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side-朝陽 2.
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「あ、そこはちょっと待って。そのソースを作るときは、レードルでベースのソースを先に計ってから、ブイヨンでのばして」
大阪であった出来事から、早くも一週間が過ぎた。
オープンまで残り三日。
キッチンメンバーにはよく注文が入る軽食メニューの調理手順を覚えさせている。
ケーキやお茶などの甘いモノがメインだけど、オレが働いているこのカフェは、食事系のメニューも人気がある。
パスタとかドリア、グラタン。あとサンドイッチとかオムライスといった、結構腹持ちがいいやつ。
だからかもしれないけど、昼時は結構大変なんだよね。
慣れてないとすぐに回らなくなっちゃうし、お客様にも迷惑をかけちゃうから……
「そうそう。最後にチーズをかけて、オーブンでチーズに焦げ目がつくまで十分くらい焼いたら完成。ね、結構簡単でしょ?」
オレが説明すると、目をキラキラと輝かせてうなずいてくれる。
今回の新店メンバーは、比較的調理の経験がある子が集まってくれた。
もちろん、今回のアルバイトが初めてだという子も数人いるから、説明はできるだけ丁寧に指導していく。
「わからないことがあったら、遠慮せずにどんどん聞いて。忙しい時も不安があるなら、周りに確認すればいい。大丈夫。間違えることはオレも未だにあるし、失敗もするから」
オレが苦笑いを浮かべながら言うと、クスクスと笑ってくれた。
「竹内さん、ずっとここにいてよ~。竹内さんと一緒に働きた―い!」
冗談だろうけど、一緒に働きたいと言ってくれるみんなの気持ちが嬉しい。
「オレと?オレと一緒の店舗になったら、こんな優しく指導はしないよ?ビシバシこき使うけどいい?」
オレが冗談交じりに返答すると「うわぁ~、実はSなんだ!」とか言って笑ってくれた。
でも、もし転勤を希望するなら福岡でもいいかも。
大阪から結構離れてるし、新しい生活を始めるにはいい場所だよな。
「ほらほら、バカなこと言ってないでレシピを覚える。オープン初日から一週間くらいは来客数がヤバいから、しっかり覚えろよ~?」
オレの言葉に元気よく返事をし、各自が練習用の食材を調理していく。
包丁の音やフライパンの油がはねる音が厨房に響き、慌ただしい空気が肌に触れる。
彼らが無事に初日を迎えられるように、オレはちょっとしたアドバイスを伝えていく。
少しでも効率よく作れるようにするため。
盛り付けの工夫とか、下準備のやり方。
片付けをするときのアドバイスもちょっと。
「竹内、そろそろ休憩~」
厨房にひょっこり顔を出した司馬が声を掛けてくれる。
「休憩後に全員ホールでの業務確認をして、掃除をしたら今日は終わり」
ニッと笑みを浮かべて話す司馬に、周りにいたスタッフが各自休憩に入っていく。
「なぁ、竹内。今日の帰り、飯行こうぜ。明日の夜からそんな余裕もなくなるし、今のうちにこっちの美味いモノ食いに行こう♪」
軽くウィンクをしながら話しかけてくる司馬に、つい笑みが溢れる。
「あ、オレこっちで食べたい物あるんだよねぇ~。明日から忙しいし、ガッツリ食いに行こうぜ!」
オレも司馬の意見に賛同し、うんうん。とうなずく。
そういえば……一回だけ、琥太郎とこっちに遊びに来たことがあったっけ……
あの時は、博多ラーメンを食べたんだよなぁ……
濃厚なのにスッキリした豚骨のスープが美味しくって、夢中になって食べた。
『ひよ、そんな慌てて食べると火傷するぞ』
熱いスープに口を付けた瞬間、案の定舌を火傷したっけ……
火傷しても食べたくなるくらい美味しかったんだよね。
そのあと……路地裏で彼がオレを壁に押し付け、唇を重ねてきたっけ……
『火傷の応急処置。ひよの舌、いつもより赤くなってる』
ヒリヒリして痛いはずなのに、琥太郎に舌を絡められて、頭がぼーっとして痛みを忘れた。
あんな人通りがあるところでキスをしたのは、あの日が初めてだった。
誰かに見られるんじゃないかってドキドキしながら、それでも離れたくなくて……
ガシャンッ!
