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番外編 後日談 鬼滅の刃は不滅です
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やあ、お久しぶり。俺、神能秀一。
勇者ハーケン・クロイツァーこと佐藤勇一との闘いを終えてから三か月が経ったんだけど、俺、相変わらず牧夫やってます。
俺、エクスカリバーを持つ異世界最強の勇者で、S級召喚士の資格を合わせ持つ、ほんと、主人公補正と御都合主義の産物以外の何もんでもない、いや、努力、友情、勝利の末に栄光を掴んだ立派な勇者のはずなんだけど、その実力に相応しい相手がいなくって。
そりゃ、単価の安い魔生物はいるんだけど、それらは手数料の安いB級C級の方へ流れてしまうので、俺の出番はこの三か月間皆無だった。
いや、一度だけあったっけか? 南蛮モグラ。
牧場であいつと遭遇したとき、久し振りにエクスカリバー振るったんだけど。
なんか眩い光に包まれたと思ったら、小さな爆発が起こって、南蛮モグラは跡形もなく消し飛んでしまったんだ。
ちょっと可哀そうな気がして、俺、弱小魔生物相手にエクスカリバー振るうの止めようかなって思って……。
ジイサンが大鎌振るって、南蛮モグラの頭を叩き割ってるのを見たとき、その感を強くしたんだけど。
これじゃエクスカリバーを振るう機会がないよね。
勇一も言ってたけど、ほんと、S級勇者には生きにくい時代だよね。
出てこいサラマンダー、ワイバーン、リヴァイアサン。
俺に金儲けの機会を、いや、違った。俺に街の人々の平和を守る機会を与えてほしい。
■■■
そうそう、紙芝居の台本作家の方なんだけど、例の「ドラゴンピース」
異世界には前世の記憶のない連中がけっこういると思って、「ドラゴンボール」や「ワンピース」をパクリまくっていたら、回を重ねる度にパクリ疑惑の批判を浴びちゃって。
いや、意外に多かったんですよ。「ドラゴンボール」や「ワンピース」覚えてる人。
これじゃ、商売やりにくいったらありゃしない。
俺の貧相な想像力ではオリジナル豊かな作品など出来るはずもなく。
「ドラゴンピース」は散々酷評されて、わずか五回で打ち切りとなった。
結局、版元さんの「次回作期待してるから」
蔑みの眼差しでそう言われたきり、紙芝居の台本の依頼が途絶えちゃった。
一応、再起に備えてアイデアだけは練ってるんだけど、やっぱ名作の力を借りなければ、売れる作品を書くのは難しいよね?
そうだ、俺には「鬼滅の刃」という心強い味方があった。
異世界に転生した人は「鬼滅」がブームになる前にお亡くなりになった方が大半だから、「鬼滅」のことは知らない人が殆どのはず。パクっても気付かれる恐れはない。
よし、一丁、やったるか!
■■■
鬼が島で鬼退治に成功して、晴れて鬼殺隊の選抜試験に合格した俺こと神能秀一。
階級はいきなり「松竹梅」の松。
たぶん富岡義勇と肩を並べたって気がするんだけど。
いや、やるよね。俺?
それでね、隊にね、ちょっと気になる娘がいて。
胡蝶しのぶさん? いえいえ、彼女も可愛いんだけど、ロリコンの俺としてはやっぱ禰津子ちゃんだよねえ。
えっ、彼女は鬼殺隊士じゃないって?
いや、いたんですよ。
ある日、炭治郎の目を盗んで背負子の箱の蓋を開けたら、その中にちょこんと鎮座しなすってたんですよ。
いや、可愛いのなんの!
でもこれ、誘拐だよね? どう見ても美少女を拉致監禁してるよね?
あの野郎、癸の分際で、松の俺を差し置いて、どんでもねえことしやがる!
