君の名をよばせて

雨ましろ

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悔み

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「大事な話があるんですけど、時間作ってもらってもいい?」
「うん。わかった」
「仕事終わった後で、ちょっとだけ時間をください」
「うん。今日は残業しないで帰ろうと思っていたから大丈夫だよ」
「ありがとう」
仕事が終わったあと、田丸に会うことになった。
待ち合わせで会社の休憩室に僕はいた。
無料のコーヒーをのみながら、ドキドキして。
ちゃんと気持ちをつたえたとことで、僕にはふりむいてもらえないことはわかっていた。
でも、恋する気持ちを終わらせるためにも、つたえないとならなかった。
「ごめん。待った?」
田丸がやってきた。
「いえ、いま来たところ」
「そうか」
「はい」
「それで、話って?」
「えっと……その……」
緊張して言葉が出ない。
「ん?どうした?」
田丸の気持ちを知りたいわけではなかった。もはや、自己満足で気持ちに整理をつけたいだけだった。
「僕……田丸が……好きでした」
「えっ?」
「恋愛感情として……田丸のことが……好きなんです」
言ってしまった。
「……」
田丸は無言で僕の目を見つめていた。
そして、しばらくして口を開いた。
「もう少し早くその答えを知っていれば、かわっていたかもしれない…。オレには勇気がなくて、親の薦める結婚話にのったんだ。ごめん、オレにはもうどうにもできない」
「そうです…か。つまり、僕にもチャンスがあったということか。でも今は、結婚相手が好きで、結婚される。それで結婚相手にふさわしくなるためにがんばらないとならないのか。今のままでも十分だと思いますけど」
「ありがとう。そう言ってもらえるだけで嬉しいよ」
「そうですか」
僕はそれ以上、何も言うことができなかった。
そして、田丸と別れた。
僕は買い物の用事があると言ってデパートに行った。
帰り道暗い顔で、寮までもどった。田丸は帰っていなかった。
僕は一人部屋に戻り、ベッドで泣いた。
涙はなかなか止まらなかった。
告白してしまったことを後悔していた。
僕のエゴで告白してしまったことを。
そしてもしかしたら、僕にもチャンスがあったことが悔やまれた。
僕はもっと早く気持ちを伝えていたら、僕の気持ちは救われていたかもしれない。
告白することで田丸が結婚する気持ちを変えてくれるんじゃないかと期待していた。
でも、そんなことはあり得なかった。
ただ、自分の気持ちを吐き出すだけの告白になってしまった。
田丸が結婚しようと思っている女性より、自分が魅力的になれなかったことを実感し、悔しくて悲しくて仕方なかった。

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