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夜桜・不可思議カフェ百鬼夜行の業務“外”日誌
朧月夜
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俺はシャワーを借りることにした。文字どおり、頭を冷やしたかったのだ。
店長に着替えを用意してもらって、浴室に向かう。
広いな、この風呂……。
大人二人で入っても余裕がありそうなくらい広くて清潔だった。ここまで大きな部屋風呂というのは、ホテルでも高価な部屋にしかついていないんじゃないかと思う。少なくとも、俺が不動産屋で働いていた時代にここまで広い家を扱ったことはない。
気後れしたが、のんびりしすぎて店長に心配をかけたくはない。俺はぬるめのお湯を出して頭からシャワーを浴びた。
現状を整理しよう。
今の俺は少し体調がよくない。それはワインを飲んで酔っているからではない。おそらく、季節が春になったために発情期のような状態になっている。具体的にいえば、素敵だなと思う相手に触れたくなってしまったり、周囲の人間を性的に興奮させやすくなったりする。
触れたいという衝動に関しては百年以上付き合っている現象なので抑えこむことはある程度可能だ。だが、周囲の人間――人間に限らず、怪異も含む――への影響については、自分ではどうにもならないのだった。
まさか、店長まで俺のに巻き込まれるとは……。
なお、店長の様子も少々おかしい。冷静さを欠いているというか、性的な発言が多いというか。セクハラはしないタイプだと――そもそも店長は性的な感情を持ち合わせていないのだと勝手に思っていたから、そういう語彙もきちんと持ち合わせていることにショックを受けていた。
それってとんでもなく失礼なことなんだよな。自分は傷つけられたと感じているのも身勝手すぎるし。
店長は俺よりずっと歳上で、怪異としても格上だと認識していたから、枯れているものだと思い込んでいたらしかった。がっつく必要のない圧倒的な強者なだけだったという話だというのに、俺は呑気なものである。
あんまり気を許すと、いいようにされてしまうだろうなあ……。
悪いようにはしないだろうと本人を前に言ってしまったので、いまさら引けない。
別に嫌だとは思えないのが、ほんと、どうなんだよ。
添い寝くらいで済ませてくれるならそれもいいだなんて望んでしまう浅ましい感情に戸惑う。誰でもいいわけじゃない。彼だからいいのだ。
あー、ほんと、どうすんだよ。気まずくなるのは避けたいんだけどな。
カフェ百鬼夜行での仕事は楽しんでいる。厄介な怪異に振り回されることは多いけれど、興味は尽きない。ここでできる限り長く勤めるつもりでいた。
そこでふと気がつく。
冬の間だけでいいって、そういうことだったのか?
店長は高位の怪異だと推測できる。そのせいなのか、長い時間店長の近くにいると彼の邪気にあてられて自我を失っていくらしい。
俺は怪異なので他の怪異に対して耐性がある。一般の人間と比べたら怪異の影響を受けにくいので、店長のそばで働けたわけだ。
一、二、と一本ずつ指を折って数えてみる。
出会ってから四ヶ月ほど、か。俺のキャパシティ的には春までが限界だと……そう勘定されていたのか?
それなら、俺の体調不良を邪気にあてられた影響なのだと説明してきたことに納得できる。頃合いだから確認したいと考えたとするならば妥当だ。
店長は俺のことをどうするつもりなんだ?
