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第013話、ギルドマスターはスキンヘッド。

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2022/03/03、修正してます。

俺はあくびをして、背伸びをしながら冒険者ギルドへ向かって歩いている、冒険者ギルドに来るようにと治癒院へ連絡があったからである、昨日はジムで頑張り過ぎた、きっと俺は眠そうな顔をしているのだろう。

「ふぁ~… まだ眠い… 昨日はジムで張り切り過ぎたかな、疲れは魔法で回復できるけど、眠気はとれないな~… ん~」

冒険者ギルドへ到着し、半分寝ぼけたような顔をしたまま、俺は扉を開ける、受付さんに向かって、のんびりとした挨拶をする。 

「おはようございま~す、ふぁ」

「おはようございます~!」

受付さんは元気に挨拶を返してきた、笑顔がまぶしい。

「おはようございます、受付のAさん」

「改めまして、受付のツルンと申します~、前回は名乗り忘れてました~、サルナスさんよろしくです~」

おお、受付さんは『ツルンさん』というのか、名は体を現すというが、ジーー… 俺は無言でツルンの胸の辺りに視線を向ける、ペッタン… いやスレンダーな体型をしている。

「どこを見てますか~? 何か失礼なことを考えていませんか~?」

ツルンは俺にジト目を向けてきた、俺は目線をそらしながら笑顔で誤魔化す、最近は俺が笑顔を向けると相手が黙るので、話をそらす時にはかなり有効な手段と思ってる。


「あ、いえ、とんでもないです、すてきなお名前ですね」
ニゴッ

「……笑顔がぎこちないですね~」

「はは、ところでこちらに来るようにと治癒院へ連絡があったんですが、、、」

「少々お待ち下さい~」

ツルンは奥へ引っ込み、なんか強面の大男を連れて戻ってきた、頭はスキンヘッド、鼻の下にはひげを生やしている、目つきはいかつい、筋肉が凄い、特に胸筋が凄いな、ツルンさんに少し分けたらいいのに。

「お前がサルナスか? ふむ、なるほど、たしかにシリにひかれるタイプだな」

初対面で失礼だな、心外だ、俺は優しいだけだ、けっしてドSの天使である治癒師の皆さんにヒビってるわけではない。

「えーと、、、」

俺が戸惑っていると、ツルンさんが紹介をしてきた。

「こちらギルドマスターです~」

ギルドマスターだったのか、用心棒かと思った、山とかで会ったら山賊に間違いそうだな。

「急に呼び出して悪かったな、ギルドマスターのオリーだ、よろしく」
ピカッ!

オリーは白い歯を輝かせて、さらに頭も輝かせて笑顔で挨拶をした、後光がさしているようにも見える、お年寄りなら思わず拝みそうだ、俺はやや目を細めて挨拶をする。

「は、はじめまして、サルナスです」

(ま、まぶしい! なんてオーラだ、院長とは違いお手本のようなスキンヘッド!)

「ここでは話しづらいから、俺の執務室へ来てくれ」

俺はギルドマスターに案内され、奥にある執務室へ向かう。


***


ギルドマスターの執務室に来た、机とイス、後はよくわからない怪しげな装飾品? 剣や盾もある、武骨な部屋だ。

ギルドマスターのオリーさんは執務室のイスへ座り、両肘を机に乗せ、顔の前で手を重ね合わせ、真剣な表情を俺に向けている。 某アニメのサングラスをした父親のようなポーズだ。 俺は机を挟んで、その正面に立っている。


「さて、呼び出した理由はなんとなくわかっているとは思うが、、、」

オリーさんは真剣な表情をしている、俺も釣られて真剣な表情で返事をする。

「はい……… "毛"………ですね」キリッ!

(きっとオリーさんも院長と同じで、頭に毛を生やしたいのだろう、うんうん、わかるよその気持ち)

「そう、、、け… ?? ん? なに?」

オリーさんは意味不明といった表情をした、毛ではないのかな、でもそのスキンヘッドはまぶしいので毛を生やした方が会話をしやすいと俺は思う、似合ってはいると思うけど、ピカピカと効果音が少しうっとおしい感じがするし。

「えっ? 頭に毛を生やすんですよね?」
キリッ

「違うっ! そんなことのために呼ぶわけないだろ! だいたい、俺の頭はハゲではない! 剃ってるのだ!」

ピカッーー!っと曇りひとつないスキンヘッドの頭が輝く、光魔法か? 初めて見たぞ。

「うっ!」

(まぶしい!! 普段から磨いていないと、この輝きはでない! 本当に剃っているのか!)

俺は顔をしかめて、輝く頭部を凝視してみた、見事な球体、水晶のように透明感もある。

「まったく、、、 だいたい毛を生やすなんて、そんな魔法があるわけないだろう」

「えっ?」

「ん? ……あるのかそんな魔法? 使えるのか?」

「…はい」

俺は普通に答える、院長にも使ったし、今のところ副作用もなく、毛は生えたままだ。

「ふぅ~む、はぁ~ その件はまた今度にしよう、情報が多すぎて、今日だけでは処理しきれん」

オリーは話を進めたいので、毛の話は次回へ持ち越した、気を取り治して話を再開する。

「今日ここへ呼んだのはだな、前にここに来た時に水晶と鑑定で適正を調べたな? それで "治癒師" の適正がわかり、研修をうけて、今は治癒師として治癒院で働いている、ここまでは間違いないな?」

