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第二話 ~The second new world~
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「ドラン・クロスといいます。自分は主に後方支援ですが、近接戦闘も一応出来ます。少しのあいだですがよろしくお願いします」
「よろしくねー」
「よろしく頼む」
「・・・・よろしく」
ギリンのパーティは、物理アタッカーのギリン、白い髪と眼の魔法アタッカーのハラス(女)、黒目黒髪、黒い包帯で顔以外を全て巻いている、タンカーのドス(男)、血のような赤い眼と髪の、ヒーラーのペチル(女) 。
「今回の獲物はベアだ。ドラン、新入りだからきついだろうが、がんばれよ」
「熊かー。ってうわぁ!」
「でてくるのは早えな!」
林の中からぬうっと現れたでかい熊さん。
「俺がひきつける!ペチル、回復頼んだぞ!」
「ヒヒッ!分かった~、支援もかけるよ~。ヒヒッ!早く血飛沫が見たいよぉ!」
ペチルさん。変わりすぎです。こわいです。
「ドスさん!僕も挑発と集中をさせないよう妨害しますんで、存分にやってください!弓アーツ『フレイアショット』!」
『フレイアヒット』
グオ!? ・・・・・・グルルルルゥ(怒)
ベアが、明らかにダメージを与えようとしないフレイアショットに腹を立てたようだ。ベアがこっちを凝視してくる。
こっち見んな。
いやまあ、倒そうとせずにただ矢をプチッと刺されたら怒りますよねぇ。呑気にしてる場合じゃないけど。
まあ、そうやって挑発するのは数回しかするつもりは無いんだけどね。さて、ずっと打ち続けましょうか。
「ナイスだドラン!大検アーツ『ブレイクスラッシュ』!」
ギリンの大剣から放たれた巨大で厚い斬撃はベアの頭に向かっていくが、間一髪避けられて、ベアの右耳を斬り落とし、肩に大きな傷を負わせただけにとどまった。
「くそっ。当たってればあれで終わりだったのに!」
「血飛沫!血飛沫!ヒヒヒヒヒ!!」
コワイコワイコワイ。
「土魔術アーツ『ストーンガトリング』!」
あの、執拗にベアの股間を狙うの止めませんか?確かにオスっぽいですけど。あ、ベアの股間から血飛沫が、潰れてしまったか。やっぱりオスだったのか。
「ハハハハハ!こうすればベアは当分動けない!」
怖い怖い怖い。怖すぎですよハラスさん。
でも手を休めずに矢を打ってると疲れるな。
プチュ
あ、眼球に刺さってもた。
グオオオオオオ!!
悲痛な叫び声をあげないで。
でもまあ、挑発されて、耳を切り落とされて、肩も切られて、股間を潰されて、眼を刺されて、血飛沫をあげるたびに怖い笑い声をあげられて。
うん。俺なら泣く。号泣する。
ドスさんの一撃が決め手で、ベアはよろけた。そして、
ドスゥゥゥン
うーわ。つっかれたー。
『ベアを倒した』
『戦闘の終了を確認しました』
『弓スキルのレベルが上がった』
『弓:Lv7』
『ベアの肉×2を獲得した』
『ベアの革×3を獲得した』
『ベアの毛皮×1を獲得した』
『ベアの爪×3獲得しました』
「ははは。ダメージはあんまり与えられてなかったけど、あの挑発はよかったよー」
「・・・・・・眼を潰して血飛沫、始めてみたから新鮮だった。フレ登録する?」
「じゃあお言葉に甘えて」
「ナイス。こっちにあまり攻撃がこなかったから楽だった。今度二人でベアを狩ろう」
「ドラン。全員とフレ登録していけ。お前はソロプレイする気なんだろうが、いつでも俺達のパーティに入っていいぞ!」
その後、ギリンの『怖い女パーティ』(勝手に命名)全員とフレ登録し別れを告げた。
まだ二時間程度。次は何しようかな。ふむ。草原エリアでラビットあたりを狩るか。
さてと、平原に戻れたけど、どこに居るのかな?あ、いた。
草陰に隠れてるけど、透視の能力があればいける。
『隠密』を使って背後から近寄り、刀で首筋を深く小さく切る!