長期間働けるようにするのか、解雇するつもりなのか。どちらだろうと俺は受け入れるつもりではある。ときどきカフェ百鬼夜行に手伝いにくる先輩がそうしているみたいに、勤務時間を減らす方向でも構わないのだ。
つーか、俺、ずいぶんと百目鬼店長に心酔してんだな。
俺は自分の気持ちを認めて、シャワーを止めたのだった。
この家の本来の持ち主は大柄な人だったのかもしれない。
貸し出されたシャツは俺にはだいぶ大きなものだった。なので、スラックスは穿いていない。ウエストに余裕があって調整しにくかったのと、股下が長すぎて歩きにくいために諦めた。
「ふむ、思った以上にサイズが大きかったようだね」
風呂を出てリビングに顔を出した俺の姿を見て、本を読んでいた店長が声をかけてきた。
俺は借りたタオルで雑に頭を拭く。
「小さすぎて着られないよりはマシだ。これ、クリーニングして返せばいいか?」
「いや、僕のほうでアイロンがけまでしておくよ」
意外な返答に俺は手を止めてじっと見つめる。
「そうはいかねえだろ」
「獅子野くんは律儀だね。そこは甘えておいていいところだ」
「ってか、これ、そもそも洗えねえやつか?」
高価な服は一回着たら終わりでクリーニングできないのだと聞いたことがある。寝間着として渡されたものだが油断できない。
俺は冷や汗を流す。
着心地がすごくいいのは、俺が普段手に取れないような高級品だからなのか?
「君が萎縮するといけないから、日常的に使うものから選んだよ」
その返事にほっとして髪を拭く作業に戻るものの、別の疑問が浮かんだ。
「ここの備品じゃねえの?」
「僕が用意した。ここにあるものは使っても構わないとは言われているが、少々厄介なものも多くてね」
確かに、この部屋にある家具や装飾品は異様な気配を持っている。それは高価な品だからというわけではなく、なんらかの怪異がらみの品々だからと判断していた。迂闊に触らない方がいい。
「じゃあ、このシャツが大きいのは店長の見立てってことか」
「ああ。確実に着られるものがいいだろう?」
店長がこれを選んでくれたのか、俺のために。
唐突に花見に出掛けることが決まってここにきたはずだが、いつから寝間着を用意していたのだろう。真っ白で光沢のある生地でできたシャツはすべすべしていて気持ちがいい。
「これ、買い取るから給料から引いておいてくれ」
「サイズが合わないのに?」
「別にそこは気にしちゃいねえよ」
うっかりすると給料がマイナスになりそうだが、それなりに蓄えはあるのでこういうことはきちんとしておきたい。せっかくだから家でも使おうかと思った。俺の使う部屋着にしては高価な気がするが。
店長は読んでいた本をローテーブルに置いて、俺に困ったような顔を向けた。
「また泊まりに来るときのために置いておきたいんだが」
「次があるとしたら、着替えは持参する」
「……そうか」
なんで残念そうな顔をするんだ。
俺には店長の気持ちがわからない。
「ところで君はネコかね?」
「猫じゃねえ」
「タチかな?」
「はぁっ? 藪から棒に、そういう話はすんな」
視界に店長が読んでいた本の表紙が目に入って、俺は頭痛を覚えた。
表紙から察するに、男性どうしがイチャつく場合のハウツー本らしい。あからさまなワードが帯に並んでいる。見間違いや俺の勘違いであってほしい。切実に。
店長は首を傾げた。からかいの意図は感じさせない、探究心でできた顔がこちらを向いている。
「だが、発散する必要があるのでは?」
「興味本位でプライベートなことに踏み込むんじゃねえよ」
研究者としてのサガのくくりで話を振らないでほしい。
俺はため息をつく。
「そもそも、俺のは怪異の元になっているやつの習性が色濃く出ちまっているだけで、怪異に生殖行為はいらんだろ。それとも、店長には必要なものなのか?」
「多くの怪異にとっては不要なものだね。人間に擬態するために行為を真似ているものはいるし、行為そのものが怪異にとって必要だという種はいるが、自身の種の繁殖のためではない」
「ご高説をどうも」
俺らのような怪異は発生するものであって、交わり繁殖することはない。知識欲の化け物でいろいろと精通している店長の認識と俺の認識が合っていてなによりである。
やれやれと思っていると、正面に店長が立った。
「それはそれとして、僕は興味がある」
「行為にか? それとも、俺に、か?」
「どっちもだ」
にっこりと微笑まれてしまった。嘘はついていないようだ。
俺はバスタオルを首にかけた。
「んじゃ、聞くが」
「なにかな?」
「店長はしたことがあるのか? 俺より長生きしているんだし、相手ぐらいいたんだろ?」
店長は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして、首を傾げた。
「興味本位で相手の自我を壊すようなことはさすがの僕でもしないさ」
「そ、そうなのか」
ひと並みの倫理観は持ち合わせていたようだ。申し訳なくなる。
店長は言葉を続けた。
「口吸いだけで全治三ヶ月にしてしまったことを今でも悔いているくらいなのに」
キスで全治三ヶ月ってどういうことだ?
