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第011話、すれ違う二人
しおりを挟む2022/03/03、修正してます。
院長室を出て、イワ先輩の元へ戻るため、廊下を歩いてると補助員のタケーダが現れた! 選択肢→逃げる? 戦う? 胸毛を生やす? 会話する?
どうするか、悩んでいると、タケーダが話しかけてきた、この人は言葉は丁寧だが、話してて楽しくない。
「お疲れさまです、ご活躍されたそうですね」
「お疲れさまです、たまたまですよ」
ニゴッ
(俺はまだ新人だし、とりあえず謙遜しておこう)
「たとえ、たまたまでも、まぐれでも、みんなから誉められて、羨ましいですよ、私たちはこの後、片付けで大変ですけどね、それでも給料かわりませんし、誉められもしません」
一応顔は穏やかだけど、話し方がうっとおしい感じだな、嫌みがくどいし、顔もくどい、一言で言うなら面倒くさい。
「補助員さんも大変ですよね、今回は怪我人が多く出たみたいですし、死者がでなかったから良かったです」
「そうですね、それもあなたのおかげですよね、それでは失礼しますね」
タケーダは立ち去った、なんかあの人と会話すると、疲れるな。
***
更に廊下を歩いてると、後ろから知らない女性が話しかけてきた、補助員さんだった、不安そうな表情をしている。
「あの、すみません」
「?」
(なんだろ?)
「表に怖そうな人がウロウロしてて、怪しいんです、一緒に来てもらえませんか?」
怪しい人か、この騒動にまぎれて、何かしようとしているやつでもいるのかな、とりあえず見に行くか。
「あ、はい いいですよ」
女性の案内で治癒院の外へ出ると、たしかに誰かがウロウロしているのが見えた、挙動不審な動きをしている。
「あれです、ぜったい怪しいですよね、凄い怖い顔してます!」
俺はその人物に見覚えがあった、ひとまず女性を安心させよう。
「あれは、、、 あ~大丈夫、知ってる人だ、顔は怖いけど悪い人ではないから安心していいですよ」
「そうなんですか?! すみません、怪しいだなんで言って」
女性は驚き、謝罪してきた、いや大丈夫、俺も前は怖いと思ってたし。
「後は俺が対応するから、仕事に戻っていいですよ」
「はい、ではお願いします」
女性は仕事に戻っていった。
「どうしたんです? サドンさん?」
怪しげな動きをしてた人物は、かつての職場の先輩『サドン』だった、痩せてて、顔が怖くて、神経質そうな目つきをしたオッサンだ、なんか前より痩せた気がする。
「ん、君はたしかサルナス君、どうしてここに?」
「いまここで働いてるんですよ、サドンさんこそどうしたんですか? ウロウロして」
(怖い顔でウロウロしてるもんだから、女の人が怖がってるんだよな~、久しぶりに会ったけど、、、 うん、顔が怖い!)
「あ~… ここから会社に呼び出しがあってね、シラハが何かしたらしいんだけど、あまり説明がなくて、上司から『行ってこい』とだけ言われて来たんだが、、、 あまり怪我や病気をしたことがないから治癒院なんて来たことがないし、誰かに聞こうにも女の人ばかりで、、、 その、、、 話しかけられなくて」
サドンは怖い顔ながら照れている、女の人が苦手なのか、こんなにも痩せてて治癒院に来たことがないとは、シラハさんかぁ、魔物騒動の件だな、たしか奥の部屋にまだいると思うけど、奥の部屋ってどの部屋だろうか? ノミー課長も一緒なのかな、ヨネーさんならわかるかな、連れてこよう。
「…なるほど、えーとシラハさんなら奥の部屋らしいのですが、俺も場所がよくわからなくて、ちょっと待っててください」
俺は一旦その場を離れて、補助員のヨネーさんを連れて戻ってきた。
「お待たせしました、この補助員さんが案内をしてくれます」
ヨネーさんとサドンさんを会わせる、ヨネーさんの表情が歪む。
「こんにち… う"っ (顔が怖いっ!) …失礼しました、補助員のヨネーです、シラハさんの件ですよね、案内します こちらへどうぞ、、、 サルナス君、後は僕が対応するからいいよ」
「すみません、ヨネーさんよろしくお願いします」
(さすがヨネーさん、一瞬だけ顔が固まったけど、すぐに笑顔に戻った、サドンさんの顔は初対面にはきついからな、悪い人ではないんだよな~、顔で損してるよ)
***
やっと戻ってこれた、さーて、怪我人を治療していくかな。
「イワ先輩、怪我をした人はまだいますか?」
「あ、サルナス君、怪我人はだいぶ落ち着いたわ、院長とのお話はどうだったの?」
「あ~ 俺が使ってた魔法についての話でした」
(頭に毛を生やしてたとは言わない方がいいかな)
「そう、、、たしかに凄い魔法だったもんね」
(黒い瘴気を消した魔法、、、 かつて聖女が使ったと語られてる伝説の魔法だもんね、院長も興味津々よね)
気持ちがすれ違う二人、、、
サルナスは"ケガハエール"についての話だと思い、イワ先輩は"クロキエロ"についての話だと思って会話してます、それを踏まえた上で続きをどうぞ。
「院長先生も初めて見たと言われてました、それで今後もあの魔法について検証が必要だとも言われてました」
(あの魔法で生やした毛って普通に成長するのかな? それともある日突然、効果が切れて抜け落ちたりとか、、、 そうなると院長がショック死の恐れもあるような、、、 深く考えない方がいいかな)
「検証かぁ、たしかに必要だけど、でもそんなにあの魔法を使える対象がいるわけでもないし、試すのは難しいわね」
(今までも黒い瘴気をまとった魔物がいたかもしれないけど、その瘴気が現段階ではサルナス君以外には見えないのも難点ね、目に見えないことには検証もしづらいし)
「そうですか? あの魔法を試す対象なら探せばたくさんいそうですけど」
(主に男性だけど頭部の悩みを抱えた人は多いと思うし、待てよこれを商売にしたら稼げるのでは? いけるかも!! 治癒よりこっちの方が良いんじゃないかな)
「そ、そうなの? サルナス君には多くいるように見えるの? それは、、、 怖いわね」
(今までそんなに身近に瘴気をまとった魔物がっ!? 当然だけど気づかなかった)
「怖いですか? 女の人から見たらそうなんですね」
(ハゲた男って怖いのかぁ、俺も気をつけて頭皮のケアをしないと)
「男の人でも怖いと思うけど、、、 もし対象を見つけた場合は報告してね、危ないから一人では対応しないように」
「わかりました」
(心配症だなぁ、でも心配してくれるのは嬉しい)
「もう怪我人もいないし、後は補助員さんに後片付けをお願いするから、サルナス君は早めに帰ってゆっくりしていいわ、院長には私から伝えておくから、お疲れさま」
ニコッと優しい笑顔を向けてくれた、俺もこんな風に笑顔で人を癒したいな。
「すみません、ではお言葉に甘えてお先に失礼します」
(やった、早めに帰れる なにしようかな~、筋トレかな? あ、たまにはジムとかもいいかな、たしか近くにジムがひとつあったな、夕食の後にでも行ってみるか)
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