キュピィ!?
『ラビットを倒した』
『戦闘の終了を確認した』
『刀スキルのレベルが上がった』
『刀:Lv6』
『ラビットの肉×1を獲得した』
『ラビットの毛皮×3を獲得した』
『ラビットの耳×2を獲得した』
・・・・・・ほえ?
今のは戦闘というのかね?殆ど暗殺ですよ?脊椎をプシュってしただけですよ?
ATK+64だけど、剣としては強めではあるけど、剣でも何回か攻撃を当てないといけなかったと思うんだけど?
まあ、刀が耐久力が減りやすいといわれるのは、刀を力任せに振ったりしたからかな。刀はチョコチョコ手入れしないといけないからなあ。
とりあえず、次は弓の製作でもしようかな。ATKがたったの+5しかないからなあ。
―――木工場
ふーむ。木材は色々と伐採したり買い揃えたりしたが、どんな弓を作ろう。とりあえず普通の弓を作って練習しよう。もちろん一番粗悪な木材で、だが。
木材を切り出し、細かい調整を施していく。
『初心者木工職人の粗悪な弓』
『粗悪な木材で作られているため耐久力は低く、減りやすい。所々、形が歪』
『ATK+3』
『特殊効果:『耐久力減少促進』『耐久力低下』』
『評価:1』
ふむ。使い物にならないな。
うーん。なら、今はとにかく数を作ろう。
―――20分後
「お、評価:5が出た」
『粗悪な弓(限界到達)』
『粗悪な素材から作られた弓の中では最高の弓』
『ATK+12』
『特殊効果:『耐久力低下』『全力で矢を射ることで一定の耐久力と引き換えに威力を倍にする』』
『評価:5』
ほう。ついに限界に達したか。なら、少し工夫した弓を造りたいな。
ねーなー。どーしよ。
・・・・・・昔読んだ漫画のちょっとパクリみたいになるけどなー。まあ、造ってみるか。
まずよくしなる木材とそこそこしなる木材の板を一枚ずつ合わせて合板にする。で、そこそこしなる木材の板の上に硬い木材を張り合わせる。
これで片側は硬く、もう片側はやわらかくなった。
120cm×15cm×5cmの合板になったか。ちょうどいいサイズだな。
これを縦三つに切り分け、それを全て半分にする。
さらに、これをなんやかんやしてあーだこーだして・・・・・・―――
―――1時間後
―――・・・・・・完成だ!!!
『六重咲き異形銀弓』
『とある漫画で登場した弓に製作者なりの工夫をこらした弓』
『3種類の木材で作られ、さらにライトメタルでの極薄の塗装をしているため攻撃力が跳ね上がっている。3本の弦が張られているため威力はさらに強力になっている。二本同時に撃つことが可能。持ち手の部分や本体部分は複数のパーツを組み合わせて作られている。持ち手部分はコの字型でため耐久力は減りやすい。が、耐久力回復の手入れがしやすくなっている。ライトメタルの効果で移動速度に補正がつく』
『ATK+26 DFS+6』
『特殊効果:『耐久力減少(小)』『耐久力回復促進(中)』『攻撃力増加(大)』『移動速度補正(小)』『攻撃時に矢の飛行速度上昇』『飛距離増幅』『重量増加(小)』『二本撃ち』』
『製作評価:8』
うう。途中で鉱山に行ってライトメタルを取りに行ったけど、極薄とはいえライトメタルをとるのには時間がかかったなー。それに加工にもいろんな職人に手伝ってもらったし。
まあ、本体はライトメタルの二つの型の中に入れてる設計なので、ちょっといじればすぐ中身を取り出して全体の手入れが出来る。
本当に予想以上に色々使ったなー。木工スキルのレベルがLv13にまで上がったから『木材相性判別』と『木工作業補正』のパッシブアーツを獲得した。
あーもー、初日に色々ありすぎてもう疲れたよ。ログアウトして寝ることにしよう。
―――翌日
『ログインしました』
ふんぬー。今日も仕事疲れたなー。
とりあえず、平原から林エリアでモロモロ買っておこう。ボーナスアイテムとかで金が1万ベルあるから、100本100ベルの木の矢を1000本ほど買っておいた。
