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昨晩の行為で全身が軋むように痛い
少し動くだけでも、ギシギシと歪な音がしそうな程身体中が痛くて仕方なかった
頬や目元に青痣が出来てしまい、マスクとメガネだけでは全部を隠すことが出来なかった
首にも、お父さんに絞められた時の手の痕がくっきりと付いている
学校を休もうかと思っていた
お父さんも、昨晩の折檻で疲れてしまったのか、朝、寝室から出てこなかった
靴があったから、今日はお仕事を休んだんだと思う
僕がお父さんの言うことを聞かなかったから、お父さんの体調を崩してしまった
首に付いた痕を他の人に見られると、何か事件でもあったんじゃないかって問い詰められるから、ハイネックのインナーを着てきた
ワイシャツの襟から絞められた痕が見えないようにする為に…
万が一見られても、今は喉を傷めてしまったから声は出ないけど…
むしろ、もう二度と出なければいいのに…
「朱鳥おはよう」
教室の後ろの扉からコッソリ入ったのに、速水君にはあっさり見つかってしまった
彼だけが、僕に笑顔で声を掛けてくれる
でも、前髪とマスクで顔を隠していたのに、ほんの少しだけ覗いてしまった僕の顔を見た瞬間、表情が変わった
「どうしたんだ?それ…」
怪訝そうな顔で僕の肩を掴み、そっと指で前髪を掻き分けてくる
僕は、顔を見られたくない気持ちと、後ろめたさからつい顔を背けてしまった
「朱鳥?コレ…」
彼の悲痛な面持ちに胸が締め付けられるものの、問いただされても僕は何も喋ることが出来ない
ただ出来るだけ悟られないように笑って首を横に振り、肩を掴む手に触れる
「………」
何か言いたそうな顔で僕を見ていたけど、チャイムの音が教室内に鳴り響き、仕方なさげに手を離してくれた
でも、納得はしていないのか「後で聞くから…後で……」と誰にも聞かれないように、ソッと耳元で囁いた後に席に戻って行った
教室で他の人がいることを気にしてくれたんだと思う
優しい彼の後ろ姿を、前髪の隙間から見ていた
もう関わっちゃいけない、憧れの人の後ろ姿をじっと見つめていた
この日から、僕は彼から逃げるように過ごした
休憩の度に、チャイムと同時に席を立つ
「朱鳥っ!」
声を掛けられても、振り返ることなく一目散に走って逃げる
ペアになって受ける授業は、速水君が人気者で良かった
彼の周りには、一緒にやりたい人がいっぱい押し寄せて、僕との距離を作ってくれる
昼休みも声を掛けられているのを見た
断って僕の方に来ようとしてくれているのを横目に見ながら、そっと気付かれないように教室から抜け出す
誰も来ない教室やトイレ、校舎裏など、彼に見つからない場所に隠れて過ごすようになった
あの日から、僕は一切喋らなくなった
喉を絞められた時に傷めたことも原因だけど、お父さんが怒るから
お父さんとの約束だから…
授業中も、先生に呼ばれた時も、お父さんに犯されている時も…
一切声を出さずに過ごせるようになった
お父さんが僕を犯す時は、毎回首を絞めるようになった
僕が苦しくて、意識が飛びそうになると、いつもよりナカを締め付けて気持ち良いんだって…
首にはいつも手の痕が残るようになって、ハイネックを着ていないと見えてしまうようになった
パパのチョーカーはインナーの上から付けているから、そう簡単にアザを見られることもない
お父さんが僕にしていることは、僕が言わなきゃ、誰にもバレないから……
先生には、喉を痛めて声が出なくなったと手紙にしたためて伝えた
何か言いたそうだったけど、眉を顰めて、溜息と一緒に何かを飲み込んで了承してくれた
大丈夫。声を出さなくても大丈夫。
声なんてなくても困らない。
僕は喋っちゃダメなだけだから…
速水君から逃げ回ってひと月くらい経った頃、やっと彼も諦めてくれた
休憩中に教室に居ても、もう話し掛けては来ない
時々、視線を感じることはあるけれど、前みたいに追い掛けられることもなくなった
僕なんかの相手をしなくても、速水君はモテるから…
やっと…やっと、僕の平穏な日々が戻ってきた…
告白で呼び出されるところを何度も見た
隣のクラスのΩの子と仲が良いって噂も聞いた
彼には好きな人が居るってことも…
彼の好きな人は僕なんかじゃない
きっと、素敵なΩの人
あの告白はただの気の迷いだったんだから…
これで…これで、良かったんだよね……
彼の顔を遠目に見る度に胸が締め付けられる
最初で最後の保健室でのキスを思い出す度に涙が溢れそうになる
唯一の僕の友達であるみぃちゃん
野良猫だけど、僕には懐いてくれていて…
あの子と戯れていた時に速水君に出会った
春の陽射しが降り注ぐあの日から、もう随分経った
もうすぐ夏も終わる
受験を控えた僕たちは、進路に向かって色々忙しいから…
これ以上、彼と関わることなんてないだろうから…
あれは、一時の気まぐれであり、思い違いだったんだ
校舎裏に行って、みぃちゃんを探したけれど見つけることが出来なかった
ずっと探しているけど、見つからない
校舎裏の隙間で、みぃちゃんの好きだったちゅーるを置いといたけど、知らない猫やカラスが来ているだけだった
ひとりぼっちの僕は、唯一の友だちすら居なくなって…
本当にひとりぼっちになってしまった
