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第1章
階段
しおりを挟む ドスン。
大きな衝撃が、身体に走った。
刹那、ある記憶が、フラッシュバックする。
前世の、私の最期。
交通事故に巻き込まれ、死んだ私。
身体中が重い。
目の前が真っ赤。
薄れゆく意識。
そう。
あのときも、今と同じように痛かっ……いや、痛くない。
私は恐る恐る、片目を開ける。
確かに私は、派手に階段から転げ落ちていた。
しかし、その下にあったクッションによって、大怪我は免れたらしい。
あれ?
待てよ。
クッション?
誰も使ってない塔の階段に、クッションなんて置いてあるか?
いやそもそも、階段にクッションなんて置いてあるはずがない。
となると、今私が上に乗っているのはーー。
「きゃあっ」
私はまたも悲鳴をあげ、飛び上がった。
「殿下! クラウス殿下! 大丈夫ですか!?」
私の下敷きになっていたのは、クラウス殿下だった。
彼は私の下で、呻き声を上げている。
「殿下!」
一体何があったのだろうか。
殿下は私よりも上にいたはずなのに。
……ちょっと待って。
もしかして殿下、私を助けようとしたの?
あの殿下が?
「うっ……」
私は慌てて、殿下を助け起こす。
「殿下、大丈夫ですか? お怪我は?」
「いや、大丈夫……。全身が痛いだけだ。打撲も何もしていない」
彼は、痛みに顔を歪ませていた。
「すみません」
よくわからなかった。
今から私を殺そうとしているかもしれない人が、というか実際数日前は、はっきりとした意志を持って私を斬り捨てようとしていた人が、私を助けた。
なぜだろう。
どうして、この人は私を助けてくれたんだろうか。
第一王子なのに。
「申し訳ありません、殿下」
私は謝った。
「せっかく助けていただいたのに。殿下を」
「気にしないでくれ」
殿下はそう言って、何事もなかったかのようにかのように立ち上がる。
「それより君、少し痩せた方が良いんじゃないかな。抱き止めようとしたんだが、想像よりも重くてびっくりしたよ」
……それはちょっと、失礼過ぎませんか。
大きな衝撃が、身体に走った。
刹那、ある記憶が、フラッシュバックする。
前世の、私の最期。
交通事故に巻き込まれ、死んだ私。
身体中が重い。
目の前が真っ赤。
薄れゆく意識。
そう。
あのときも、今と同じように痛かっ……いや、痛くない。
私は恐る恐る、片目を開ける。
確かに私は、派手に階段から転げ落ちていた。
しかし、その下にあったクッションによって、大怪我は免れたらしい。
あれ?
待てよ。
クッション?
誰も使ってない塔の階段に、クッションなんて置いてあるか?
いやそもそも、階段にクッションなんて置いてあるはずがない。
となると、今私が上に乗っているのはーー。
「きゃあっ」
私はまたも悲鳴をあげ、飛び上がった。
「殿下! クラウス殿下! 大丈夫ですか!?」
私の下敷きになっていたのは、クラウス殿下だった。
彼は私の下で、呻き声を上げている。
「殿下!」
一体何があったのだろうか。
殿下は私よりも上にいたはずなのに。
……ちょっと待って。
もしかして殿下、私を助けようとしたの?
あの殿下が?
「うっ……」
私は慌てて、殿下を助け起こす。
「殿下、大丈夫ですか? お怪我は?」
「いや、大丈夫……。全身が痛いだけだ。打撲も何もしていない」
彼は、痛みに顔を歪ませていた。
「すみません」
よくわからなかった。
今から私を殺そうとしているかもしれない人が、というか実際数日前は、はっきりとした意志を持って私を斬り捨てようとしていた人が、私を助けた。
なぜだろう。
どうして、この人は私を助けてくれたんだろうか。
第一王子なのに。
「申し訳ありません、殿下」
私は謝った。
「せっかく助けていただいたのに。殿下を」
「気にしないでくれ」
殿下はそう言って、何事もなかったかのようにかのように立ち上がる。
「それより君、少し痩せた方が良いんじゃないかな。抱き止めようとしたんだが、想像よりも重くてびっくりしたよ」
……それはちょっと、失礼過ぎませんか。
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