生気を吸い取る系のやつだろうか。回復に三ヶ月と言わなかったあたりに闇がある気がした。
「それは……大変だったな」
「正気じゃなかったってことさ」
とはいえ。店長に相手がいなかったわけではないようで、ちょっとだけ安心した。心と体を許してもいいと思える相手がいたというのは健全だ。
「――獅子野くんはどうなんだい?」
心臓がバクっと強く鳴った。
「未遂」
あまり思い出したくない。
かつての俺は、周囲を惑わせてしまい騒ぎを起こしてしまった。体に傷が残るようなことはなかったにせよ、心は深く傷つけてしまっただろう。
俺は短く答えて視線を外した。
「ならば、落ち着くまでここにいたほうが賢明だろうね。今夜は満月だ。君の怪異としての部分に月が影響を与えずとも、周囲には満月で気が昂ぶる者も多い。シェルターとして使って構わないよ」
「気遣わせてわりいな」
「じっくりと君を観察できる好機を得られて、正直、僕は興奮している」
「観察……」
ただ寝るだけじゃ済まないということだろうか。
俺が疑いの目を向けていると、店長はぱっと両手を肩まで上げた。
「手を出したりはしない。約束は守ろう」
「そういう心配はしていなくても、別の意味で怖えよ」
「おや、僕の好奇心に応えてくれるんじゃなかったのかい?」
「必要なら手伝うとは言ったが、そうじゃねえ」
「ふふ。嫌なら嫌だとはっきり言いたまえ。誤解したくなるじゃないか」
店長は俺の濡れた髪をガシガシと撫でて歩いていく。
「僕もシャワーを浴びるとしよう。髪を乾かしながら待っていてくれ」
浴室へと消える店長の背中を俺は見送る。先に寝ていたかったが、どの部屋を使っていいのか聞き忘れていたことに気づいて、おとなしく待つことにしたのだった。
十数分後。
「なあ、店長」
「なにかね?」
主寝室のキングサイズのベッドに、俺たちは仲良くならんでいる。
「ほかに方法はいくらでもあんだろ。同衾するのはなんというか」
「僕は手を出さないよ。君を失いたくはない」
ベッドは広いから、寝相がまともであればぶつかる心配はないだろう。毛布も羽毛布団も一人ずつ別々のものを被っている。意図しなければ触れ合うこともないはずだ。
俺は大きく息を吐く。
「俺が抑えられなくなったらどうすんだって話だよ」
「その予定でも?」
「とぼけるな」
俺はゆっくりと上体を起こした。寝転んだままの店長を見下ろす。
湯上がりでしっとりとした黒髪、血の巡りが良くなって赤く上気した肌。眼鏡をしていない彼にいつもよりも強く色気を感じた。
トクトクと胸がうるさい。俺は邪念を振り払うつもりで頭を軽く左右に振る。
「俺だってこれが合理的だとは思っているさ。結界を突破できるようなヤツを引き寄せてしまった場合、単独でいるよりは隣に店長がいたほうが助かる確率は上がる。だが、俺が落ち着かねえんだよ」
「スタッフルームでいつも無防備に寝ている君の言葉とは思えないね」
「状況が違うって言ってんだ」
スタッフルームにも結界が張ってある。俺が仮眠をするにはちょうどいい場所なのだ。
俺がきつめに言い放ったからか、店長は困ったように笑って頷いた。
「獅子野くんが襲いたくなったなら、僕がきちんと君を止めよう」
「そりゃどうも」
「それはそれとして」
「ん?」
店長が上体を起こして、誘惑するように見つめてくる。寝間着が薄いのか、彼のガタイのいい体のラインが浮き上がって感じられて、俺は目のやり場に困った。
「もし僕が女性の姿をしていたら、君は迷わずに襲っていたかい?」
「ねえよ。そのくらいの分別はつく」
即答できてよかった。今の俺は正直なところちょっと心が揺らいでいる。
「そうか……君は誰でもいいというわけではないのだね」
「俺は、店長が店長だから、こうして隣で寝ることを了承してんだよ」
「なるほど。同じ部屋にいるならベッドに並ぶ必要はないからね」
