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第一章 神の覇権争い

第一話

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 お早う御座います。僕の名前は五里山ゴリやま 五利他ゴリたです。

 なーんて、言いませんよ?今信じました?本名は筑真 時雨つくま しぐれですよ。ちょっと冗談好きなだけです。
 知り合いからは、怒ると完全にSだと言われますが心外です。

 今日もいつもどおりに朝起きて学校に向かいました。何の変哲もない日常です。もう信号機や車もいつもどおりでした。
 なのに、それなのに、コンビニ強盗で小型バイクで逃げてきた犯人に轢かれ、飛ばされた先には大型トラックがいました。本当に不運でしたね。バイクだけならギリギリ生きていたのかもしれないのになあ。

 僕、真面目に生きてたんですよ?友達も多かったし、普通に思春期の男子らしく恋もしてました。とっくに消え去りましたが。
 親友が中学浪人になってしまい、信頼できたので借金の保証人になってしまいました。親友は外国へ逃げ出し、僕が払わなければならなくなりました。
 何とか払えたものの、その親友は雲隠れしてしまいました。信用できない人になってしまうとは情けない。

 恋をした人は犯罪者で、僕の家族を全員殺されました。怒ったり恨んだりする前に哀しみましたね。争いとは無縁な生活でしたので。

 と、まあ。前置きはこれくらいにして、今真っ白な空間に居ます。そこで運動座りでじっとしています。何もない真っ白な空間って怖いんですよ?知ってましたか?
 でも、今目の前に人が居ます。ジーっと僕の顔を覗き込んでいる綺麗な顔をした人です。綺麗な顔ですねー。超美人です。モデルにでもなれば大ヒット間違い無しですね。

 金髪の長く伸びた髪、吸い込まれそうなパッチリとした蒼い目。綺麗です。

 「ゴメンナサイ。勇者召喚にちょっと失敗しちゃって、あなたが死んじゃったの。だから女神の全権限であなたを転生させます」

 ・・・・・・へ?いったい何をいってるんですかこの人?どんな美人も変なことを言えば残念な人に成り下がってしまいます。

 「いや本当なんですってば。だから転生させてあげようかと。事情があって、全く違う世界へ行くことになりますが」
 「・・・・・・そうなんですか。僕は死んで、もう一度人生をやり直すんですね?今から消えることって可能ですか?」

 また辛い人生を歩むくらいなら消えてしまうほうがとっくに楽ですから。辛さよりも、僕は楽を選びます。

 「ゴメンナサイ。今から消えることは出来ないんです。でも、いくらかの願いならかなえられます」
 「え、えーと。なら、信じた人に裏切られない人生にして下さい。それと、僕は造る事に興味があるので、えーと、どんな世界なんですか?」
 「あなたの世界で言うRPGゲームの世界みたいなもの。こんな感じでステータスがある」

 そういってとても綺麗な女神様は、僕のステータスを出して見せた。きわめて普通なステータスらしい。といってもそれなりに強い部類に入るそうだ。

   名前  筑真 時雨つくま しぐれ
   状態  死亡 霊魂
   職業  高校生
   種族  人間
   生命  50/0
   体力  43/0
   魔力  0/0
   筋力  35/0
   攻撃  21/0
   防御  25/0
   速度  36/0
   機動  15/0
   能力  無し
   魔法  無し
   称号  無し

 「多いですね」
 「うん。でも、能力も称号もないのにこの数値は凄い。職業も、平均値に近づく補正がかかるのにな」

 そうなんだ。要するに弱くなるかもしれないんですね。そんなの知らなかったです。あたりまえですね。世の中にはまだまだ知らない事がいっぱいあると今知りました。

 「あ、ちなみにお願いは、えっと、やっぱり職業を選ばせて欲しいということです」
 「わかった。あなたが選べる職業を表示するね」
 「ありがとうございます。女神様」

 でも、女神様だからなのか、お願いしても反応が早いなあ。出来ないことが少なそうだ。何でも出来る神様なんて、僕は信用しないって決めたから。

 「はい。この中から、あなたの力なら四つ選べる。選んだら、扉に入って。物心がつくときに、記憶も戻るから」
 「はい、ありがとうございます」

 女神様は消えていき、代わりに大きな両手扉が現れた。

 「やっぱり、神様って本物なのかな」

 そう呟きながら、表示されていたボードのようなものに目を向ける。

   選択可能職業
    ・特異錬金術師
    ・導師
    ・治癒師
    ・聖者
    ・召喚師
    ・魔導鍛冶師
    ・錬金術師
    ・術師
    ・魔術師
    ・鍛冶師
    ・剣士

