竜人族の末っ子皇女の珍☆道☆中

秋月一花

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1章:旅人として

困っている人を見かけたら? ☆8☆

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「よく盗賊や山賊に襲われなかったな?」
「こんな辺鄙へんぴな村まで、わざわざこないよ」
「わからんぞ。人は欲の塊じゃからのぅ」

 シュエは口元を隠し、目だけで笑い顔を作る。しかし、その目の鋭さに男性はごくりと唾を飲んだ。

「まるで、自分たちは人間じゃないような言葉ねぇ」

 女性が目を丸くしながら、シュエとリーズを見る。彼女はなにもいわずに息を吐く。それから周りを見渡して「食べ物はあるか?」と男性たちに問いかける。

「え、ああ、うん。あるけど……」
「どんなものがあるんじゃ?」

 男性はシュエに今ある食材を魅せ、彼女はその中から米を見て、「もらっていいかの?」と彼を見上げた。

「えっと、なにをするつもりなのかな?」
「そなたたち、食欲不振なのじゃろう? 食は人の基本じゃ。今はもう夜になるが、作り方を教えるから朝に食べるがよい」
「えっと?」
「必要なのは米と水のみ。熱したフライパンに米六十グラムを入れ、薄黄色まで乾いりしてから水を入れ、お粥にして食べると良いのじゃ。朝にな。早速明日から試してみよ」

 シュエは作り方を説明しながらフライパンを熱し、米を入れて乾いりを始めた。男性は彼女とフライパンを交互に見る。

 どんどんと薄黄色に染まっていく米を見て、困惑しているようだ。

「朝限定のお粥なのかい?」
「限定というか、朝食べると効果が強いというか。食欲回復の効果があるからの。朝がお勧めなんじゃ」
「へぇ、そうなんだ。米を炒める発想はなかったな」

 感心したように男性に、シュエは自慢げに胸を張る。

「食は人の基本じゃからの。それに、食材にはいろいろな効果がある。調べれば調べるほど、新しい発見があるんじゃよ」

 翠色の目をキラキラと輝かせて、炒めている米を見つめるシュエ。

 こんなもんかの、とつぶやいてから水を入れ、米を煮込み始めた。このままお粥にするまで煮込むので、他になにを作ろうかと食材を眺める。

 そのあいだにリーズは女性と会話をしているようで、話し声が聞こえる。が、どんな内容かまでは聞こえなかった。

「それにしても、玄関に鍵がかからないとなると、不便では?」
「子どもの頃からそうだったから、鍵をかけるっていう発想はなかったよ。……でも、芻狗が見つかって怖いな、って思ったよ」
「――悪鬼あっき……いや、化け物も怖いが、人の心も怖いもんじゃよ」
「お嬢ちゃん、きみはいったい……」

 何歳なんだい? と問われ、シュエは目を吊り上げる。

「女性に質問することではなかろ!」

 プンプンと怒るシュエに、男性は両手を合わせて「ごめん」と素直に謝った。それを聞き、うむ、と小さく首を縦に動かしてからピーマンを取り出した。

「肉はあるか?」
「あるよ。どのくらいが良いかな?」
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