部屋は広い。ベッドじゃなくても俺は寝られるわけで、店長とベッドに並ぶ必要はない。ただ、隣で寝たいという店長を俺の道連れという形で床に転がすわけにはいかないので、譲歩してベッドに入ったという顛末である。
「ってか、そっちはどうなんだ?」
「どう、とは」
「俺があんたの邪気にあてられて体調を崩す可能性の話だ」
そもそもそっちの疑いで俺はここに軟禁されそうになっていたはずなのだが。
俺が尋ねると、彼は穏やかな顔をした。
「出力を抑える薬を飲んでいるから、一晩は問題ないだろう」
想定していたどの言葉とも違っていて、俺は驚いていた。
「そういう薬、あるのか」
「僕にも周期があるのでね。君のようなものとは異なるが、厄介な代物だ」
薬でコントロールしているとは思わなかった。怪異が現代科学に頼っていると考えると滑稽だが、暴れまわるよりはずっとマシだろう。
「ふぅん……。そこまでして、こっちの世界で人間の真似事をしなきゃいけねえものなのか?」
俺が尋ねると、店長は何かを考えるように少し待って、困ったように笑った。
「……僕にはあの場所しか居場所がないんだ」
「そういう怪異ってことか?」
「僕に深入りしたいなら、添い寝だけでは済ませられないよ?」
「……なんでそうなるんだよ」
ため息をついて店長に背を向けるように寝転んだ。
「いいかい。僕たちに生殖活動は不要だ」
「なんの話だ」
俺は背を向けたまま続きを待つ。
「ソメイヨシノもクローンで増えるだけから、機能としては花を咲かせる必要はない」
「そうだな」
「そのソメイヨシノも寿命がきて、別の種の桜に植え替えられている。この国の人間は桜を愛していて、開花の記録を日記に記してきた。彼らが記録してきた桜は山桜であって、ソメイヨシノではないはずだ」
「ああ」
「語り継がれることが、桜にも僕らにも必要なことで、生殖行為が存在することと密接に関係しているわけではない」
「……なんだよ」
いつもよりも強引に話を結んだ気がするが、なんの枕なのだろうか。
ベッドが揺れる。
「どうも僕は君と深い関係になりたいようだ」
「結局、自分の身の上話をしたいだけじゃねえか」
「そうだね」
こっちに来るのかと思ったら、店長は姿勢を変えただけで近づいてはこなかった。
「僕はおそらく、君を待ち望んでいたのだと思う」
「……うん」
「できる限り、君には僕のそばにいてほしい」
「うん」
「どうしたら可能だろうか」
「まずは寝ろ。話はそれからだ」
俺はあくびをひとつする。眠くなってきた。
「そもそも睡眠が必要ないなら、とりあえず俺を寝かせてくれねえか? 俺は睡眠が必要な個体なんだ。間違いを起こしたくねえし」
「……そうだね。君と一晩過ごせると思ったら興奮してしまったようだ」
なんではしゃいでいるんだよ。手は出さない約束で、隣で寝るだけなのに。
俺は思わず笑ってしまった。
「ふ、そうかよ」
「こんな気持ちは久方ぶりなんだ」
「高血圧で倒れたりすんなよ。誰に診せたらいいのかわかんねえから」
「ふふ。君は、優しいね」
「優しくはねえよ。面倒を起こしたくないだけ」
「知っているよ」
店長の手が俺の頭を撫でる。くすぐったいが心地がいい。
「おやすみ、獅子野くん。よい夢を」
店長の温もりが離れていくのを名残惜しく思うまもなく俺は深い眠りに落ちるのだった。
店長に着替えを用意してもらって、浴室に向かう。
広いな、この風呂……。
大人二人で入っても余裕がありそうなくらい広くて清潔だった。ここまで大きな部屋風呂というのは、ホテルでも高価な部屋にしかついていないんじゃないかと思う。少なくとも、俺が不動産屋で働いていた時代にここまで広い家を扱ったことはない。
気後れしたが、のんびりしすぎて店長に心配をかけたくはない。俺はぬるめのお湯を出して頭からシャワーを浴びた。
現状を整理しよう。
