前前世、前世で私を殺した婚約者と、今世もまた婚約するそうですが

小倉みち

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第5章

実験

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 実験の結果は、改めて後日きちんと調べるとのことだった。


「とりあえず、今日の目的は終わった。どうする?」

「何が?」

「王女様、あんた外出たことないだろ? 良ければ、この辺にあるうまいもんにでも連れて行ってやれるが」


 それはとても魅力的なお誘いだった。


 でも、

「有難いけれど、今日は辞めておくわ。城から抜け出してきたことをバレたら厄介だし」


 バスティンに渡された人形が、いつ効果を失うかも不明だ。


「真面目だねぇ」

 茶化すようにバスティンはそう言ったが、すぐに元の無表情に戻る。

「ま、仕方ねぇか。良い気分転換になっただろ?」


 「良い」かどうかはわからないが、気分転換にはなった。


「ありがとう。バスティンもクロードも。いつも危ない橋を渡らせてごめんなさいね」


「いえいえ、私のことはお気になさらず」

 クロードは言った。

「あなたの教師として、大人として当然のことですから」


 でも、彼には妻と子どもがいる。

 万が一のことがあるかもしれないというのに。




 部屋に戻った私は、何事もなく受け入れられた。

 少し心配だった人形も上手く機能していたらしく、城が騒がしくなった形跡はなかった。


 ただ、若干部屋が土臭くなってしまったが。


 諸々の準備を終わらせた私はベッドに入り、ぼんやりと考えごとをする。


 なんだか疲れてしまった。

 久しぶりに動いたせいか、本を読む元気がない。


 ……そう言えば。

 今日のアレ、なんだったんだろう。


 土属性であるはずのバスティンが、高度な光属性の魔法をいとも簡単に用いていた。


 あれも、魔法研究の賜物なのだろうか。

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