前前世、前世で私を殺した婚約者と、今世もまた婚約するそうですが

小倉みち

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第5章

遠出②

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 2日後。


 一体なぜ外に出るのか、どうして私が行かなければならないのか。


 バスティンに聞くことを忘れた私は、よくわからないままその日を迎えた。


 毎朝、私を起こしに侍女たちがやってくる。

 軽い装いの準備など、細々とした雑務をこなした彼女たちは、ほとんど何も言わずに部屋から出ていった。


 彼女たちが次部屋に入ってくるのは、12時前。

 昼食を運び込むためだ。


 その時間、どうやり過ごすのか。


 私は一昨日、バスティンに手渡された物体を見つめた。


「これは、俺が作った『人形』だ」

 と、彼は言った。

「ここに、あんたの髪を入れる。あとはあんたの魔力を注入すれば、周囲はこの人形をあんただと認識するようになるはずだ。これで、しばらくは持つ」


 人形、ねぇ。


 私は、まじまじとそれを眺める。


 一応、人の形はしている。

 だけど、どう見てもこれは、土で出来た人型の何かだ。


 茶色で土臭い、7歳の子どもの両手に収まるほどの物体。


 本当にこれでうまくいくんだろうか。

 今のところ、ただのゴミにしか見えないけど。


 私は櫛を取り出し、そこに残った髪を1つ摘んで「人形」の上に置いた。


 すると、人形が口を開けて、それをムシャムシャと食べだしたのだ。


 私はびっくりして一瞬固まったが、すぐに我に返って、今度は「人形」に魔力を送る。


 そう言えば、この身体になって初めて、自分の意思で魔力を使った。


 それは淡い光を放ち、私の手から離れた。


 私の目からは、どう考えてもただの土にしか見えないけれど。

 とりあえず今回は、バスティンの言葉を信じよう。


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