今の俺は少し体調がよくない。それはワインを飲んで酔っているからではない。おそらく、季節が春になったために発情期のような状態になっている。具体的にいえば、素敵だなと思う相手に触れたくなってしまったり、周囲の人間を性的に興奮させやすくなったりする。
触れたいという衝動に関しては百年以上付き合っている現象なので抑えこむことはある程度可能だ。だが、周囲の人間――人間に限らず、怪異も含む――への影響については、自分ではどうにもならないのだった。
まさか、店長まで俺のに巻き込まれるとは……。
なお、店長の様子も少々おかしい。冷静さを欠いているというか、性的な発言が多いというか。セクハラはしないタイプだと――そもそも店長は性的な感情を持ち合わせていないのだと勝手に思っていたから、そういう語彙もきちんと持ち合わせていることにショックを受けていた。
それってとんでもなく失礼なことなんだよな。自分は傷つけられたと感じているのも身勝手すぎるし。
店長は俺よりずっと歳上で、怪異としても格上だと認識していたから、枯れているものだと思い込んでいたらしかった。がっつく必要のない圧倒的な強者なだけだったという話だというのに、俺は呑気なものである。
あんまり気を許すと、いいようにされてしまうだろうなあ……。
悪いようにはしないだろうと本人を前に言ってしまったので、いまさら引けない。
別に嫌だとは思えないのが、ほんと、どうなんだよ。
添い寝くらいで済ませてくれるならそれもいいだなんて望んでしまう浅ましい感情に戸惑う。誰でもいいわけじゃない。彼だからいいのだ。
あー、ほんと、どうすんだよ。気まずくなるのは避けたいんだけどな。
カフェ百鬼夜行での仕事は楽しんでいる。厄介な怪異に振り回されることは多いけれど、興味は尽きない。ここでできる限り長く勤めるつもりでいた。
そこでふと気がつく。
冬の間だけでいいって、そういうことだったのか?
店長は高位の怪異だと推測できる。そのせいなのか、長い時間店長の近くにいると彼の邪気にあてられて自我を失っていくらしい。
俺は怪異なので他の怪異に対して耐性がある。一般の人間と比べたら怪異の影響を受けにくいので、店長のそばで働けたわけだ。
一、二、と一本ずつ指を折って数えてみる。
出会ってから四ヶ月ほど、か。俺のキャパシティ的には春までが限界だと……そう勘定されていたのか?
それなら、俺の体調不良を邪気にあてられた影響なのだと説明してきたことに納得できる。頃合いだから確認したいと考えたとするならば妥当だ。
店長は俺のことをどうするつもりなんだ?
長期間働けるようにするのか、解雇するつもりなのか。どちらだろうと俺は受け入れるつもりではある。ときどきカフェ百鬼夜行に手伝いにくる先輩がそうしているみたいに、勤務時間を減らす方向でも構わないのだ。
つーか、俺、ずいぶんと百目鬼店長に心酔してんだな。
俺は自分の気持ちを認めて、シャワーを止めたのだった。
この家の本来の持ち主は大柄な人だったのかもしれない。
貸し出されたシャツは俺にはだいぶ大きなものだった。なので、スラックスは穿いていない。ウエストに余裕があって調整しにくかったのと、股下が長すぎて歩きにくいために諦めた。
「ふむ、思った以上にサイズが大きかったようだね」
風呂を出てリビングに顔を出した俺の姿を見て、本を読んでいた店長が声をかけてきた。
俺は借りたタオルで雑に頭を拭く。
「小さすぎて着られないよりはマシだ。これ、クリーニングして返せばいいか?」
「いや、僕のほうでアイロンがけまでしておくよ」
意外な返答に俺は手を止めてじっと見つめる。
「そうはいかねえだろ」
「獅子野くんは律儀だね。そこは甘えておいていいところだ」
「ってか、これ、そもそも洗えねえやつか?」
高価な服は一回着たら終わりでクリーニングできないのだと聞いたことがある。寝間着として渡されたものだが油断できない。
俺は冷や汗を流す。
着心地がすごくいいのは、俺が普段手に取れないような高級品だからなのか?