パリンッ!
さっさと忘れなきゃいけない思い出に浸っていると、店内を切り裂くような大きな音が響いた。
何かが盛大に割れる音が奥から聞こえ、オレは司馬と顔を合わせる。
「なんの音だ?」
「行こう。とにかく確認しないと」
音がした方に慌てて向かうと、バックヤードの前に人だかりができていた。
「はいは~い。みんなは休憩だろ。ここはオレたちが処理するから、戻った戻った」
野次馬を押しのけ、音がした原因の場所を確認する。
そこには、飛び散ったガラスの破片が、蛍光灯の光を反射してキラキラと輝き、甘いジュースの香りが立ち込めていた。
そのガラス片を必死に素手でかき集めようとしている子がひとり。
「コラコラ、ダメだよ。ほらぁ~、怪我しちゃってる。とりあえずキミはこっち」
涙目になっている彼女の手からポタポタと滴り落ちる赤い雫。
「司馬、ごめん。ここの掃除任せていい?オレはこの子の手当してくるね」
オレが司馬にお願いすると、軽くサムズアップで答えてくれた。
それから、これ以上血が床に落ちないように、綺麗なタオルを取って傷口を抑えるように指示してから事務所に彼女を連れて行く。
ふたりっきりで密室にいるのは色々とマズいと思うから、扉は開けておかないとね。
変な誤解とか噂とか出ちゃうと、彼女がここで働きにくくなっちゃうし……
「大丈夫?とりあえず、消毒したいから傷口を確認するね。あんまりひどいようだったらすぐに病院に行こう」
オレの言葉に彼女は震える手を差し出してくれた。
血は結構出てたけど、傷は深くない。
多分、細かい傷が多いから血もいっぱい出ちゃったんだと思う。
「もう大丈夫だよ。消毒もしたし、応急処置のばんそうこうもいっぱい貼っちゃったから♪でも、当分は水仕事禁止ね」
まだ動揺を隠せない彼女の頭を優しく撫でてやり、落ち着くのを待つ。
「大丈夫だよ。でも、あぁいう時こそ、冷静にならないとね」
オレがゆっくり話しかけると、彼女はボロボロと涙を流し出した。
うん。色々焦っちゃったんだよね。
わかるかも……
新店の副店長をいきなり任されて、色々大変なんだってのは聞いてたから……
「焦らなくても大丈夫だよ。キミはこの店で一番丁寧な仕事ができてるんだから。それに、最初から完璧な人なんていないし、みんなでこの店を作るんだからさ、一緒に頑張ろ」
彼女の細い肩が小さく震えるのを見て、オレは自分が入社したての頃を思い出した。
オレもこの会社に入るまで、厨房の仕事なんて一度もしたことがなかった。
だから、ランチタイムの忙しさに一瞬でボロボロになったっけ……
そういえば……琥太郎に出会ったのもあのくらいの時期かも。
同期の司馬は卒なくこなせて、周りからも頼りにされているのに、オレは何もできなくて……
休憩時間もみんなと一緒にいるのが申し訳なくて、誰にも見つからない場所でコッソリ隠れてたっけ……
『うわっ!ビックリした……ん?お前……今年の新卒だっけ。なんだ、落ち込んでるのか?』
ほっといてほしいのに、全然ほっといてくれなくて……
「営業の人には関係ないだろ!ほっといてよ!」って、涙目で怒鳴ったっけ。
その後も、なんかちょこちょこ店舗に顔を出すたびに揶揄われて……
でも、いつも優しくしてくれたんだよね。
オレが人の輪に入れてないのを気にかけてくれたり、接客のコツとかを教えてくれたり……
いつの間にか、好きになっちゃってたんだよなぁ……
「落ち着いてきた?とりあえず、今日はあまり水を触らないように気をつけて。もし痛みが酷いようならすぐに病院に行きなよ。なんかあれば、オレか司馬に連絡をくれてもいいから……」
まだグスンと鼻を鳴らして泣く彼女に、新しいタオルを渡してやる。