よし、今日はまず新しい刀を作ろう。運営さんが決めた設定では、刀作りに必須な玉鋼を作るには砂鉄と炭じゃなくてもいいそうだ。
なので、ライトメタルと爆裂鉱石という鉱石に似ていて、炭の性質も併せ持つ爆炭石を使おうと思っている。
爆裂鉱石は見つけたら即時に脱出しなければならない危険な鉱石。一定以上の窒素に触れると鉱山の坑道まるまる一つ焼き尽くす威力がある。
爆炭石は急激に熱または衝撃が加わると半径10m以内のもの全てを焼き尽くす。それをこつこつ削りだして粉末状にする。
ライトメタルも同じように粉末状にする。
『粉末ライトメタルと粉末爆炭石の混合物』
よし、最初の原料が出来た。多分今日は粗方の形を整えたら時間的にログアウトするだろうなあ。
―――3時間後
も、もう無理。腕が死ぬ。体がこげる。玉鋼作るの難易度高すぎるだろうが。
このまま眼を瞑ったら多分リアルの精神が復活するまでこのままだろうなー、でもそれはかなりヤバイから止めとこう。後はログアウトして寝る。
超しなる上に火花の出易さ半端ねぇぇぇえええええ・・・・・・。
ログアウトだー。
―――翌日
『ログインしました』
ふー。リアルで疲れた分はリアルで寝て回復させるからいいけど、ゲームの疲労もリアルで寝ないとだからなー。
・・・・・・さて、昨日は予想通り粗方の形で終わったなあ。
えーと、リアルから引っ張ってきた説明によれば、刃先のほうを斜めに切って本物の刀っぽく曲げる。
後は叩いて熱して叩いて熱して叩いて大体の厚さと長さを完成時に少しずつ近づけていく。
次にいろいろモロモロの道具を使ってさらにシャープに仕上げていく。
それに焼刃土を塗る。これが乾いて研いだら刃紋が出てくる。
900度近い温度に熱してすぐに冷やす。これにより刃は急激に冷え硬くなり刀身の背はゆっくり固まり反っていく。
刃紋が確認できたら荒く研いでいく。
そして、名を刻む。どんな名前にしよう。持ち手に隠れるとはいえこれ刻まないと刀の性能が短剣レベルに落ちるって運営さんが書いてたからなあ。
『火花散し』
こんなんで良いか。火花めっちゃ散らすのは事実だし。
持ち手の方はこのゲームじゃ作ることはできないし、全部売ってる奴で統一されてるって運営さんが書いてたしなあ。刀しかない等級っていうのがあるらしいしなあ。鞘とか紐とかも同じように変色するって言ってたなあ。
確か色が、下から、緑・黄・青・赤・銅・銀・金・白・黒だとさ。
・・・・・・買うか。
買いました。
鞘はガッチガチの固い木材で作る。内側には柔らかい数ミリの薄さにした柔らかい木を張り合わせておこう。
鞘の色は・・・・・・どうせだし、弓みたいにライトメタルで覆うか。
また坑道でずっとつるはし振らないといけない。
―――30分後
よしできたー。金具は鋼鉄にした。ヒモは持ち手と同じように買うしかないから買った。
『火花散し 等級9(緑)』
『火花が散らしやすくなっている刀。しなりやすく、切ることに特化している刀の特性を強く出している。特定の場合に相手に以上状態『火傷』を与える』
『ATK+89』
『特殊効果:『速度上昇』『切断能力増強』『硬い者と衝突した際に火花発生』『特定の場合に相手に『火傷(小)』を付与』』
『製作評価:8』
疲れたな。本当にマジ疲れた。最終的に『木工』スキルのアーツが一つ、『鍛冶』スキルのアーツが五つ。
『木工』の方が『一括作成(木工)』で、今まで10個以上作ったことがあるものを材料をそろえればすぐに一つ作れば材料分作れるようになるというもの。
『鍛冶』の方は『劣化部分判別』『金属採掘速度上昇』『金属加工促進』『一括作成(鍛冶)』『金属買値5%低下』だった。
普通の剣で強力な品と同等になったな。これでしばらくはこまらないだろう。