「君が萎縮するといけないから、日常的に使うものから選んだよ」
その返事にほっとして髪を拭く作業に戻るものの、別の疑問が浮かんだ。
「ここの備品じゃねえの?」
「僕が用意した。ここにあるものは使っても構わないとは言われているが、少々厄介なものも多くてね」
確かに、この部屋にある家具や装飾品は異様な気配を持っている。それは高価な品だからというわけではなく、なんらかの怪異がらみの品々だからと判断していた。迂闊に触らない方がいい。
「じゃあ、このシャツが大きいのは店長の見立てってことか」
「ああ。確実に着られるものがいいだろう?」
店長がこれを選んでくれたのか、俺のために。
唐突に花見に出掛けることが決まってここにきたはずだが、いつから寝間着を用意していたのだろう。真っ白で光沢のある生地でできたシャツはすべすべしていて気持ちがいい。
「これ、買い取るから給料から引いておいてくれ」
「サイズが合わないのに?」
「別にそこは気にしちゃいねえよ」
うっかりすると給料がマイナスになりそうだが、それなりに蓄えはあるのでこういうことはきちんとしておきたい。せっかくだから家でも使おうかと思った。俺の使う部屋着にしては高価な気がするが。
店長は読んでいた本をローテーブルに置いて、俺に困ったような顔を向けた。
「また泊まりに来るときのために置いておきたいんだが」
「次があるとしたら、着替えは持参する」
「……そうか」
なんで残念そうな顔をするんだ。
俺には店長の気持ちがわからない。
「ところで君はネコかね?」
「猫じゃねえ」
「タチかな?」
「はぁっ? 藪から棒に、そういう話はすんな」
視界に店長が読んでいた本の表紙が目に入って、俺は頭痛を覚えた。
表紙から察するに、男性どうしがイチャつく場合のハウツー本らしい。あからさまなワードが帯に並んでいる。見間違いや俺の勘違いであってほしい。切実に。
店長は首を傾げた。からかいの意図は感じさせない、探究心でできた顔がこちらを向いている。
「だが、発散する必要があるのでは?」
「興味本位でプライベートなことに踏み込むんじゃねえよ」
研究者としてのサガのくくりで話を振らないでほしい。
俺はため息をつく。
「そもそも、俺のは怪異の元になっているやつの習性が色濃く出ちまっているだけで、怪異に生殖行為はいらんだろ。それとも、店長には必要なものなのか?」
「多くの怪異にとっては不要なものだね。人間に擬態するために行為を真似ているものはいるし、行為そのものが怪異にとって必要だという種はいるが、自身の種の繁殖のためではない」
「ご高説をどうも」
俺らのような怪異は発生するものであって、交わり繁殖することはない。知識欲の化け物でいろいろと精通している店長の認識と俺の認識が合っていてなによりである。
やれやれと思っていると、正面に店長が立った。
「それはそれとして、僕は興味がある」
「行為にか? それとも、俺に、か?」
「どっちもだ」
にっこりと微笑まれてしまった。嘘はついていないようだ。
俺はバスタオルを首にかけた。
「んじゃ、聞くが」
「なにかな?」
「店長はしたことがあるのか? 俺より長生きしているんだし、相手ぐらいいたんだろ?」
店長は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして、首を傾げた。
「興味本位で相手の自我を壊すようなことはさすがの僕でもしないさ」
「そ、そうなのか」
ひと並みの倫理観は持ち合わせていたようだ。申し訳なくなる。
店長は言葉を続けた。
「口吸いだけで全治三ヶ月にしてしまったことを今でも悔いているくらいなのに」
キスで全治三ヶ月ってどういうことだ?