「ありがと、ございます……。色々、焦っちゃって……ジュース、弁償しなきゃ……」
彼女の声が震え、目を赤くしながらタオルを握りしめる姿に、胸が締め付けられる。
彼女も……何か悩みがあるんだろうなぁ……
オレも……ここでの仕事が終わったら……
大阪に戻ったときのことを考えると、胸の奥に黒い塊ができるのを感じる。
「ほら、元気だしてさ。今はオレと司馬もいるから頼ってくれよ。それで、オープン初日の戦争を勝ち抜こうぜ♪」
司馬を真似してカッコ良くウィンクをしながら言ってみる。
オレなりにちゃんとウィンクをしてみたつもりだけど、実際は両目を瞑ってしまい、全然できていなかった。
「ふふっ……竹内さん、ウィンクできてないじゃないですか。可愛すぎですよ」
さっきまで泣いていた彼女の顔に笑顔が戻ってくる。
う~ん……オレなりに結構カッコつけたはずなのに、様にならなかったのは不満だ。
でも、彼女が元気になってくれたのならヨシということにしよう。
うん。ちょっと……いや、オレ的にかなりダメージがきたけど……
笑ってくれたしね。元気になったからいいじゃん。
オレはちょっと傷ついたけど……
笑顔の戻った彼女を連れて、オレは司馬たちがいる厨房へと戻った。
バックヤード前は綺麗に片付けが終わっていて、さっき練習で作ったグラタンの味見を楽しんでいた。
「お、お帰り。怪我大丈夫なのか?」
司馬が彼女を心配すると、他のスタッフも彼女に声を掛け始めていた。
うん。彼女はちゃんとこのメンバーとの関係を形成できてるから大丈夫だ。
大丈夫……
オレも、戻ったらどうするのか、そろそろ決めなきゃなぁ……
大阪であった出来事から、早くも一週間が過ぎた。
オープンまで残り三日。
キッチンメンバーにはよく注文が入る軽食メニューの調理手順を覚えさせている。
ケーキやお茶などの甘いモノがメインだけど、オレが働いているこのカフェは、食事系のメニューも人気がある。
パスタとかドリア、グラタン。あとサンドイッチとかオムライスといった、結構腹持ちがいいやつ。
だからかもしれないけど、昼時は結構大変なんだよね。
慣れてないとすぐに回らなくなっちゃうし、お客様にも迷惑をかけちゃうから……
「そうそう。最後にチーズをかけて、オーブンでチーズに焦げ目がつくまで十分くらい焼いたら完成。ね、結構簡単でしょ?」
オレが説明すると、目をキラキラと輝かせてうなずいてくれる。
今回の新店メンバーは、比較的調理の経験がある子が集まってくれた。
もちろん、今回のアルバイトが初めてだという子も数人いるから、説明はできるだけ丁寧に指導していく。
「わからないことがあったら、遠慮せずにどんどん聞いて。忙しい時も不安があるなら、周りに確認すればいい。大丈夫。間違えることはオレも未だにあるし、失敗もするから」
オレが苦笑いを浮かべながら言うと、クスクスと笑ってくれた。
「竹内さん、ずっとここにいてよ~。竹内さんと一緒に働きた―い!」
冗談だろうけど、一緒に働きたいと言ってくれるみんなの気持ちが嬉しい。
「オレと?オレと一緒の店舗になったら、こんな優しく指導はしないよ?ビシバシこき使うけどいい?」
オレが冗談交じりに返答すると「うわぁ~、実はSなんだ!」とか言って笑ってくれた。
でも、もし転勤を希望するなら福岡でもいいかも。
大阪から結構離れてるし、新しい生活を始めるにはいい場所だよな。
「ほらほら、バカなこと言ってないでレシピを覚える。オープン初日から一週間くらいは来客数がヤバいから、しっかり覚えろよ~?」
オレの言葉に元気よく返事をし、各自が練習用の食材を調理していく。