ふむ。林エリアで狩るか。
スライムは最弱モンスターとしても知られるけど、このゲームではベアより強い。
全身がゼリー状の強酸で出来ていて魔法や弓などの遠距離攻撃を仕掛けないと武器が一撃でボロボロになってしまう。
要するに、触れずに倒せって言うことだ。
スライムから取れるぶにぶにした板みたいなやつがあるらしく、それが軽鎧の素材になるらしい。それで造った装備は『物理攻撃反射』と『魔法攻撃耐性』を持つという。
でも、この素材は生きているスライムの核を守っている部分なので、魔法で攻撃すれば問題ない。
核を一撃で貫けたら楽なんだとか。金属を使っての攻撃は、スライムをアイアンスライムという強力な固体に変えてしまうのでタブーらしい。
というわけでスライムを狩っていこう。
ごそごそ
あ、ベア。パーティで倒すのが定石の中型モンスターだけど、ソロでいけるかな?
まずは眉間に全力で、撃つ!
ぶぢゅっ!
グオオオッ・・・ッ・・・・・・
ドスゥン
『ピンポイントヒット』
『ウィークヒット』
『デスショット』
『ベアは即死した』
『ベアを倒した』
『戦闘の終了を確認しました』
『弓スキルのレベルが上がった』
『弓:Lv8』
『弓アーツ:『ウィークショット』を獲得した』
『ウィークショット:敵の弱点を発見し通常時より少し強い矢を放つ。『ピンポイントショット』と発動すれば『即死』が出ることがある』
『弓アーツ:『デスショット』を獲得した』
『デスショット:弱点に必中させる事で『即死』が必ず出る』
『ベアの肉×4を獲得した』
『ベアの革×3を獲得した』
『ベアの毛皮×3を獲得した』
『ベアの耳×2を獲得した』
眉間は弱点だったか。
「よろしくねー」
「よろしく頼む」
「・・・・よろしく」
ギリンのパーティは、物理アタッカーのギリン、白い髪と眼の魔法アタッカーのハラス(女)、黒目黒髪、黒い包帯で顔以外を全て巻いている、タンカーのドス(男)、血のような赤い眼と髪の、ヒーラーのペチル(女) 。
「今回の獲物はベアだ。ドラン、新入りだからきついだろうが、がんばれよ」
「熊かー。ってうわぁ!」
「でてくるのは早えな!」
林の中からぬうっと現れたでかい熊さん。
「俺がひきつける!ペチル、回復頼んだぞ!」
「ヒヒッ!分かった~、支援もかけるよ~。ヒヒッ!早く血飛沫が見たいよぉ!」
ペチルさん。変わりすぎです。こわいです。
「ドスさん!僕も挑発と集中をさせないよう妨害しますんで、存分にやってください!弓アーツ『フレイアショット』!」
『フレイアヒット』
グオ!? ・・・・・・グルルルルゥ(怒)
ベアが、明らかにダメージを与えようとしないフレイアショットに腹を立てたようだ。ベアがこっちを凝視してくる。
こっち見んな。
いやまあ、倒そうとせずにただ矢をプチッと刺されたら怒りますよねぇ。呑気にしてる場合じゃないけど。
まあ、そうやって挑発するのは数回しかするつもりは無いんだけどね。さて、ずっと打ち続けましょうか。
「ナイスだドラン!大検アーツ『ブレイクスラッシュ』!」
ギリンの大剣から放たれた巨大で厚い斬撃はベアの頭に向かっていくが、間一髪避けられて、ベアの右耳を斬り落とし、肩に大きな傷を負わせただけにとどまった。
「くそっ。当たってればあれで終わりだったのに!」
「血飛沫!血飛沫!ヒヒヒヒヒ!!」
コワイコワイコワイ。
「土魔術アーツ『ストーンガトリング』!」
あの、執拗にベアの股間を狙うの止めませんか?確かにオスっぽいですけど。あ、ベアの股間から血飛沫が、潰れてしまったか。やっぱりオスだったのか。
「ハハハハハ!こうすればベアは当分動けない!」
怖い怖い怖い。怖すぎですよハラスさん。
でも手を休めずに矢を打ってると疲れるな。
プチュ
あ、眼球に刺さってもた。
グオオオオオオ!!
