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【番外編】あたし、プレゼントになります!
★3★ 4月6日日曜日、22時【AB】【番外編完結】
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抜折羅は滅多に夢を見ない。見ても悪夢ばかりだったのだが、この夜は違った。温かくて心地よい夢――。
まだ続けば良いのにと感じていたところで、異変を察知した。息苦しい。
何かに顔が埋もれて鼻を塞いだらしいと理解して、抜折羅は取り除くべく手を伸ばす。
むにゅ。
想像以上に柔らかい。どおりでこんなものに顔を埋めてしまったら息苦しくなるはずだ。
――しかし、これは何だ?
部屋にこんな柔らかくて大きなものがあっただろうか。手のひらに余るし、丸くて温かい。
むにゅむにゅ。
――ん? この感触……。
思い当たるものが脳裏をよぎり、血の気が引いた。はっと目を開けて、頭をひく。枕元に置いたリモコンを掴むと明かりをつけた。
「紅っ!?」
掛け布団の中に、もう一人いた。上体を起こすと、明るい色のミディアムロングの髪が揺れる。露出度の高いネグリジェから出る肌はほのかに赤く染まっている。立派な胸の谷間に視線が釘付けにされそうになり、慌てて視線を彼女の足元の方にずらした。
「おはよ、抜折羅……いきなり大胆なことしてくるから、声を殺すの、大変だったよ」
紛れもなく、そこにいるのは火群紅本人らしい。
「ヒトの布団に入って何してるんだっ!?」
いろいろと訊きたいことはたくさんあったが、最初に出た疑問はそれだった。
「誕生日の最初に恋人の顔を見られたら嬉しいだろうって言うから……」
歯切れ悪く言うあたり、誰かの入れ知恵なのだろう。そして、誰に唆されたのかすぐわかった。こういうことをしてくるのは一人しかいない。白浪遊輝の仕業だ。
「で、その格好は?」
「プレゼント?」
「なんで疑問文なんだよ」
「だ、だって……」
恥ずかしそうにもじもじしている様は愛らしい。
「……自分で選んだのか?」
紅は首を横に振る。
「こういう格好なら、男のコは絶対に手を出すって言われて……ほら、抜折羅って触ってくれないじゃない。こういう日くらいは、その……」
「お前なぁ……」
寂しい想いをさせているだろうとは思っていた。だが、こんなことをするほど思い詰めていたとは。
「ご、ごめん。迷惑だったよね。やりすぎだったね」
しょんぼりする声が聞こえる。責めているつもりはなかったのに。
「紅?」
抜折羅は紅にそっと近付く。頬に触れて、見つめ合う。うっすらと濡れた瞳が色っぽい。
「――本物がどうか、確かめさせてもらおうか」
返事は待たずに唇を奪う。軽く触れるだけにするつもりが、気付けば舌を絡めていた。
――いけねぇ。理性が……。
正気を取り戻して唇を離すと、彼女の息が乱れていることに気付く。
「抜折羅……」
「――本物、だな」
夢ではない。こんな感触を味わっていたら、夢だったらとっくに覚めているはずだ。
抜折羅は紅に背を向けた。
「どうせ白浪先輩が迎えに来るんだろ? 変なタイミングで入られたくないし、続きはまた今度だ」
「うふふ」
嬉しそうな笑い声。そして柔らかな胸が抜折羅の肩にぶつかった。
「どうしたら抜折羅の理性を吹き飛ばせるのかしらね」
ぎゅうぎゅうと押し付けられる大きな胸は、普通の男ならあっさり落とされるに違いない。何の修行かと思いながら、抜折羅は返す。
「お前、そういう悪戯は悪質だぞ」
「うん。そうだね。白浪先輩に感化されちゃったみたい。――あ。これは白浪先輩から抜折羅への誕生日プレゼントなんだからね! あたしからのプレゼントは、学校が終わったらちゃんと渡すから!」
なるほど、と抜折羅は思う。昼に唐突にやってきた彼からいろいろ世話を焼かれたのだが、つまりこのための仕込みだったのだろうと理解した。
「別に良いのに」
「良くないっ! 思い出も大事だけど、記念も残さないとね!」
「……そうだな」
自分の幸せを後回しにする癖がついていることに、彼女は気付かせてくれる。それはとてもありがたいことで、感謝してもしたりない。自分らしく自分のために生きることを思い出させてくれたのは、間違いなく彼女だ。
「なぁ、紅?」
「なぁに……っ!?」
身体の向きを変えて、紅を下敷きにする。驚きで目を見開いている彼女を見ていると、少し意地悪をしたくなる。
「俺が理性をなくすとどうなるか、教えてやろうか?」
「え?」
口付け。
「お前がエロすぎるのが悪い」
少しくらい、関係を進めてみよう――抜折羅ははにかむ紅を見つめながら、行動に移す。
(あたし、プレゼントになります! ~タリスマン*トーカー 短編~ 終わり)
まだ続けば良いのにと感じていたところで、異変を察知した。息苦しい。
何かに顔が埋もれて鼻を塞いだらしいと理解して、抜折羅は取り除くべく手を伸ばす。
むにゅ。
想像以上に柔らかい。どおりでこんなものに顔を埋めてしまったら息苦しくなるはずだ。
――しかし、これは何だ?
