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Ⅺ 瀬名舞子+わたし=それは春の空に浮かんだ二つの雲
「悪いけど、先に帰ってくれる?」
「どうしたの? いきなり慌てたりして」
「ちょっと大事な用を思い出して」
「ははぁ~、わかった。それ、八神君のことでしょ? なるほどなるほど、君は友情より愛情を優先するってわけか」
こんなときの春江の直感って、まず当たった試しがない。だから渡りに船とばかりに気軽に便乗することができる。
「まっ、そういうこと。そのうち埋め合わせはするからさ」
「知ってる? 友情を裏切ったツケって高いのよ。さ~て、なにを奢ってもらおうかな」
「任せなさい! 勘定はすべて八神に支払ってもらうから」
「しっかりしてんのね、あんた。ほんと、八神君には同情するわ。わたしがこのナイスバディで慰めてあげたい、な~んて言ったら怒る?」
「どうぞ、どうぞ、差し上げますとも。わたしのお古でよかったら」
挨拶代わりの気軽な冗談。春江と美里は笑いながら”じゃあねぇ~”と手を振った。
でも涼子だけは……。あるいは言い訳の裏に別の理由が潜むことを看破したのかもしれない。八神の事で軽口を叩くなど、今まで一度もなかったのだから。愚痴なら何度も零したけど。
ついてこなくてもいいから。
わたしは涼子を目で押し止めると小走りに走り出した。
なぜあの人影を瀬名さんと思ったのか? 根拠など何もないのに。勘を頼りに事を起こすなんて、なんか自分が信じられない。でも身体は理屈を無視して勝手に動く。校舎の階段を駆け上がる頃には、すでにスカートの裾が邪魔になるほど歩幅が広くなっていた。まるで三段跳びの選手。テスト勉強で体力を消耗した身にはけっこう堪える。息も絶え絶えにやっとのことで屋上に辿り着くと、……あっ、いた。やっぱ瀬名さんだ。
「あの……」
なんて切り出せばいいのか。こんな取り乱した姿で。
そこには怜悧な眼差しでわたしを見つめる、いつもの彼女がいた。これではどちらが危ない人だかわからない。なんのこたぁ~ない。これってわたしの早とちり?
「うん、なんとなく一人になりたくて。ここなら滅多に人が来ないから」
安心したとたん、全身の力が抜けて思わず手摺に突っ伏した。
あ~、やっぱわたしの勘って当てにならない。
そんなわたしの気持ちを知ってか知らずか、彼女は微笑を浮かべると、
「見てたわよ。わたしを認めたとたん、慌てて引き返したりして。ううん、はっきりとあなただって認めたわけじゃないけど。なぜかそんな気がして」
自己嫌悪の闇に沈むわたしにとって、その呟きは一条の光となりえた。人間が点にしか見えない場所から、彼女もわたしを見つめていたのだ。
精神感応っていうのかな? もうほとんど超能力の世界。普段なら偶然の産物として一笑に付すような事象なのに、こんなことを真剣に考えさせてしまう彼女って……。
「わたしのこと心配して来てくれたの? だったら嬉しいな」
えっ? 思わず顔を上げると、彼女は遠い眼差しで彼方を見つめたまま……。
喜びを表現するのが下手な人。内向した感情が時として誤解すら生んでしまう。表情×5=彼女の偽りなき喜怒哀楽度。たぶんわたしの努力は報われたはずだ。
「悩んでいるように見えた? だったら役得かな。頭良さそうに見えない? いつも難しいこと考えてるような」