悲痛な叫び声をあげないで。
でもまあ、挑発されて、耳を切り落とされて、肩も切られて、股間を潰されて、眼を刺されて、血飛沫をあげるたびに怖い笑い声をあげられて。
うん。俺なら泣く。号泣する。
ドスさんの一撃が決め手で、ベアはよろけた。そして、
ドスゥゥゥン
うーわ。つっかれたー。
『ベアを倒した』
『戦闘の終了を確認しました』
『弓スキルのレベルが上がった』
『弓:Lv7』
『ベアの肉×2を獲得した』
『ベアの革×3を獲得した』
『ベアの毛皮×1を獲得した』
『ベアの爪×3獲得しました』
「ははは。ダメージはあんまり与えられてなかったけど、あの挑発はよかったよー」
「・・・・・・眼を潰して血飛沫、始めてみたから新鮮だった。フレ登録する?」
「じゃあお言葉に甘えて」
「ナイス。こっちにあまり攻撃がこなかったから楽だった。今度二人でベアを狩ろう」
「ドラン。全員とフレ登録していけ。お前はソロプレイする気なんだろうが、いつでも俺達のパーティに入っていいぞ!」
その後、ギリンの『怖い女パーティ』(勝手に命名)全員とフレ登録し別れを告げた。
まだ二時間程度。次は何しようかな。ふむ。草原エリアでラビットあたりを狩るか。
さてと、平原に戻れたけど、どこに居るのかな?あ、いた。
草陰に隠れてるけど、透視の能力があればいける。
『隠密』を使って背後から近寄り、刀で首筋を深く小さく切る!
キュピィ!?
『ラビットを倒した』
『戦闘の終了を確認した』
『刀スキルのレベルが上がった』
『刀:Lv6』
『ラビットの肉×1を獲得した』
『ラビットの毛皮×3を獲得した』
『ラビットの耳×2を獲得した』
・・・・・・ほえ?
今のは戦闘というのかね?殆ど暗殺ですよ?脊椎をプシュってしただけですよ?
ATK+64だけど、剣としては強めではあるけど、剣でも何回か攻撃を当てないといけなかったと思うんだけど?
まあ、刀が耐久力が減りやすいといわれるのは、刀を力任せに振ったりしたからかな。刀はチョコチョコ手入れしないといけないからなあ。
とりあえず、次は弓の製作でもしようかな。ATKがたったの+5しかないからなあ。
―――木工場
ふーむ。木材は色々と伐採したり買い揃えたりしたが、どんな弓を作ろう。とりあえず普通の弓を作って練習しよう。もちろん一番粗悪な木材で、だが。
木材を切り出し、細かい調整を施していく。
『初心者木工職人の粗悪な弓』
『粗悪な木材で作られているため耐久力は低く、減りやすい。所々、形が歪』
『ATK+3』
『特殊効果:『耐久力減少促進』『耐久力低下』』
『評価:1』
ふむ。使い物にならないな。
うーん。なら、今はとにかく数を作ろう。
―――20分後
「お、評価:5が出た」
『粗悪な弓(限界到達)』
『粗悪な素材から作られた弓の中では最高の弓』
『ATK+12』
『特殊効果:『耐久力低下』『全力で矢を射ることで一定の耐久力と引き換えに威力を倍にする』』
『評価:5』
ほう。ついに限界に達したか。なら、少し工夫した弓を造りたいな。
ねーなー。どーしよ。
・・・・・・昔読んだ漫画のちょっとパクリみたいになるけどなー。まあ、造ってみるか。
まずよくしなる木材とそこそこしなる木材の板を一枚ずつ合わせて合板にする。で、そこそこしなる木材の板の上に硬い木材を張り合わせる。
これで片側は硬く、もう片側はやわらかくなった。
120cm×15cm×5cmの合板になったか。ちょうどいいサイズだな。
これを縦三つに切り分け、それを全て半分にする。
さらに、これをなんやかんやしてあーだこーだして・・・・・・―――
―――1時間後
―――・・・・・・完成だ!!!