包丁の音やフライパンの油がはねる音が厨房に響き、慌ただしい空気が肌に触れる。
彼らが無事に初日を迎えられるように、オレはちょっとしたアドバイスを伝えていく。
少しでも効率よく作れるようにするため。
盛り付けの工夫とか、下準備のやり方。
片付けをするときのアドバイスもちょっと。
「竹内、そろそろ休憩~」
厨房にひょっこり顔を出した司馬が声を掛けてくれる。
「休憩後に全員ホールでの業務確認をして、掃除をしたら今日は終わり」
ニッと笑みを浮かべて話す司馬に、周りにいたスタッフが各自休憩に入っていく。
「なぁ、竹内。今日の帰り、飯行こうぜ。明日の夜からそんな余裕もなくなるし、今のうちにこっちの美味いモノ食いに行こう♪」
軽くウィンクをしながら話しかけてくる司馬に、つい笑みが溢れる。
「あ、オレこっちで食べたい物あるんだよねぇ~。明日から忙しいし、ガッツリ食いに行こうぜ!」
オレも司馬の意見に賛同し、うんうん。とうなずく。
そういえば……一回だけ、琥太郎とこっちに遊びに来たことがあったっけ……
あの時は、博多ラーメンを食べたんだよなぁ……
濃厚なのにスッキリした豚骨のスープが美味しくって、夢中になって食べた。
『ひよ、そんな慌てて食べると火傷するぞ』
熱いスープに口を付けた瞬間、案の定舌を火傷したっけ……
火傷しても食べたくなるくらい美味しかったんだよね。
そのあと……路地裏で彼がオレを壁に押し付け、唇を重ねてきたっけ……
『火傷の応急処置。ひよの舌、いつもより赤くなってる』
ヒリヒリして痛いはずなのに、琥太郎に舌を絡められて、頭がぼーっとして痛みを忘れた。
あんな人通りがあるところでキスをしたのは、あの日が初めてだった。
誰かに見られるんじゃないかってドキドキしながら、それでも離れたくなくて……
ガシャンッ!
パリンッ!
さっさと忘れなきゃいけない思い出に浸っていると、店内を切り裂くような大きな音が響いた。
何かが盛大に割れる音が奥から聞こえ、オレは司馬と顔を合わせる。
「なんの音だ?」
「行こう。とにかく確認しないと」
音がした方に慌てて向かうと、バックヤードの前に人だかりができていた。
「はいは~い。みんなは休憩だろ。ここはオレたちが処理するから、戻った戻った」
野次馬を押しのけ、音がした原因の場所を確認する。
そこには、飛び散ったガラスの破片が、蛍光灯の光を反射してキラキラと輝き、甘いジュースの香りが立ち込めていた。
そのガラス片を必死に素手でかき集めようとしている子がひとり。
「コラコラ、ダメだよ。ほらぁ~、怪我しちゃってる。とりあえずキミはこっち」
涙目になっている彼女の手からポタポタと滴り落ちる赤い雫。
「司馬、ごめん。ここの掃除任せていい?オレはこの子の手当してくるね」
オレが司馬にお願いすると、軽くサムズアップで答えてくれた。
それから、これ以上血が床に落ちないように、綺麗なタオルを取って傷口を抑えるように指示してから事務所に彼女を連れて行く。
ふたりっきりで密室にいるのは色々とマズいと思うから、扉は開けておかないとね。
変な誤解とか噂とか出ちゃうと、彼女がここで働きにくくなっちゃうし……
「大丈夫?とりあえず、消毒したいから傷口を確認するね。あんまりひどいようだったらすぐに病院に行こう」
オレの言葉に彼女は震える手を差し出してくれた。
血は結構出てたけど、傷は深くない。
多分、細かい傷が多いから血もいっぱい出ちゃったんだと思う。
「もう大丈夫だよ。消毒もしたし、応急処置のばんそうこうもいっぱい貼っちゃったから♪でも、当分は水仕事禁止ね」
まだ動揺を隠せない彼女の頭を優しく撫でてやり、落ち着くのを待つ。