つい笑みが引き攣ってしまう。頭のいい彼女が言うと洒落にならない。
「フフッ、ばれたか。そう、実はただぼんやりしてただけ。ほんと、頭の中真っ白。こんなこと久し振り」
なんか声が弾んでいる。こんなにあっけらかんとした彼女、初めて見た。
「意外だなぁ、瀬名さんでもそんなことあるんですか?」
「そりゃ年頃の多感な乙女ですとも。たまにはね。で、あなたは?」
「わたしは……、しょっちゅうです。ハハッ、困った性格」
「羨ましいな、そんな性格。わたしも人目を気にせず、やりたいことをやってみたい」
そんなため息交じりの呟きの裏に、彼女の本音が見え隠れする。
無口、控えめ、物静か。一見、自然体に見える彼女の態度が、実は己の内部に育んだ理想像の体現に過ぎないのだと。多かれ少なかれ誰もが持っている性格だけど、彼女のような勤勉家は特にその傾向が著しい。完全主義っていうのかな。余分な疲れをため込むタイプ。努力しているのは何も勉強だけじゃないってことか。
「うん、ほんと、困った性格」
持って生まれた性質が、すべて変えようのないもののごとく。
彼女は諦観にも似た微笑を浮かべると、膝下に広がる風景に目を落とした。
「自分でもわかっているつもり。直したいとは思っても、幼い頃からの習慣っていうのかな。人と競わされてばかりいたから、変な競争意識が身についちゃって。他人との差異がそのまま自分の短所のような思えるの。自意識過剰なのね、きっと。だから屋上から人を見下して安っぽい優越感に浸っている」
持て余した自己不信を慰撫するために、こんな寒空の下たった一人で……。
「そんなぁ、わたしから見れば長所だらけですよ。瀬名さんって」
「気にすることはない、かぁ、自分にもそう言い聞かせてはいるんだけど」
「あの、具体的にどこが気に入らないんですか?」
「うん、いろいろとね」
当人には重大事でも、他人には瑣事ってこと、よくあるから……。
彼女は言葉を濁すと照れ笑いを浮かべた。
「これでも親は満足してたみたい。手間のかからないしっかりした娘。子供の頃はそれが褒め言葉だって信じてたけど、結局は親の都合だったのよ。一度だけわざとテストで悪い点取ったら、ただ誹謗するだけで、決して慰めてはくれなかった。親の理想像を演じているときは、わたしは両親の自慢の娘として存在を許された。でもね、そのときなんだ、両親がわたしのことを真剣に考えてるって思ったのは……。それからよ、人の期待を裏切ることで、相手の真意を確かめるようになったのは……」
突然、背中に悪寒が走った。あの人を揶揄するような眼差しが、再びわたしを見据えていた。
いったい、何を……。そんな無言の問いかけが、彼女にきっかけを与えたのかもしれない。
止める間もなかった。いや、止まったのはわたしの心臓の方だ! まさか屋上の手摺を乗り越えるなんて、そんな危険な行為、いったい誰が想像できようか。
「フフッ、いい眺め。毎日がこんな風景だったら、もっと楽しめるんだろうけど」
彼女は両手で手摺を握り締めながら、気持ちよさそうに身体を反り返らせた。手摺から手を離した瞬間、彼女は一直線に地上へ落下する。夢なら覚めてと祈らずにはいられない、そんな危険なシュチュエーション。
頭の中はもうパニック状態。できるのもならこの場から逃げ出したい!