生気を吸い取る系のやつだろうか。回復に三ヶ月と言わなかったあたりに闇がある気がした。
「それは……大変だったな」
「正気じゃなかったってことさ」
とはいえ。店長に相手がいなかったわけではないようで、ちょっとだけ安心した。心と体を許してもいいと思える相手がいたというのは健全だ。
「――獅子野くんはどうなんだい?」
心臓がバクっと強く鳴った。
「未遂」
あまり思い出したくない。
かつての俺は、周囲を惑わせてしまい騒ぎを起こしてしまった。体に傷が残るようなことはなかったにせよ、心は深く傷つけてしまっただろう。
俺は短く答えて視線を外した。
「ならば、落ち着くまでここにいたほうが賢明だろうね。今夜は満月だ。君の怪異としての部分に月が影響を与えずとも、周囲には満月で気が昂ぶる者も多い。シェルターとして使って構わないよ」
「気遣わせてわりいな」
「じっくりと君を観察できる好機を得られて、正直、僕は興奮している」
「観察……」
ただ寝るだけじゃ済まないということだろうか。
俺が疑いの目を向けていると、店長はぱっと両手を肩まで上げた。
「手を出したりはしない。約束は守ろう」
「そういう心配はしていなくても、別の意味で怖えよ」
「おや、僕の好奇心に応えてくれるんじゃなかったのかい?」
「必要なら手伝うとは言ったが、そうじゃねえ」
「ふふ。嫌なら嫌だとはっきり言いたまえ。誤解したくなるじゃないか」
店長は俺の濡れた髪をガシガシと撫でて歩いていく。
「僕もシャワーを浴びるとしよう。髪を乾かしながら待っていてくれ」
浴室へと消える店長の背中を俺は見送る。先に寝ていたかったが、どの部屋を使っていいのか聞き忘れていたことに気づいて、おとなしく待つことにしたのだった。
十数分後。
「なあ、店長」
「なにかね?」
主寝室のキングサイズのベッドに、俺たちは仲良くならんでいる。
「ほかに方法はいくらでもあんだろ。同衾するのはなんというか」
「僕は手を出さないよ。君を失いたくはない」
ベッドは広いから、寝相がまともであればぶつかる心配はないだろう。毛布も羽毛布団も一人ずつ別々のものを被っている。意図しなければ触れ合うこともないはずだ。
俺は大きく息を吐く。
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「その予定でも?」
「とぼけるな」
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湯上がりでしっとりとした黒髪、血の巡りが良くなって赤く上気した肌。眼鏡をしていない彼にいつもよりも強く色気を感じた。
トクトクと胸がうるさい。俺は邪念を振り払うつもりで頭を軽く左右に振る。
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「スタッフルームでいつも無防備に寝ている君の言葉とは思えないね」
「状況が違うって言ってんだ」
スタッフルームにも結界が張ってある。俺が仮眠をするにはちょうどいい場所なのだ。
俺がきつめに言い放ったからか、店長は困ったように笑って頷いた。
「獅子野くんが襲いたくなったなら、僕がきちんと君を止めよう」
「そりゃどうも」
「それはそれとして」
「ん?」
店長が上体を起こして、誘惑するように見つめてくる。寝間着が薄いのか、彼のガタイのいい体のラインが浮き上がって感じられて、俺は目のやり場に困った。
「もし僕が女性の姿をしていたら、君は迷わずに襲っていたかい?」
「ねえよ。そのくらいの分別はつく」
即答できてよかった。今の俺は正直なところちょっと心が揺らいでいる。
「そうか……君は誰でもいいというわけではないのだね」
「俺は、店長が店長だから、こうして隣で寝ることを了承してんだよ」
「なるほど。同じ部屋にいるならベッドに並ぶ必要はないからね」
部屋は広い。ベッドじゃなくても俺は寝られるわけで、店長とベッドに並ぶ必要はない。ただ、隣で寝たいという店長を俺の道連れという形で床に転がすわけにはいかないので、譲歩してベッドに入ったという顛末である。
「ってか、そっちはどうなんだ?」