しかもなんだぁ、口に竹なんてくわえさせやがって! 口枷の代わりかぁ! 炭治郎のやつ、とんでもねえSM変態野郎だぜ。
俺は禰津子ちゃんを救出すべく、彼女に手を差し伸べた。
「さあ、こっちへ来るんだ。君を変態おにいさんから救ってあげよう」
「……」
「なにを躊躇しているんだ。俺もおにいさんと同じ変態だけど、おにいさんよりソフト志向だから。こんな狭い所に閉じ込めて、口枷かますようなことはしないから」
「……」
「ついでだからさ、その咥えてる竹取っちゃってさあ。俺の〇〇〇でも咥えてくれない?」
そのとき俺の肩をツンツンする感触が……。
振り向くと、そこには日輪刀を構えた炭治郎が憤怒の形相で立っていた。
「貴様ぁ~! そこへ直れ! 素っ首叩き斬ってやる!」
「えっ、おい、炭治郎、止めろぉ~!」
その場で首を落とされた俺は、その後、異世界へ転生し……。
■■■
う~ん、どうかな、これ? だめかな? だめだよね。
俺は自身の才能が枯渇したことを知った。
勇者ハーケン・クロイツァーこと佐藤勇一との闘いを終えてから三か月が経ったんだけど、俺、相変わらず牧夫やってます。
俺、エクスカリバーを持つ異世界最強の勇者で、S級召喚士の資格を合わせ持つ、ほんと、主人公補正と御都合主義の産物以外の何もんでもない、いや、努力、友情、勝利の末に栄光を掴んだ立派な勇者のはずなんだけど、その実力に相応しい相手がいなくって。
そりゃ、単価の安い魔生物はいるんだけど、それらは手数料の安いB級C級の方へ流れてしまうので、俺の出番はこの三か月間皆無だった。
いや、一度だけあったっけか? 南蛮モグラ。
牧場であいつと遭遇したとき、久し振りにエクスカリバー振るったんだけど。
なんか眩い光に包まれたと思ったら、小さな爆発が起こって、南蛮モグラは跡形もなく消し飛んでしまったんだ。
ちょっと可哀そうな気がして、俺、弱小魔生物相手にエクスカリバー振るうの止めようかなって思って……。
ジイサンが大鎌振るって、南蛮モグラの頭を叩き割ってるのを見たとき、その感を強くしたんだけど。
これじゃエクスカリバーを振るう機会がないよね。
勇一も言ってたけど、ほんと、S級勇者には生きにくい時代だよね。
出てこいサラマンダー、ワイバーン、リヴァイアサン。
俺に金儲けの機会を、いや、違った。俺に街の人々の平和を守る機会を与えてほしい。
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そうそう、紙芝居の台本作家の方なんだけど、例の「ドラゴンピース」
異世界には前世の記憶のない連中がけっこういると思って、「ドラゴンボール」や「ワンピース」をパクリまくっていたら、回を重ねる度にパクリ疑惑の批判を浴びちゃって。
いや、意外に多かったんですよ。「ドラゴンボール」や「ワンピース」覚えてる人。
これじゃ、商売やりにくいったらありゃしない。
俺の貧相な想像力ではオリジナル豊かな作品など出来るはずもなく。
「ドラゴンピース」は散々酷評されて、わずか五回で打ち切りとなった。
結局、版元さんの「次回作期待してるから」
蔑みの眼差しでそう言われたきり、紙芝居の台本の依頼が途絶えちゃった。
一応、再起に備えてアイデアだけは練ってるんだけど、やっぱ名作の力を借りなければ、売れる作品を書くのは難しいよね?
そうだ、俺には「鬼滅の刃」という心強い味方があった。
異世界に転生した人は「鬼滅」がブームになる前にお亡くなりになった方が大半だから、「鬼滅」のことは知らない人が殆どのはず。パクっても気付かれる恐れはない。
よし、一丁、やったるか!
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鬼が島で鬼退治に成功して、晴れて鬼殺隊の選抜試験に合格した俺こと神能秀一。
階級はいきなり「松竹梅」の松。
たぶん富岡義勇と肩を並べたって気がするんだけど。
いや、やるよね。俺?
それでね、隊にね、ちょっと気になる娘がいて。
胡蝶しのぶさん? いえいえ、彼女も可愛いんだけど、ロリコンの俺としてはやっぱ禰津子ちゃんだよねえ。
えっ、彼女は鬼殺隊士じゃないって?
いや、いたんですよ。
ある日、炭治郎の目を盗んで背負子の箱の蓋を開けたら、その中にちょこんと鎮座しなすってたんですよ。
いや、可愛いのなんの!
でもこれ、誘拐だよね? どう見ても美少女を拉致監禁してるよね?
あの野郎、癸の分際で、松の俺を差し置いて、どんでもねえことしやがる!
しかもなんだぁ、口に竹なんてくわえさせやがって! 口枷の代わりかぁ! 炭治郎のやつ、とんでもねえSM変態野郎だぜ。
俺は禰津子ちゃんを救出すべく、彼女に手を差し伸べた。
「さあ、こっちへ来るんだ。君を変態おにいさんから救ってあげよう」
「……」
「なにを躊躇しているんだ。俺もおにいさんと同じ変態だけど、おにいさんよりソフト志向だから。こんな狭い所に閉じ込めて、口枷かますようなことはしないから」
「……」
「ついでだからさ、その咥えてる竹取っちゃってさあ。俺の〇〇〇でも咥えてくれない?」
そのとき俺の肩をツンツンする感触が……。
振り向くと、そこには日輪刀を構えた炭治郎が憤怒の形相で立っていた。
「貴様ぁ~! そこへ直れ! 素っ首叩き斬ってやる!」
「えっ、おい、炭治郎、止めろぉ~!」
その場で首を落とされた俺は、その後、異世界へ転生し……。
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う~ん、どうかな、これ? だめかな? だめだよね。
俺は自身の才能が枯渇したことを知った。
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