前前世、前世で私を殺した婚約者と、今世もまた婚約するそうですが

小倉みち

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第3章

確認

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 やっぱり。


 名前を聞いて察した。

「で、こちらはご存知の通り、セレナ第一王女様です。今回集まっていただいた理由としては、セレナ様が図書館を利用出来ないので、隠れて本を借りようと思ったのです。」


 クロードが話し始めた。

「ですが、なぜかセレナ様の部屋には盗聴器が仕掛けられていました。そのため、こんな深夜に図書館の場を借りてお話ししようと思った次第です」

「私のためにありがとうございます――ですが、話を始める前に少しよろしいですか?」

「ええ。構いませんよ」

「ありがとうございます――バスティンさん」


 私はバスティンに視線を向ける。

「あなたは信用出来ますか?」

「面白いこと言うな」


 バスティンは大笑いする。

 だが、目は笑っていない。


「当の本人に、

『信用出来ますか?』

 なんて聞いてくるやつ、今まで見たことねぇよ」

「へぇ。じゃあ私が初めてというわけですね」


 私は少し微笑む。

「それで? もし俺が、

『そうです。信用出来ます』

 って言えば、あんたは俺を信用出来るのか?」

「ええ、もちろん。聞いたのは一応確認のためですよ。あなたと私は初対面ですし」

「ふん。もしこれで俺があんたを裏切ったら見ものだな」

「そういうことを言う人間は、悪い人ではありませんよ」

「本当にそうだと思っているのか?」

「もしあなたが悪い人なら、そうやってわざと裏切るかもしれないとほのめかすことはしないでしょう」

「……ふん」


 バスティンは、これ以上突っかかろうとはしなかった。


「では」


 クロードは咳ばらいをする。

「話を続けましょう――では、まずこの場を設ける形となった経緯をセレナ様にお話しします」

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