部屋にこんな柔らかくて大きなものがあっただろうか。手のひらに余るし、丸くて温かい。
むにゅむにゅ。
――ん? この感触……。
思い当たるものが脳裏をよぎり、血の気が引いた。はっと目を開けて、頭をひく。枕元に置いたリモコンを掴むと明かりをつけた。
「紅っ!?」
掛け布団の中に、もう一人いた。上体を起こすと、明るい色のミディアムロングの髪が揺れる。露出度の高いネグリジェから出る肌はほのかに赤く染まっている。立派な胸の谷間に視線が釘付けにされそうになり、慌てて視線を彼女の足元の方にずらした。
「おはよ、抜折羅……いきなり大胆なことしてくるから、声を殺すの、大変だったよ」
紛れもなく、そこにいるのは火群紅本人らしい。
「ヒトの布団に入って何してるんだっ!?」
いろいろと訊きたいことはたくさんあったが、最初に出た疑問はそれだった。
「誕生日の最初に恋人の顔を見られたら嬉しいだろうって言うから……」
歯切れ悪く言うあたり、誰かの入れ知恵なのだろう。そして、誰に唆されたのかすぐわかった。こういうことをしてくるのは一人しかいない。白浪遊輝の仕業だ。
「で、その格好は?」
「プレゼント?」
「なんで疑問文なんだよ」
「だ、だって……」
恥ずかしそうにもじもじしている様は愛らしい。
「……自分で選んだのか?」
紅は首を横に振る。
「こういう格好なら、男のコは絶対に手を出すって言われて……ほら、抜折羅って触ってくれないじゃない。こういう日くらいは、その……」
「お前なぁ……」
寂しい想いをさせているだろうとは思っていた。だが、こんなことをするほど思い詰めていたとは。
「ご、ごめん。迷惑だったよね。やりすぎだったね」
しょんぼりする声が聞こえる。責めているつもりはなかったのに。
「紅?」
抜折羅は紅にそっと近付く。頬に触れて、見つめ合う。うっすらと濡れた瞳が色っぽい。
「――本物がどうか、確かめさせてもらおうか」
返事は待たずに唇を奪う。軽く触れるだけにするつもりが、気付けば舌を絡めていた。
――いけねぇ。理性が……。
正気を取り戻して唇を離すと、彼女の息が乱れていることに気付く。
「抜折羅……」
「――本物、だな」
夢ではない。こんな感触を味わっていたら、夢だったらとっくに覚めているはずだ。
抜折羅は紅に背を向けた。
「どうせ白浪先輩が迎えに来るんだろ? 変なタイミングで入られたくないし、続きはまた今度だ」
「うふふ」
嬉しそうな笑い声。そして柔らかな胸が抜折羅の肩にぶつかった。
「どうしたら抜折羅の理性を吹き飛ばせるのかしらね」
ぎゅうぎゅうと押し付けられる大きな胸は、普通の男ならあっさり落とされるに違いない。何の修行かと思いながら、抜折羅は返す。
「お前、そういう悪戯は悪質だぞ」
「うん。そうだね。白浪先輩に感化されちゃったみたい。――あ。これは白浪先輩から抜折羅への誕生日プレゼントなんだからね! あたしからのプレゼントは、学校が終わったらちゃんと渡すから!」
なるほど、と抜折羅は思う。昼に唐突にやってきた彼からいろいろ世話を焼かれたのだが、つまりこのための仕込みだったのだろうと理解した。
「別に良いのに」
「良くないっ! 思い出も大事だけど、記念も残さないとね!」
「……そうだな」
自分の幸せを後回しにする癖がついていることに、彼女は気付かせてくれる。それはとてもありがたいことで、感謝してもしたりない。自分らしく自分のために生きることを思い出させてくれたのは、間違いなく彼女だ。
「なぁ、紅?」
「なぁに……っ!?」
身体の向きを変えて、紅を下敷きにする。驚きで目を見開いている彼女を見ていると、少し意地悪をしたくなる。
「俺が理性をなくすとどうなるか、教えてやろうか?」
「え?」
口付け。
「お前がエロすぎるのが悪い」
少しくらい、関係を進めてみよう――抜折羅ははにかむ紅を見つめながら、行動に移す。
(あたし、プレゼントになります! ~タリスマン*トーカー 短編~ 終わり)
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