「ほら、こうしたらもっとスリルが味わえる」
彼女の右手が手摺から離れた。
「ほら、ついでにこんなことも」
彼女の右足が宙に浮いた。すでに半身が空中にはみ出している。
もう、耐えられない。
「やめてください」
震える声。彼女は手摺に凭れかかったまま。
「やめて……」
震える心。彼女はやっと振り向いてくれた。
「フフッ、やっと敬語じゃなくなった」
ホッと胸を撫で下ろした。その瞬間、彼女の呟きが雫となって滴り落ちた。
ああ、そうか。なんて鈍感な自分。振り向いたのはわたしの方なんだ。それは彼女を目上の人のごとく扱っていた周囲の視線とわたしの視線。胸中に一つの想いを見い出したとき、すでに彼女はわたしの目の前に立っていた。
「ごめんね」
彼女は十七歳という同い年の笑顔でわたしを見つめていた。
なぜだろう? 急に涙がぽろぽろと零れ落ちた。
止めどなく溢れる熱い涙。わたしは彼女の胸にしがみ付いて号泣した。
碧春。それはどこまでも澄んだ青い空。
(了)
「どうしたの? いきなり慌てたりして」
「ちょっと大事な用を思い出して」
「ははぁ~、わかった。それ、八神君のことでしょ? なるほどなるほど、君は友情より愛情を優先するってわけか」
こんなときの春江の直感って、まず当たった試しがない。だから渡りに船とばかりに気軽に便乗することができる。
「まっ、そういうこと。そのうち埋め合わせはするからさ」
「知ってる? 友情を裏切ったツケって高いのよ。さ~て、なにを奢ってもらおうかな」
「任せなさい! 勘定はすべて八神に支払ってもらうから」
「しっかりしてんのね、あんた。ほんと、八神君には同情するわ。わたしがこのナイスバディで慰めてあげたい、な~んて言ったら怒る?」
「どうぞ、どうぞ、差し上げますとも。わたしのお古でよかったら」
挨拶代わりの気軽な冗談。春江と美里は笑いながら”じゃあねぇ~”と手を振った。
でも涼子だけは……。あるいは言い訳の裏に別の理由が潜むことを看破したのかもしれない。八神の事で軽口を叩くなど、今まで一度もなかったのだから。愚痴なら何度も零したけど。
ついてこなくてもいいから。
わたしは涼子を目で押し止めると小走りに走り出した。
なぜあの人影を瀬名さんと思ったのか? 根拠など何もないのに。勘を頼りに事を起こすなんて、なんか自分が信じられない。でも身体は理屈を無視して勝手に動く。校舎の階段を駆け上がる頃には、すでにスカートの裾が邪魔になるほど歩幅が広くなっていた。まるで三段跳びの選手。テスト勉強で体力を消耗した身にはけっこう堪える。息も絶え絶えにやっとのことで屋上に辿り着くと、……あっ、いた。やっぱ瀬名さんだ。
「あの……」
なんて切り出せばいいのか。こんな取り乱した姿で。
そこには怜悧な眼差しでわたしを見つめる、いつもの彼女がいた。これではどちらが危ない人だかわからない。なんのこたぁ~ない。これってわたしの早とちり?
「うん、なんとなく一人になりたくて。ここなら滅多に人が来ないから」
安心したとたん、全身の力が抜けて思わず手摺に突っ伏した。
あ~、やっぱわたしの勘って当てにならない。
そんなわたしの気持ちを知ってか知らずか、彼女は微笑を浮かべると、
「見てたわよ。わたしを認めたとたん、慌てて引き返したりして。ううん、はっきりとあなただって認めたわけじゃないけど。なぜかそんな気がして」
自己嫌悪の闇に沈むわたしにとって、その呟きは一条の光となりえた。人間が点にしか見えない場所から、彼女もわたしを見つめていたのだ。
精神感応っていうのかな? もうほとんど超能力の世界。普段なら偶然の産物として一笑に付すような事象なのに、こんなことを真剣に考えさせてしまう彼女って……。
「わたしのこと心配して来てくれたの? だったら嬉しいな」
えっ? 思わず顔を上げると、彼女は遠い眼差しで彼方を見つめたまま……。
喜びを表現するのが下手な人。内向した感情が時として誤解すら生んでしまう。表情×5=彼女の偽りなき喜怒哀楽度。たぶんわたしの努力は報われたはずだ。
「悩んでいるように見えた? だったら役得かな。頭良さそうに見えない? いつも難しいこと考えてるような」
つい笑みが引き攣ってしまう。頭のいい彼女が言うと洒落にならない。
