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腹癒せにドラゴン退治に行ってきます!
ドラゴンのいる世界 4
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「そっか……。ところで、ドラゴンってあんまり見かけないけど、人間に化けているってことなのかしら?」
私が尋ねると、マッチョさんは小さく唸った。
「まあ、変身の魔法はあるから、一部はそうやって身を隠しているのかもしれないが、俺は出会ったことがないな」
ドラゴンは長寿であるらしいので、どこかで会っていてもいいような気がしたが、そういうものでもないらしい。ボッチで岩山に閉じ込められているマッチョさんの話を聞きつけて訪ねてくる者がいてもよさそうなのに。それでは、さぞかし孤独な時間を過ごしたことだろう。
それはそれとして、引っかかる言葉があった。
「一部は、っていうと?」
「ドラゴンという種は狩り尽くされているんだよ。純粋な種は、おそらくもういない。人間に化けているだろう連中が、ドラゴンの姿を見せないのも、迫害されるからだ」
「え?」
ドラゴンって絶滅しているの?
そりゃあ最近は直接見たという情報はあまり聞かない。マッチョさんが封じられていたあの山にはドラゴンが住み着いているらしいと噂されていたが、そのくらいだ。よくよく思い返せば、伝説上の生き物とそう変わらない扱いである。
私があからさまに驚いたからか、マッチョさんはため息をついてこちらをじっと見た。
「貴女だって、俺を倒しに送られたんだろう、名目上は。つまりはそういうことだ」
やれやれといった表情をされた。
そういう顔をされると非常に不愉快だが、王太子さまの話を聞こうとしなかった非は認め始めている私なので、文句は言うまい。ぐっと飲み込む。
「えっと、それはそうだけど……いや、だってさ、東の山のドラゴンが不穏な動きを見せているから、倒してこいって――」
そこまで言って、状況を理解した。
人間にとって不都合があるから、ドラゴンを排除したいということだ。実態はどうであれ、人間側――少なくともこの国――は、ドラゴンと共存する気はない。
私が言葉を失っていると、マッチョさんが補足した。
「つまり、国家を動かすような連中は、人智を超える強大な力を恐れているのさ。元々はドラゴンの力だったのに、それを魔導師教育で伝えないのも、そういう意図が隠れているんだろう。初めから自分たちの力だったと、そう歴史を書きかえる気なんじゃないかな。これらのドラゴンと魔法についての関係は母親から聞かされたものだ」
「……確かにそうかもね」
意図して隠されていたのだとして。
事情を知っているドラゴンの末裔たちは、これでいいと納得しているのだろうか。知ると少し切なくなる。
「――ここまでについては理解できたと思うけど、だとしたら、特殊系の魔導師は特殊なドラゴンの末裔ってこと?」
私が尋ねると、マッチョさんは首を横に振った。
私が尋ねると、マッチョさんは小さく唸った。
「まあ、変身の魔法はあるから、一部はそうやって身を隠しているのかもしれないが、俺は出会ったことがないな」
ドラゴンは長寿であるらしいので、どこかで会っていてもいいような気がしたが、そういうものでもないらしい。ボッチで岩山に閉じ込められているマッチョさんの話を聞きつけて訪ねてくる者がいてもよさそうなのに。それでは、さぞかし孤独な時間を過ごしたことだろう。
それはそれとして、引っかかる言葉があった。
「一部は、っていうと?」
「ドラゴンという種は狩り尽くされているんだよ。純粋な種は、おそらくもういない。人間に化けているだろう連中が、ドラゴンの姿を見せないのも、迫害されるからだ」
「え?」
ドラゴンって絶滅しているの?
そりゃあ最近は直接見たという情報はあまり聞かない。マッチョさんが封じられていたあの山にはドラゴンが住み着いているらしいと噂されていたが、そのくらいだ。よくよく思い返せば、伝説上の生き物とそう変わらない扱いである。
私があからさまに驚いたからか、マッチョさんはため息をついてこちらをじっと見た。
「貴女だって、俺を倒しに送られたんだろう、名目上は。つまりはそういうことだ」
やれやれといった表情をされた。
そういう顔をされると非常に不愉快だが、王太子さまの話を聞こうとしなかった非は認め始めている私なので、文句は言うまい。ぐっと飲み込む。
「えっと、それはそうだけど……いや、だってさ、東の山のドラゴンが不穏な動きを見せているから、倒してこいって――」
そこまで言って、状況を理解した。
人間にとって不都合があるから、ドラゴンを排除したいということだ。実態はどうであれ、人間側――少なくともこの国――は、ドラゴンと共存する気はない。
私が言葉を失っていると、マッチョさんが補足した。
「つまり、国家を動かすような連中は、人智を超える強大な力を恐れているのさ。元々はドラゴンの力だったのに、それを魔導師教育で伝えないのも、そういう意図が隠れているんだろう。初めから自分たちの力だったと、そう歴史を書きかえる気なんじゃないかな。これらのドラゴンと魔法についての関係は母親から聞かされたものだ」
「……確かにそうかもね」
意図して隠されていたのだとして。
事情を知っているドラゴンの末裔たちは、これでいいと納得しているのだろうか。知ると少し切なくなる。
「――ここまでについては理解できたと思うけど、だとしたら、特殊系の魔導師は特殊なドラゴンの末裔ってこと?」
私が尋ねると、マッチョさんは首を横に振った。
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