 うーん。RPGゲームみたいな世界だって聞いたから、戦闘系職業が多いのかと思ったらそうでもないんだな。
 うーん。興味があるのは【特異錬金術師】【導師】【治癒師】【聖者】、それに【魔鍛冶師】【魔術師】【召喚師】かな。この中から四つ。うーん、迷うなあ。
 これ、詳しいことを調べられるのかなあ?
 そっと、表示された職業を触る。すると、その名前が大きく表示されて詳しい詳細があらわされた。

   特異錬金術師
    錬金術師が出来ることは全て出来る。
    そして、普通では作り出せないようなものが作れる。
    過去には不老薬が生み出された。

 これが一番凄いのでは?でも他の職業もしっかり確認しよう。

   導師
    魔術師、術師が出来ることは全て出来る。
    そして、全ての魔法の適正を得られる。
    自分のオリジナル魔法を作り出せることがある。

   治癒師
    魔法や術で対象を癒せる。

   聖者
    回復魔法・極が扱える。
    そして、普通治せない様なものも感知することが出来る。
    人助けをすると、ステータスの数値に補正がかかる。

 治癒師は聖者に組み込まれてるんじゃないかな?それに魔術師も同士に組み込まれてる。とりあえず治癒師と魔術師は省いて、あと魔鍛冶師。

   魔鍛冶師
    鍛冶師の製作可能なものは全て製作可能。
    普通出来ないような魔法道具、マジックアイテムを製作可能。

   召喚師
    契約したモンスター、または魔物を呼び出し、仲間として扱う。
    戦闘には不向きなことが多い。

 うーん。よし、決めた!
 特異錬金術師と聖者、それに魔鍛冶師と召喚師!

 心の中で決心すると、胸元が暖かく光りだした。目を丸くして驚いてると、ゆっくりと収まり元に戻った。

 なんだったんだろうか。ま、いいか。じゃ、新たな人生へれっつごー!!










 お早う御座います。転生してからすでに6年。もちろんこの世に生まれてから6年です。記憶が戻ったのは4歳あたりからですかねー。かなり遅いような気がしますけど、僕は転生者だから。

 「おーい。シグレ!ご飯だぞー!」
 「分かりました、今行きますお父様」

 はい。生まれ変わっても名前はシグレです。その上に貴族に生まれました。この世界では、5歳から7歳のあいだにステータス表示の力をえるようですが、僕は生まれついたときから持ち合わせていたようです。
 私の今の外見は、前世の顔を幼くして、少し西洋風に整えたような顔です。目は銀と黒のオッドアイでした。髪は銀色で、ところどころ黒い髪が混ざっています。
 それと、貴族の子供は生まれたときに一度、6歳の誕生日の時にもう一度測定します。ステータス表示が使える子供も使えない子供も、しっかり測定する為です。僕のステータスはこうなっています。

   名前  シグレ・リオルニス・ハウスレート
   年齢  6
   レベル 6
   状態  良好 魔力循環
   職業  特異錬金術師 聖者 魔鍛冶師 召喚師
   種族  ヒューマン
   生命  84/84
   体力  102/102
   魔力  134/132
   筋力  24+24
   攻撃  54+24
   防御  68+24
   速度  96+24
   機動  57+24
   能力    【拳闘術Lv1】【剣闘術Lv1】【鍛冶Lv1】
       【盾闘術Lv2】【錬金術Lv2】【魔鍛冶Lv2】
       【特異錬金術Lv4 ×11】
   魔法  【魔法適性Lv1】【契約魔法Lv1】【召喚魔法Lv1】
       【回復魔法Lv2】
       【魔力循環Lv4】
   称号  転生者 四職の使い手フォースラウンダー 非戦闘員 オッドアイ
       ハウスレート領次期領主