「フフッ、ばれたか。そう、実はただぼんやりしてただけ。ほんと、頭の中真っ白。こんなこと久し振り」
なんか声が弾んでいる。こんなにあっけらかんとした彼女、初めて見た。
「意外だなぁ、瀬名さんでもそんなことあるんですか?」
「そりゃ年頃の多感な乙女ですとも。たまにはね。で、あなたは?」
「わたしは……、しょっちゅうです。ハハッ、困った性格」
「羨ましいな、そんな性格。わたしも人目を気にせず、やりたいことをやってみたい」
そんなため息交じりの呟きの裏に、彼女の本音が見え隠れする。
無口、控えめ、物静か。一見、自然体に見える彼女の態度が、実は己の内部に育んだ理想像の体現に過ぎないのだと。多かれ少なかれ誰もが持っている性格だけど、彼女のような勤勉家は特にその傾向が著しい。完全主義っていうのかな。余分な疲れをため込むタイプ。努力しているのは何も勉強だけじゃないってことか。
「うん、ほんと、困った性格」
持って生まれた性質が、すべて変えようのないもののごとく。
彼女は諦観にも似た微笑を浮かべると、膝下に広がる風景に目を落とした。
「自分でもわかっているつもり。直したいとは思っても、幼い頃からの習慣っていうのかな。人と競わされてばかりいたから、変な競争意識が身についちゃって。他人との差異がそのまま自分の短所のような思えるの。自意識過剰なのね、きっと。だから屋上から人を見下して安っぽい優越感に浸っている」
持て余した自己不信を慰撫するために、こんな寒空の下たった一人で……。
「そんなぁ、わたしから見れば長所だらけですよ。瀬名さんって」
「気にすることはない、かぁ、自分にもそう言い聞かせてはいるんだけど」
「あの、具体的にどこが気に入らないんですか?」
「うん、いろいろとね」
当人には重大事でも、他人には瑣事ってこと、よくあるから……。
彼女は言葉を濁すと照れ笑いを浮かべた。
「これでも親は満足してたみたい。手間のかからないしっかりした娘。子供の頃はそれが褒め言葉だって信じてたけど、結局は親の都合だったのよ。一度だけわざとテストで悪い点取ったら、ただ誹謗するだけで、決して慰めてはくれなかった。親の理想像を演じているときは、わたしは両親の自慢の娘として存在を許された。でもね、そのときなんだ、両親がわたしのことを真剣に考えてるって思ったのは……。それからよ、人の期待を裏切ることで、相手の真意を確かめるようになったのは……」
突然、背中に悪寒が走った。あの人を揶揄するような眼差しが、再びわたしを見据えていた。
いったい、何を……。そんな無言の問いかけが、彼女にきっかけを与えたのかもしれない。
止める間もなかった。いや、止まったのはわたしの心臓の方だ! まさか屋上の手摺を乗り越えるなんて、そんな危険な行為、いったい誰が想像できようか。
「フフッ、いい眺め。毎日がこんな風景だったら、もっと楽しめるんだろうけど」
彼女は両手で手摺を握り締めながら、気持ちよさそうに身体を反り返らせた。手摺から手を離した瞬間、彼女は一直線に地上へ落下する。夢なら覚めてと祈らずにはいられない、そんな危険なシュチュエーション。
頭の中はもうパニック状態。できるのもならこの場から逃げ出したい!
「ほら、こうしたらもっとスリルが味わえる」
彼女の右手が手摺から離れた。
「ほら、ついでにこんなことも」
彼女の右足が宙に浮いた。すでに半身が空中にはみ出している。
もう、耐えられない。
「やめてください」
震える声。彼女は手摺に凭れかかったまま。
「やめて……」
震える心。彼女はやっと振り向いてくれた。
「フフッ、やっと敬語じゃなくなった」
ホッと胸を撫で下ろした。その瞬間、彼女の呟きが雫となって滴り落ちた。
ああ、そうか。なんて鈍感な自分。振り向いたのはわたしの方なんだ。それは彼女を目上の人のごとく扱っていた周囲の視線とわたしの視線。胸中に一つの想いを見い出したとき、すでに彼女はわたしの目の前に立っていた。
「ごめんね」
彼女は十七歳という同い年の笑顔でわたしを見つめていた。
なぜだろう? 急に涙がぽろぽろと零れ落ちた。
止めどなく溢れる熱い涙。わたしは彼女の胸にしがみ付いて号泣した。
碧春。それはどこまでも澄んだ青い空。
(了)
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