『六重咲き異形銀弓』
『とある漫画で登場した弓に製作者なりの工夫をこらした弓』
『3種類の木材で作られ、さらにライトメタルでの極薄の塗装をしているため攻撃力が跳ね上がっている。3本の弦が張られているため威力はさらに強力になっている。二本同時に撃つことが可能。持ち手の部分や本体部分は複数のパーツを組み合わせて作られている。持ち手部分はコの字型でため耐久力は減りやすい。が、耐久力回復の手入れがしやすくなっている。ライトメタルの効果で移動速度に補正がつく』
『ATK+26 DFS+6』
『特殊効果:『耐久力減少(小)』『耐久力回復促進(中)』『攻撃力増加(大)』『移動速度補正(小)』『攻撃時に矢の飛行速度上昇』『飛距離増幅』『重量増加(小)』『二本撃ち』』
『製作評価:8』
うう。途中で鉱山に行ってライトメタルを取りに行ったけど、極薄とはいえライトメタルをとるのには時間がかかったなー。それに加工にもいろんな職人に手伝ってもらったし。
まあ、本体はライトメタルの二つの型の中に入れてる設計なので、ちょっといじればすぐ中身を取り出して全体の手入れが出来る。
本当に予想以上に色々使ったなー。木工スキルのレベルがLv13にまで上がったから『木材相性判別』と『木工作業補正』のパッシブアーツを獲得した。
あーもー、初日に色々ありすぎてもう疲れたよ。ログアウトして寝ることにしよう。
―――翌日
『ログインしました』
ふんぬー。今日も仕事疲れたなー。
とりあえず、平原から林エリアでモロモロ買っておこう。ボーナスアイテムとかで金が1万ベルあるから、100本100ベルの木の矢を1000本ほど買っておいた。
よし、今日はまず新しい刀を作ろう。運営さんが決めた設定では、刀作りに必須な玉鋼を作るには砂鉄と炭じゃなくてもいいそうだ。
なので、ライトメタルと爆裂鉱石という鉱石に似ていて、炭の性質も併せ持つ爆炭石を使おうと思っている。
爆裂鉱石は見つけたら即時に脱出しなければならない危険な鉱石。一定以上の窒素に触れると鉱山の坑道まるまる一つ焼き尽くす威力がある。
爆炭石は急激に熱または衝撃が加わると半径10m以内のもの全てを焼き尽くす。それをこつこつ削りだして粉末状にする。
ライトメタルも同じように粉末状にする。
『粉末ライトメタルと粉末爆炭石の混合物』
よし、最初の原料が出来た。多分今日は粗方の形を整えたら時間的にログアウトするだろうなあ。
―――3時間後
も、もう無理。腕が死ぬ。体がこげる。玉鋼作るの難易度高すぎるだろうが。
このまま眼を瞑ったら多分リアルの精神が復活するまでこのままだろうなー、でもそれはかなりヤバイから止めとこう。後はログアウトして寝る。
超しなる上に火花の出易さ半端ねぇぇぇえええええ・・・・・・。
ログアウトだー。
―――翌日
『ログインしました』
ふー。リアルで疲れた分はリアルで寝て回復させるからいいけど、ゲームの疲労もリアルで寝ないとだからなー。
・・・・・・さて、昨日は予想通り粗方の形で終わったなあ。
えーと、リアルから引っ張ってきた説明によれば、刃先のほうを斜めに切って本物の刀っぽく曲げる。
後は叩いて熱して叩いて熱して叩いて大体の厚さと長さを完成時に少しずつ近づけていく。
次にいろいろモロモロの道具を使ってさらにシャープに仕上げていく。
それに焼刃土を塗る。これが乾いて研いだら刃紋が出てくる。
900度近い温度に熱してすぐに冷やす。これにより刃は急激に冷え硬くなり刀身の背はゆっくり固まり反っていく。
刃紋が確認できたら荒く研いでいく。
そして、名を刻む。どんな名前にしよう。持ち手に隠れるとはいえこれ刻まないと刀の性能が短剣レベルに落ちるって運営さんが書いてたからなあ。
『火花散し』