 と、こんな感じです。鍛冶と錬金術と魔法適性、回復魔法は生まれつきレベル1で覚えていました。魔力循環は物心ついたときからずっと訓練していましたから。自分で考えて何とか形にしました。
 四職の使い手フォースラウンダーは、自分の職業に関する行動をした時に、行動に補正がかかるというものでした
 非戦闘員は、戦闘をすることでレベルアップしたときに補正がかかるというものです。
 オッドアイという称号は、目に関する能力に補正がかかるらしいです。
 この世界に来て、レベルと年齢の欄が増えていたのでしばし考え込みましたが気にしないことにしました。それと、年を重ねるとその分レベルが一つ上がります。

 「わあ今日のお昼ご飯はパスタですか!」
 「ああ。お前の大好きな味だぞ」
 「ありがとうございます、お父様!お母様!」

 この世界にはモンスターや魔物が存在します。もちろん動物も生息しますが、比較的安全な地域でしか見られません。

 父親の眼の色は赤色です。髪も赤ですが、元冒険者で右目に眼帯をしています。でも、怪我をしたわけではなく目の色が黒いからです。この世界では黒は忌むべき色です。ですが、母は銀髪銀の目なので、聖なる色とされています。
 僕はそのオッドアイなので、プラマイゼロで普通です。普通だといわせてください。ちなみに右が銀で左が黒です。

 奇怪な目で見られるので地味に辛いです。だって、忌み嫌われる色と崇め奉る色のオッドアイときたら、変な人がよってきます。実際、「混沌の申し子よー!」とか言いながら詰め寄ってきた変なおじさんが詰め寄ってきました。

 「おいしかったです。ありがとうございます。明日入学式ですよねお母様」
 「ええ。あなたのことだからきっとすぐに試験で飛び級するんでしょうね」
 「期待に応えられるよう頑張ります」
 「ああ。期待しているぞ!」
 「はい!」

 でも、その前にすることがあります。自由に使わせてくれる僕の部屋には、様々な物がいっぱいあります。これでちょっとした、粉を作ろうと思っています。もちろんただの粉ではありません。いろんな効果を持った粉です。
 いやー、本当に試行錯誤しました。
 【魔粉】と呼ばれる魔力が小回復する粉ですが、これにスライムグミと呼ばれる高温で溶かすと低い粘着質を持つ液体にり、魔粉とスライムグミを、5:1の割合で低温で熱しながら混ぜ続けると、【上魔粉】になります。
 この上魔粉を作る過程でちゃんと合っている物を混合させるとそれに見合った効果が現れる。

 例えば、魔粉とスライムグミ、ファイアスライムの核をすりつぶし、5:1:2の割合で低温で混ぜると、【火魔粉】になります。これを使うと、攻撃に火属性が一定時間宿ります。
 今完成しているレシピは、11個になります。

 魔粉・スライムグミ・スライムの核の粉末 5:1:2
     【超魔粉】 上魔粉の上位相互
 魔粉・スライムグミ・ファイアスライムの核の粉末 5:1:2
     【火魔粉】 一定時間攻撃に火属性付与
 魔粉・スライムグミ・ウォータースライムの核の粉末 5:1:2
     【水魔粉】 一定時間攻撃に水属性付与
 魔粉・スライムグミ・アイススライムの核の粉末 5:1:2
     【氷魔粉】 一定時間攻撃に氷属性付与
 魔粉・スライムグミ・ウインドスライムの核の粉末 5:1:2
     【風魔粉】 一定時間攻撃に風属性付与
 魔粉・スライムグミ・サンダースライムの核の粉末 5:1:2
     【雷魔粉】 一定時間攻撃に雷属性付与
 魔粉・スライムグミ・ロックスライムの核の粉末 5:1:2
     【岩魔粉】 一定時間攻撃に岩属性付与
 魔粉・スライムグミ・ライトスライムの核の粉末 5:1:1
     【光魔粉】 一定時間攻撃に光属性付与
 魔粉・スライムグミ・ダークスライムの核の粉末 5:1:1
     【闇魔粉】 一定時間攻撃に闇属性付与
 魔粉・スライムグミ・ラビットホーンの角の粉末 5:1:1
     【貫通魔粉】 一定時間攻撃の貫通力強化
 魔粉・スライムグミ・薬草の粉末 5:1:3
     【回復魔粉】 生命力・体力を小回復

 今のところこれしか知りません。他にも完成しかけの組み合わせがいくつかありますが、割合が微妙でまだ未完成です。
 回復魔粉ですが、10グラム程度でもそこらへんのお店で売っている最安値のポーションと同じくらいの回復量です。
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