「はい、そうです」

「聞いてはいると思うが、"男の治癒師" は大昔に存在してた"らしい" という記録しかない、はっきりとしたことはわかってないのだ」

そういえば、ツルンさんもそんなこと言ってた、俺はうんうんと頷きながらオリーさんの話を聞いている。

「それで、お前の適正チェックの後に文献を調べ直してみたが、やはり男の治癒師というものが見つからないのだ、そこでさらに詳しく調べようと思い、お前をここに呼び出した」

「はぁ」

(やっぱり、俺ってよくわからない存在なんだな、珍獣扱いなのかな、それならもっとチヤホヤされてもいいと思うんだけどな、研修とか扱いが雑だったし、、、 あのドSのツッチーめ)

俺は研修を思い出し、複雑な表情をしている、オリーはそんな俺に気づいて声をかけてくる。

「ん? どうした?」

「いえ、なんでもありません」

「そうか? それならいいが、、、 それでだ」

オリーは机の引き出しから四角いガラスの板のようなものを取り出した、見た目は綺麗なガラス板、美術品のようだ。

「これは前に適正を調べた水晶よりも、詳しく魔力の大きさや特性を測ることができるものだ、ただし大昔に作られたこともあり、仕組みはよくわからず、今では誰も作ることのできない代物だ」

じっくりと見てみるが、やっぱりただのガラス板にしか見えない、オリーは説明を続けた。

「ここに手のひらをあてて、"ステータスオープン"と唱えると、その者の情報が表示される」

「へ~ 凄いですね」

(こんな魔法道具があるのか、前の仕事を極めていたら、いずれこんなのも作れたのかな…… いや、俺には無理だな)

俺は素直に感心し、前の仕事について思い出す、古代文明についてはまったく知識がないが、こんな凄いものを作ってたんだな。 オリーは俺にガラス板を渡して、使ってみるように促してくる。

「さぁ、やってみてくれ」

「わかりました、ステータスオープン」

俺はガラス板に手を置き、言葉を唱えた、ガラス板に文字が浮き出てきた、どれどれ。



【サルナス】
種族---人間
性別---男性、あまり異性にモテる方ではない
適正---治癒師、成長期のため変化するかも
魔力---測定不能、成長に伴い使える量が増える
体力---並みより上、鍛える余地あり
筋肉---まだまだ甘い、腹筋を板チョコレベルにすべし
運勢---転職して良かったね、運気は上がる見込み



(なんというか、、、 モテる方ではないって余計なお世話だよ、適正に成長期とかあるの? 筋肉はその通りだな、腹筋を更に鍛えよう、 最後のは、、、 おみくじか?)

俺は古代の人の性格を疑問視した、凄い発明なのに、言葉の表現が軽い気がする、とりあえず気になる部分について聞いてみようかな。

「あの、いろいろツッコミたい部分は多くありますが、とりあえずおいといて、魔力が測定不能ってのは?」

「ふむ、、、 基準よりは大きな魔力であることは間違いないだろう、使える魔力も変化するようだ、それ以外はわからんな」

「はっ?」
(結局わからんのかい)

「いや、これまではこの魔法道具を使えば、詳しく知ることができたのだが、、、 こんな表示は初めて見たな、この道具をもってしてもわからんとはどうしたものか」

オリーは頭を悩ませ、困った表情をしている、俺ってそんなに珍しい生き物なのか? 今まで平凡に生きてきたのだが、どこでどう間違ったのかな。

「まぁ、要観察ということにしておこう」

「観察されるんですか?」

嫌だなぁ、なんかいよいよ珍獣みたいだ、美女に観察されるのであればまだ我慢できるけど、こんなヒゲのスキンヘッドのオッサンに観察されるのは精神を病みそうだ。

「そんなにずっと観察するわけではない、問題を起こさなければそれでいい、身体に変化があったりしたら教えてくれ、他に何かわかったら声をかけるから、その時は協力してほしい」

「わかりました」

それならいいか、身体に変化ねぇ、すでに筋肉が変化してるけど、あの○○ブートキャンプみたいな研修のせいで。

「今日はもう帰って大丈夫だ、来てくれてありがとう」

「はい、では失礼します」

俺は執務室を出て、受付へ向かった。


***


受付に戻ってきた、俺を見つけたツルンさんが声をかけてくる。

「どうでした~?」

「ん~なんだろ、よくわからないってことが分かった、と言ったらいいのかな」

俺も話しててよくわからない、ツルンさんの頭に?マークが浮かんでいる。

「?」

「観察するって言われた」

「観察、、、 なるほど~、ストーカー宣言ですね~、ギルドマスターは前から少し怪しいと思ってましたが、サルナスさんがタイプだったとは~ キャッ!」

ツルンさんはニヤニヤしている、少し興奮しているようだ、顔が赤い、怪しいとはどういう意味なのだろう、まさかノミー課長のような感じなのか。

「えっ!? オリーさんってそうなの?」

(最近、知り合う男の人ってそんなんばっかり?)

俺は心底、嫌そうな表情をして、げんなりしている。

「ふひひ、気を付けた方がいいかもです~」

「なんでそんなに嬉しそうなんですかっ!」

「別に他意はないです~」

「……じゃあ今日はこれで失礼しますね」

俺は呆れた顔をして出入り口へ向かう、ツルンさんはなんであんなに嬉しそうなんだ?

「ハイです~(ニヤニヤ)」

ツルンは最後までニヤニヤして見送った。

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