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戦場の処女はカラダをひらく
戦場の処女はカラダをひらく・1
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丸い月が天頂を幾分か過ぎた位置にある。
呻く声に気づいて、マーティナは目を覚ました。抱きしめたまま眠っているルビの額に脂汗が浮かんでいた。
「ルビさん?」
様子がおかしい。緩んだ腕から離れて、マーティナはルビの全身を観察する。
――見た感じでは問題なさそうだけども……
一刻を争う様子に、迷っている猶予はなかった。
「失礼します」
苦しむ声を堪えているらしい。痛みを抑え込むように呻くルビの服を脱がしにかかった。
ロングコートのベルトを外し、前をはだけさせる。
鉱物人形はその衣装も体の一部だ。衣装に大きな傷はなかったように見えたので無事なのだと判断していたが、それが間違いなのだとしたら。
マーティナは嫌な予感がして、ルビの衣装を容赦なく剥いでいく。腹部が覗いたとき、そこに黒いシミが広がっていることに気がついた。
「これ……」
打撲痕のようなものかと思い、マーティナはそっと手を伸ばすが触れる前にこれがなんなのかを察した。
――私に触れることを拒んだのは、この呪詛が私にうつるのを防ぐため?
ルビの体を蝕んでいるのは、瘴気による呪い――呪詛だ。魔物との戦いで稀にかかる病である。
鉱物人形がこれに罹患した場合は速やかに浄化できれば消し去れる。浄化の力が強い鉱物が由来となる鉱物人形は滅多に発症しないのであるが、今回の戦闘は余程消耗が激しかったのだろう。ルビの抵抗力が著しく落ちていたに違いない。そもそも紅玉は浄化の力が強い鉱物なのだから。
なお、人間にも瘴気による呪いはうつるが、瞬時に発狂するか魔物化するため、元の人間には戻れない。呪詛を受ければただちに特殊強襲部隊の討伐対象になる程度には厄介な代物なのだ。
「――ルビさん、今、治療しますから」
戻ってきたときにきちんと確認するべきだった。使いこなしているはずの能力の制御に彼がてこずっていた原因も、おそらくこの呪詛の影響なのだろう。これまでの戦闘ではマーティナ自身になんともなかったことからも、異常が起きているのだと察するべきだった。
――後悔している場合じゃない。私が助けないと。
浄化に必要なのは紅玉や水晶などの浄化の効力が高い石だ。それなら持ち合わせがあるはず。
マーティナは自分のバッグから目的の鉱物を探す。暗くてよく見えないので、バッテリーがもったいないと思いながらも端末で周囲を明るく照らす。目的の物を取り出し、マーティナはルビと向き合った。
端末によって照らされたルビの体は複雑な黒い紋様が浮かぶ。侵食が早い。
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