〖完結〗俺が【聖女】でほんとうにいいのか? 人は助けるが毛も生やすぞ?

さるナース

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第005話、治癒院 二日目、クレーマーは嫌だなぁ

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2022/03/02、修正してます。

「よし、今日も頑張るぞ!」

俺は治癒院に到着するなり、気合いを入れた、今日はどんな患者さんだろう、イワ先輩から説明をうける。

「今日は女性にも治療をしてもらおうと思うけど、最初は高齢の女性からお願いします、高齢の方は治療を長く行なってる人が多いので場慣れしています、特に言葉使いや態度に厳しいから対応には気をつけてね」

「はい!」

本日も仕事を開始する。


***


1人目、脳に障害のある高齢女性。

「こんにちは」
ニゴッ

「あれ? 男の人かい?」

患者さんは少し太めの女性だ、一応笑顔だけど、目はあまり笑ってない、俺を見て不思議がっている。

「はい、男ですけど治癒師のサルナスです」

「そうかい、なんだか恥ずかしいね、私は背中が痒くてね~」

背中を確認する、見た目はどうもないが、痒いらしい、怪我ではないがケガナオールをかけてみる。

「見た目は……どうもなってませんね、では背中に痒みをおさえるように治癒魔法をかけてみますね、、、どうですか?」

「いいですよ、かゆみがあおさまってきた、あんた丁寧だね、ありがとう」

良かった、うまくいったようだ、特にトラブルもなくて安心した。

「はい、終わりました」

「また、来ますね」


***


2人目、腰痛の高齢女性。

「あれま? うちの息子と同じくらいだね、奥さんいるのかい?」

俺を見るなり、テンション高く話しかけてきた、患者さんは細身の女性だ、身なりはよさそうだが少しハデな印象だ。

「いえ、独身です」

「そうかい、うちの息子は去年に結婚したんだけど、奥さんにベタ惚れでね、もうメロメロなんよ~」

息子の自慢とか、世間話を始めた、俺が口を挟む間がないほどの勢いで話してくる、なんとか本題に入らなくては。

「腰は…どうですか?」

「あ、そうそう、ここ(腰)お願いします、痛くてね~」

女性は思い出したかのように腰を見せてくる、痛みならケガナオールでよさそうだ、万能な魔法だな。

「ん~…… 終わりました」

「良い腕だね、気持ちよかったよ、ありがとう」

その後も数人の治療を行い、俺は休憩室へ行く。


***


休憩室に入るとヨネーさんが先に休憩しており、俺に声をかけてきた。

「やぁ、お疲れさま、どうだい? 少しは慣れてきた?」

「あ、ヨネーさん、なんとかですね、どちらかというと病気や痛みを訴える人が多いんですね、イメージでは外傷が多いって思ってたのですが」

今のところ外傷のある人は、昨日の男性くらいだ。

「ん~、最近は少ないみたいだね、でも油断してると大勢やってくることもあるよ、怪我人は冒険者の場合が多いから、痛みで錯乱してることもあるし、その時は僕たちが押さえつけたりもしてるよ」

たしかに冒険者が痛みで錯乱してたら、女性の治癒師には対応が難しい、俺はもっと鍛えておかないと、と感じた。

「ヨネーさん強いんですね」

「僕はまだまだかな、うちの課長は強いよ、頼れる兄貴って感じ、ちょ~っとキャラが濃いけどね、会ったらサルナス君ひくかも」

俺はまだ会ったとこはないが、そうかキャラが濃いのか、それでもサラリーマン時代よりマシだろう、ヨネーは課長について、苦笑いで説明してくれる。

「課長さんにはまだ会ってないですね、大丈夫です、濃いオッサ… いえ濃い人には慣れてますので」

「それならいいけど、課長は事務仕事が多いからね、普段は部屋にこもってるよ、さてそろそろ休憩も終わりかな、じゃあ午後からも頑張って」

「はい」
(ヨネーさん良い人だな)