少し動くだけでも、ギシギシと歪な音がしそうな程身体中が痛くて仕方なかった
頬や目元に青痣が出来てしまい、マスクとメガネだけでは全部を隠すことが出来なかった
首にも、お父さんに絞められた時の手の痕がくっきりと付いている
学校を休もうかと思っていた
お父さんも、昨晩の折檻で疲れてしまったのか、朝、寝室から出てこなかった
靴があったから、今日はお仕事を休んだんだと思う
僕がお父さんの言うことを聞かなかったから、お父さんの体調を崩してしまった
首に付いた痕を他の人に見られると、何か事件でもあったんじゃないかって問い詰められるから、ハイネックのインナーを着てきた
ワイシャツの襟から絞められた痕が見えないようにする為に…
万が一見られても、今は喉を傷めてしまったから声は出ないけど…
むしろ、もう二度と出なければいいのに…
「朱鳥おはよう」
教室の後ろの扉からコッソリ入ったのに、速水君にはあっさり見つかってしまった
彼だけが、僕に笑顔で声を掛けてくれる
でも、前髪とマスクで顔を隠していたのに、ほんの少しだけ覗いてしまった僕の顔を見た瞬間、表情が変わった
「どうしたんだ?それ…」
怪訝そうな顔で僕の肩を掴み、そっと指で前髪を掻き分けてくる
僕は、顔を見られたくない気持ちと、後ろめたさからつい顔を背けてしまった
「朱鳥?コレ…」
彼の悲痛な面持ちに胸が締め付けられるものの、問いただされても僕は何も喋ることが出来ない
ただ出来るだけ悟られないように笑って首を横に振り、肩を掴む手に触れる
「………」
何か言いたそうな顔で僕を見ていたけど、チャイムの音が教室内に鳴り響き、仕方なさげに手を離してくれた
でも、納得はしていないのか「後で聞くから…後で……」と誰にも聞かれないように、ソッと耳元で囁いた後に席に戻って行った
教室で他の人がいることを気にしてくれたんだと思う
優しい彼の後ろ姿を、前髪の隙間から見ていた
もう関わっちゃいけない、憧れの人の後ろ姿をじっと見つめていた
この日から、僕は彼から逃げるように過ごした
休憩の度に、チャイムと同時に席を立つ
「朱鳥っ!」
声を掛けられても、振り返ることなく一目散に走って逃げる
ペアになって受ける授業は、速水君が人気者で良かった
彼の周りには、一緒にやりたい人がいっぱい押し寄せて、僕との距離を作ってくれる
昼休みも声を掛けられているのを見た
断って僕の方に来ようとしてくれているのを横目に見ながら、そっと気付かれないように教室から抜け出す
誰も来ない教室やトイレ、校舎裏など、彼に見つからない場所に隠れて過ごすようになった
あの日から、僕は一切喋らなくなった
喉を絞められた時に傷めたことも原因だけど、お父さんが怒るから
お父さんとの約束だから…
授業中も、先生に呼ばれた時も、お父さんに犯されている時も…
一切声を出さずに過ごせるようになった
お父さんが僕を犯す時は、毎回首を絞めるようになった
僕が苦しくて、意識が飛びそうになると、いつもよりナカを締め付けて気持ち良いんだって…
首にはいつも手の痕が残るようになって、ハイネックを着ていないと見えてしまうようになった
パパのチョーカーはインナーの上から付けているから、そう簡単にアザを見られることもない
お父さんが僕にしていることは、僕が言わなきゃ、誰にもバレないから……
先生には、喉を痛めて声が出なくなったと手紙にしたためて伝えた
何か言いたそうだったけど、眉を顰めて、溜息と一緒に何かを飲み込んで了承してくれた
大丈夫。声を出さなくても大丈夫。
声なんてなくても困らない。
僕は喋っちゃダメなだけだから…
速水君から逃げ回ってひと月くらい経った頃、やっと彼も諦めてくれた
休憩中に教室に居ても、もう話し掛けては来ない
時々、視線を感じることはあるけれど、前みたいに追い掛けられることもなくなった
僕なんかの相手をしなくても、速水君はモテるから…
やっと…やっと、僕の平穏な日々が戻ってきた…
告白で呼び出されるところを何度も見た
隣のクラスのΩの子と仲が良いって噂も聞いた
彼には好きな人が居るってことも…
彼の好きな人は僕なんかじゃない
きっと、素敵なΩの人
あの告白はただの気の迷いだったんだから…
これで…これで、良かったんだよね……
彼の顔を遠目に見る度に胸が締め付けられる
最初で最後の保健室でのキスを思い出す度に涙が溢れそうになる
唯一の僕の友達であるみぃちゃん
野良猫だけど、僕には懐いてくれていて…
あの子と戯れていた時に速水君に出会った
春の陽射しが降り注ぐあの日から、もう随分経った
もうすぐ夏も終わる
受験を控えた僕たちは、進路に向かって色々忙しいから…
これ以上、彼と関わることなんてないだろうから…
あれは、一時の気まぐれであり、思い違いだったんだ
校舎裏に行って、みぃちゃんを探したけれど見つけることが出来なかった
ずっと探しているけど、見つからない
校舎裏の隙間で、みぃちゃんの好きだったちゅーるを置いといたけど、知らない猫やカラスが来ているだけだった
ひとりぼっちの僕は、唯一の友だちすら居なくなって…
本当にひとりぼっちになってしまった
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