「大丈夫だよ。でも、あぁいう時こそ、冷静にならないとね」
オレがゆっくり話しかけると、彼女はボロボロと涙を流し出した。
うん。色々焦っちゃったんだよね。
わかるかも……
新店の副店長をいきなり任されて、色々大変なんだってのは聞いてたから……
「焦らなくても大丈夫だよ。キミはこの店で一番丁寧な仕事ができてるんだから。それに、最初から完璧な人なんていないし、みんなでこの店を作るんだからさ、一緒に頑張ろ」
彼女の細い肩が小さく震えるのを見て、オレは自分が入社したての頃を思い出した。
オレもこの会社に入るまで、厨房の仕事なんて一度もしたことがなかった。
だから、ランチタイムの忙しさに一瞬でボロボロになったっけ……
そういえば……琥太郎に出会ったのもあのくらいの時期かも。
同期の司馬は卒なくこなせて、周りからも頼りにされているのに、オレは何もできなくて……
休憩時間もみんなと一緒にいるのが申し訳なくて、誰にも見つからない場所でコッソリ隠れてたっけ……
『うわっ!ビックリした……ん?お前……今年の新卒だっけ。なんだ、落ち込んでるのか?』
ほっといてほしいのに、全然ほっといてくれなくて……
「営業の人には関係ないだろ!ほっといてよ!」って、涙目で怒鳴ったっけ。
その後も、なんかちょこちょこ店舗に顔を出すたびに揶揄われて……
でも、いつも優しくしてくれたんだよね。
オレが人の輪に入れてないのを気にかけてくれたり、接客のコツとかを教えてくれたり……
いつの間にか、好きになっちゃってたんだよなぁ……
「落ち着いてきた?とりあえず、今日はあまり水を触らないように気をつけて。もし痛みが酷いようならすぐに病院に行きなよ。なんかあれば、オレか司馬に連絡をくれてもいいから……」
まだグスンと鼻を鳴らして泣く彼女に、新しいタオルを渡してやる。
「ありがと、ございます……。色々、焦っちゃって……ジュース、弁償しなきゃ……」
彼女の声が震え、目を赤くしながらタオルを握りしめる姿に、胸が締め付けられる。
彼女も……何か悩みがあるんだろうなぁ……
オレも……ここでの仕事が終わったら……
大阪に戻ったときのことを考えると、胸の奥に黒い塊ができるのを感じる。
「ほら、元気だしてさ。今はオレと司馬もいるから頼ってくれよ。それで、オープン初日の戦争を勝ち抜こうぜ♪」
司馬を真似してカッコ良くウィンクをしながら言ってみる。
オレなりにちゃんとウィンクをしてみたつもりだけど、実際は両目を瞑ってしまい、全然できていなかった。
「ふふっ……竹内さん、ウィンクできてないじゃないですか。可愛すぎですよ」
さっきまで泣いていた彼女の顔に笑顔が戻ってくる。
う~ん……オレなりに結構カッコつけたはずなのに、様にならなかったのは不満だ。
でも、彼女が元気になってくれたのならヨシということにしよう。
うん。ちょっと……いや、オレ的にかなりダメージがきたけど……
笑ってくれたしね。元気になったからいいじゃん。
オレはちょっと傷ついたけど……
笑顔の戻った彼女を連れて、オレは司馬たちがいる厨房へと戻った。
バックヤード前は綺麗に片付けが終わっていて、さっき練習で作ったグラタンの味見を楽しんでいた。
「お、お帰り。怪我大丈夫なのか?」
司馬が彼女を心配すると、他のスタッフも彼女に声を掛け始めていた。
うん。彼女はちゃんとこのメンバーとの関係を形成できてるから大丈夫だ。
大丈夫……
オレも、戻ったらどうするのか、そろそろ決めなきゃなぁ……
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