ヨネーさんは仕事へ戻り、俺はもう少しくつろいだ。


***


午後になり、診察室に行くと、イワ先輩が俺を呼び止めてきた、なんだか困った表情をしている。

「あ、サルナス君、ちょっといい?」

「イワ先輩、どうしました?」

「午前中にマッツモさんを治療した?」

「えーと、誰でしたっけ?」

「背中に痒みがあって、脳に障害のある高齢の女の人」

「あ~、しました、背中に治癒魔法をかけました」

「その時なにか言われた?」

朝の様子を思い浮かべるが、普通の会話だったと思う、俺は疑問に思い、イワ先輩に聞いてみる。

「いえ、特になにも、どうかしたんですか?」

イワ先輩は言いづらそうな表情をして、ゆっくり話し出す。

「気を悪くしないでほしいんだけど、午前中に男の人に治療してもらったけどやり方が気にくわなかった、態度も悪かったって言いふらしててね…… 笑顔も気にくわないって……」

(はぁ? そんな悪い態度とってないし! 笑顔は……言い返せない)

「えっ!? そんな…… 患者さん笑顔でしたし、喜んでましたよ」

笑顔はともかく、態度に問題があったとは思えない。

「……言いがかりだとは思ったのよね、でも一応確認はしないといけないから……サルナス君に話を聞こうと思って、マッツモさんはね、よくスタッフいびりをする人で必ず誰かしら標的を決めて悪口を言ったりするのよ、特に新人さんを標的にすることが多くて、それで精神を病んで辞めたスタッフもいるの」

(なんだそりゃ! クレーマーってやつか!)

「どうしたらいいですか?」

「まぁ、あまり気にしないことかな、サルナス君が悪いわけではないから、マッツモさん独り暮らしで家族さんは遠くにいるし、寂しいのかもね、あの人のいびりは新人さんみんな通ってきた道だし…」

(え~… それなら先に教えてほしかった…)

「前に男性の補助さんに手伝ってもらったら、『あの人は無精髭があった、私は無精髭が嫌いなんよ、二度と来てほしくない』ってワザワザ夜に治癒院まで言いに来たこともあるし……」

よほどの暇人か? クレーマーってやつか? ワザワザその為だけに寄るに来るなんて迷惑だな、そういえばここは夜も開いているなか?

「はぁ~? わざわざ夜に?? ここって夜も開いてるんですか?」

クレームはいつものことらしい、イワ先輩は言いづらそうに話してくれた。

「急患に備えて交代で少しスタッフが泊まるの、夜遅くに来たから何事かって思ったらそれだけ言って帰ったわ、マッツモさん治療してるその場では言わないのよ、後で他の人に言う感じかな、本人には言わないで周囲に言いふらすの」

「…他にもクレームとかありますか?」

俺は他にもクレームがないか、不安だった。

「他は大丈夫よ、サルナス君、治療うまいよね、評判いいよ、すぐに出世するかもね」

良かった、クレームは他にはない、出世については今はしたくないな、なんか大変そうだし、今度の仕事ではのんびりしたいしな

「それならよかった、そんな出世なんてまだまだですよ」


午後からも何人か治療を行い、本日もお仕事終了~

お疲れさまでした!



***


帰宅して、今日の出来事を振り返る。

「クレーマーかぁ……ウザい、出禁だめなのかな~、昨日の大声だす男の人も出禁にしたい、でも他の患者さんは大事にしたい、治療して笑顔を見せてくれるのは嬉しい、けど文句ばかりの人に対しても同じように接する自信はないなぁ……」

俺は笑顔に自信がない、作り笑いも苦手だ、患者さんによっては、よくない態度がすぐに表に出そうになる。

「イワ先輩は凄いよ、いつもニコニコしてるんだもの、俺は顔に出すぎかな、笑顔って難しい、なんで俺が笑うと "ニゴッ!" なんだろな、前の職場の影響で笑顔が濁ってるのかな、あの先輩たちどうしてるのかな~」

俺はふと前の職場を思い浮かべ、眠りにつく。
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