こんなんで良いか。火花めっちゃ散らすのは事実だし。
持ち手の方はこのゲームじゃ作ることはできないし、全部売ってる奴で統一されてるって運営さんが書いてたしなあ。刀しかない等級っていうのがあるらしいしなあ。鞘とか紐とかも同じように変色するって言ってたなあ。
確か色が、下から、緑・黄・青・赤・銅・銀・金・白・黒だとさ。
・・・・・・買うか。
買いました。
鞘はガッチガチの固い木材で作る。内側には柔らかい数ミリの薄さにした柔らかい木を張り合わせておこう。
鞘の色は・・・・・・どうせだし、弓みたいにライトメタルで覆うか。
また坑道でずっとつるはし振らないといけない。
―――30分後
よしできたー。金具は鋼鉄にした。ヒモは持ち手と同じように買うしかないから買った。
『火花散し 等級9(緑)』
『火花が散らしやすくなっている刀。しなりやすく、切ることに特化している刀の特性を強く出している。特定の場合に相手に以上状態『火傷』を与える』
『ATK+89』
『特殊効果:『速度上昇』『切断能力増強』『硬い者と衝突した際に火花発生』『特定の場合に相手に『火傷(小)』を付与』』
『製作評価:8』
疲れたな。本当にマジ疲れた。最終的に『木工』スキルのアーツが一つ、『鍛冶』スキルのアーツが五つ。
『木工』の方が『一括作成(木工)』で、今まで10個以上作ったことがあるものを材料をそろえればすぐに一つ作れば材料分作れるようになるというもの。
『鍛冶』の方は『劣化部分判別』『金属採掘速度上昇』『金属加工促進』『一括作成(鍛冶)』『金属買値5%低下』だった。
普通の剣で強力な品と同等になったな。これでしばらくはこまらないだろう。
ふむ。林エリアで狩るか。
スライムは最弱モンスターとしても知られるけど、このゲームではベアより強い。
全身がゼリー状の強酸で出来ていて魔法や弓などの遠距離攻撃を仕掛けないと武器が一撃でボロボロになってしまう。
要するに、触れずに倒せって言うことだ。
スライムから取れるぶにぶにした板みたいなやつがあるらしく、それが軽鎧の素材になるらしい。それで造った装備は『物理攻撃反射』と『魔法攻撃耐性』を持つという。
でも、この素材は生きているスライムの核を守っている部分なので、魔法で攻撃すれば問題ない。
核を一撃で貫けたら楽なんだとか。金属を使っての攻撃は、スライムをアイアンスライムという強力な固体に変えてしまうのでタブーらしい。
というわけでスライムを狩っていこう。
ごそごそ
あ、ベア。パーティで倒すのが定石の中型モンスターだけど、ソロでいけるかな?
まずは眉間に全力で、撃つ!
ぶぢゅっ!
グオオオッ・・・ッ・・・・・・
ドスゥン
『ピンポイントヒット』
『ウィークヒット』
『デスショット』
『ベアは即死した』
『ベアを倒した』
『戦闘の終了を確認しました』
『弓スキルのレベルが上がった』
『弓:Lv8』
『弓アーツ:『ウィークショット』を獲得した』
『ウィークショット:敵の弱点を発見し通常時より少し強い矢を放つ。『ピンポイントショット』と発動すれば『即死』が出ることがある』
『弓アーツ:『デスショット』を獲得した』
『デスショット:弱点に必中させる事で『即死』が必ず出る』
『ベアの肉×4を獲得した』
『ベアの革×3を獲得した』
『ベアの毛皮×3を獲得した』
『ベアの耳×2を獲得した』
眉間は弱点だったか。
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本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
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