「どう、とは」
「俺があんたの邪気にあてられて体調を崩す可能性の話だ」
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俺が尋ねると、彼は穏やかな顔をした。
「出力を抑える薬を飲んでいるから、一晩は問題ないだろう」
想定していたどの言葉とも違っていて、俺は驚いていた。
「そういう薬、あるのか」
「僕にも周期があるのでね。君のようなものとは異なるが、厄介な代物だ」
薬でコントロールしているとは思わなかった。怪異が現代科学に頼っていると考えると滑稽だが、暴れまわるよりはずっとマシだろう。
「ふぅん……。そこまでして、こっちの世界で人間の真似事をしなきゃいけねえものなのか?」
俺が尋ねると、店長は何かを考えるように少し待って、困ったように笑った。
「……僕にはあの場所しか居場所がないんだ」
「そういう怪異ってことか?」
「僕に深入りしたいなら、添い寝だけでは済ませられないよ?」
「……なんでそうなるんだよ」
ため息をついて店長に背を向けるように寝転んだ。
「いいかい。僕たちに生殖活動は不要だ」
「なんの話だ」
俺は背を向けたまま続きを待つ。
「ソメイヨシノもクローンで増えるだけから、機能としては花を咲かせる必要はない」
「そうだな」
「そのソメイヨシノも寿命がきて、別の種の桜に植え替えられている。この国の人間は桜を愛していて、開花の記録を日記に記してきた。彼らが記録してきた桜は山桜であって、ソメイヨシノではないはずだ」
「ああ」
「語り継がれることが、桜にも僕らにも必要なことで、生殖行為が存在することと密接に関係しているわけではない」
「……なんだよ」
いつもよりも強引に話を結んだ気がするが、なんの枕なのだろうか。
ベッドが揺れる。
「どうも僕は君と深い関係になりたいようだ」
「結局、自分の身の上話をしたいだけじゃねえか」
「そうだね」
こっちに来るのかと思ったら、店長は姿勢を変えただけで近づいてはこなかった。
「僕はおそらく、君を待ち望んでいたのだと思う」
「……うん」
「できる限り、君には僕のそばにいてほしい」
「うん」
「どうしたら可能だろうか」
「まずは寝ろ。話はそれからだ」
俺はあくびをひとつする。眠くなってきた。
「そもそも睡眠が必要ないなら、とりあえず俺を寝かせてくれねえか? 俺は睡眠が必要な個体なんだ。間違いを起こしたくねえし」
「……そうだね。君と一晩過ごせると思ったら興奮してしまったようだ」
なんではしゃいでいるんだよ。手は出さない約束で、隣で寝るだけなのに。
俺は思わず笑ってしまった。
「ふ、そうかよ」
「こんな気持ちは久方ぶりなんだ」
「高血圧で倒れたりすんなよ。誰に診せたらいいのかわかんねえから」
「ふふ。君は、優しいね」
「優しくはねえよ。面倒を起こしたくないだけ」
「知っているよ」
店長の手が俺の頭を撫でる。くすぐったいが心地がいい。
「おやすみ、獅子野くん。よい夢を」
店長の温もりが離れていくのを名残惜しく思うまもなく俺は深い眠りに落ちるのだった。
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龍の国の若き皇帝・浩明に5大名家の娘である美華が皇后として嫁いできた。しかし美華は病により目が見えなくなっていた。
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紅玉楽師は後宮の音を聞く 〜生き残りたい私の脱走計画〜
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【耳のいい隠れ長公主】✕【したたかな美貌の文官】コンビが挑む後宮の陰謀!
片目が紅い娘・曄琳(イェリン)は訳あって後宮から逃走した妃の娘ーー先帝の血を引く、隠れ長公主。
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香死妃(かしひ)は香りに埋もれて謎を解く
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