こうして……キスしたの?」
「どうだったかな……昔の話だ」
「……それは嘘」
「覚えてないくせに」
彼は寂しげに笑って、ゆっくりと離れた。
「すまない……また惚れるとは思わなかったんだ……混同しているつもりはないんだが……悪い」
「あ、別に責めているつもりはないの。私、あなたのこと、結構好きよ?」
「そういうことを言うな。帰してやれなくなるだろ」
額に手を当てて憂鬱そうな顔をして、盛大なため息をついた。
「誘惑しているつもりなら、もっと色気を出すんだな。そしたら、最後までするというか、たっぷり抱き潰してやる」
抱き潰すってことは、一度じゃ終わらないってことだろう。そう宣言されると、ちょっとビビる。彼は体力がありそうなので、私の身体がもたない気がする。処女だし。
「そ、それは……ちょっと」
「なら、期待させるな。さっさと風呂入って、帰れ」
「はい……」
入浴中、彼はそれっきりこっちを見ないようにしてくれて、私に触れることはなかった。話しかけても事務的な対応だけで、面白くない。
――まあ、刺激するのは得策じゃないでしょうけど。
大浴場の湯船の端と端に身体を沈めて、私たちは温まっている。絶対に触れないように徹底しているのが、ちょっぴり寂しくなる。
――たぶん……前世の私は彼の方を好きだったんだろうな……
そうなると、聖女を愛していた彼に逃げたいと頼んだ聖女が本当に望んでいたことが気になる。神官長に囚われるくらいならば、殺してしまったほうが幸せだと考える彼の心境も。
――真相はどうだったんだろう?
じっと彼を見つめる。時々彼の翼が動くことに意識が向いてしまうが、たぶんわざとだ。気をそらせようという意図が察せられる。
――むむ……私の扱い方がわかってるわね……
手のひらの上で転がされている感じが気にくわないが、そのくらいには力の差もあるのだから仕方がないのかもしれない。
とにかく、今は彼に従って家に帰ることを考えよう。前世の因縁についての決着は、諦めたほうがきっと今の私のためになると思う。
――私には私の生活があるんだから、そっちが大事。魔王様が報われないとは思うけど……ああ、もう、私にどうしろっていうのよ⁉︎
名案なんて浮かぶわけがない。私は身体が温まってきたところで立ち上がる。
「そろそろお風呂、終わりにするね。付き合ってくれてありがと。お陰でさっぱりしたわ」
「――そっか。じゃあ、帰還に向けて準備をしないとな。そう時間はかからないとは思うが――」
彼も立ち上がって、湯船から出ようとする。
と、ちょうどその時、天井に光の亀裂が走った。
首筋に吸いつかれて、甘い吐息が溢れる。ピクピクと快感で震えてしまった。身体は彼を受け入れようとしているみたいで、私は戸惑った。
「気持ちがいいのか……? 息も上がっているし」
「そ……そうみたい……。あ、あの……前の私とも、こうして……キスしたの?」
「どうだったかな……昔の話だ」
「……それは嘘」
「覚えてないくせに」
彼は寂しげに笑って、ゆっくりと離れた。
「すまない……また惚れるとは思わなかったんだ……混同しているつもりはないんだが……悪い」
「あ、別に責めているつもりはないの。私、あなたのこと、結構好きよ?」
「そういうことを言うな。帰してやれなくなるだろ」
額に手を当てて憂鬱そうな顔をして、盛大なため息をついた。
「誘惑しているつもりなら、もっと色気を出すんだな。そしたら、最後までするというか、たっぷり抱き潰してやる」
抱き潰すってことは、一度じゃ終わらないってことだろう。そう宣言されると、ちょっとビビる。彼は体力がありそうなので、私の身体がもたない気がする。処女だし。
「そ、それは……ちょっと」
「なら、期待させるな。さっさと風呂入って、帰れ」
「はい……」
入浴中、彼はそれっきりこっちを見ないようにしてくれて、私に触れることはなかった。話しかけても事務的な対応だけで、面白くない。
――まあ、刺激するのは得策じゃないでしょうけど。
大浴場の湯船の端と端に身体を沈めて、私たちは温まっている。絶対に触れないように徹底しているのが、ちょっぴり寂しくなる。
――たぶん……前世の私は彼の方を好きだったんだろうな……
そうなると、聖女を愛していた彼に逃げたいと頼んだ聖女が本当に望んでいたことが気になる。神官長に囚われるくらいならば、殺してしまったほうが幸せだと考える彼の心境も。
――真相はどうだったんだろう?
じっと彼を見つめる。時々彼の翼が動くことに意識が向いてしまうが、たぶんわざとだ。気をそらせようという意図が察せられる。
――むむ……私の扱い方がわかってるわね……
手のひらの上で転がされている感じが気にくわないが、そのくらいには力の差もあるのだから仕方がないのかもしれない。
とにかく、今は彼に従って家に帰ることを考えよう。前世の因縁についての決着は、諦めたほうがきっと今の私のためになると思う。
――私には私の生活があるんだから、そっちが大事。魔王様が報われないとは思うけど……ああ、もう、私にどうしろっていうのよ⁉︎
名案なんて浮かぶわけがない。私は身体が温まってきたところで立ち上がる。
「そろそろお風呂、終わりにするね。付き合ってくれてありがと。お陰でさっぱりしたわ」
「――そっか。じゃあ、帰還に向けて準備をしないとな。そう時間はかからないとは思うが――」
彼も立ち上がって、湯船から出ようとする。
と、ちょうどその時、天井に光の亀裂が走った。
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