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1章:旅人として
困っている人を見かけたら? ☆10☆
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「本来は朝に食べるものじゃからな。食欲不振が治るまでは続けるんじゃぞ!」
「ふふ、そうね。これなら食べられそうだわ」
そういって今度は箸に持ち替え、ピーマンと豚肉の炒め物を口に運ぶ。
「これも美味しいわ。ありがとう、久しぶりに食事が美味しく感じて嬉しいわ」
「――悪夢を見続けていたのじゃろう?」
すっと目を細めてシュエが尋ねる。女性は箸をおき、こくりと小さくうなずいた。
「まぁ、今は食べられるだけ食べるがよい。食事をせんとい心身ともに弱るだけじゃからな」
「……そうね、そう、よね」
もう一度水を飲んでから、女性は食事を再開する。
シュエたちも一緒に、わいわいと会話を楽しみながら食事を摂った。
「あ、これ美味しいですね」
「じゃろう? わらわ好みの味付けじゃがな」
「ちょっと薄いような気も……?」
いつもよりも少し薄めにしている。そのことに気付いたリーズに内心さすがじゃな、とシュエはつぶやく。
「まともに食事を摂ってないのじゃろう? そなたら。そんな人たちに味が濃いものは塩辛くて食えんと思うての」
「俺たちの舌のことを考えてくれたのか」
びっくりしたように男性が目を丸くする。
「シュエは食のことになると、敏感なんですよ」
リーズが微笑みながら口にすると、シュエは首を傾げた。
どうやら思い当たる節はないらしい。それも彼女らしい、とリーズはもぐもぐと咀嚼しながら考えた。
食事を終えて食器を下げる。先に皿洗いをしてから男性がお茶を用意してくれた。四人分の湯呑みをテーブルに置いて、椅子に座る面々をそれぞれ見てから口を開く。
「あの、ありがとうございました」
「なに、わらわが勝手にやったことじゃ、美味しく食べてもらったのなら、それでよい」
「うん、でも母さんが本当に美味しそうに食べていたから。最近、そんな顔を滅多に見られなかったし」
「そうなのよね。悪夢を見て、寝るのなんてごめんだと思っていたのに、なにもする気が起きなくて結局ベッドに横になってしまっていたの」
ぽつぽつと語る男性とその母親。その言葉を受けて、リーズが芻狗を取り出して尋ねる。
「この芻狗に見覚えは?」
「父さんの命日に、死者を弔う祭りがあったから、そのときのだと思う。でも、俺も母さんも芻狗を持ち帰ったりしていないよ」
「となれば、誰かがそなたの母君を呪いたかった、ということになるのぅ」
お茶を一口飲んで、ちらりとベッドへ視線を向けるシュエ。
「しかもお祭りなら、高確率で家は誰もいないでしょうしね」
「毎年、父さんの命日から母さんが寝込んでいたのって……」
「芻狗を置かれていた可能性が高いかと。ところで、……父君はどうやって亡くなったのでしょう?」
「ふふ、そうね。これなら食べられそうだわ」
そういって今度は箸に持ち替え、ピーマンと豚肉の炒め物を口に運ぶ。
「これも美味しいわ。ありがとう、久しぶりに食事が美味しく感じて嬉しいわ」
「――悪夢を見続けていたのじゃろう?」
すっと目を細めてシュエが尋ねる。女性は箸をおき、こくりと小さくうなずいた。
「まぁ、今は食べられるだけ食べるがよい。食事をせんとい心身ともに弱るだけじゃからな」
「……そうね、そう、よね」
もう一度水を飲んでから、女性は食事を再開する。
シュエたちも一緒に、わいわいと会話を楽しみながら食事を摂った。
「あ、これ美味しいですね」
「じゃろう? わらわ好みの味付けじゃがな」
「ちょっと薄いような気も……?」
いつもよりも少し薄めにしている。そのことに気付いたリーズに内心さすがじゃな、とシュエはつぶやく。
「まともに食事を摂ってないのじゃろう? そなたら。そんな人たちに味が濃いものは塩辛くて食えんと思うての」
「俺たちの舌のことを考えてくれたのか」
びっくりしたように男性が目を丸くする。
「シュエは食のことになると、敏感なんですよ」
リーズが微笑みながら口にすると、シュエは首を傾げた。
どうやら思い当たる節はないらしい。それも彼女らしい、とリーズはもぐもぐと咀嚼しながら考えた。
食事を終えて食器を下げる。先に皿洗いをしてから男性がお茶を用意してくれた。四人分の湯呑みをテーブルに置いて、椅子に座る面々をそれぞれ見てから口を開く。
「あの、ありがとうございました」
「なに、わらわが勝手にやったことじゃ、美味しく食べてもらったのなら、それでよい」
「うん、でも母さんが本当に美味しそうに食べていたから。最近、そんな顔を滅多に見られなかったし」
「そうなのよね。悪夢を見て、寝るのなんてごめんだと思っていたのに、なにもする気が起きなくて結局ベッドに横になってしまっていたの」
ぽつぽつと語る男性とその母親。その言葉を受けて、リーズが芻狗を取り出して尋ねる。
「この芻狗に見覚えは?」
「父さんの命日に、死者を弔う祭りがあったから、そのときのだと思う。でも、俺も母さんも芻狗を持ち帰ったりしていないよ」
「となれば、誰かがそなたの母君を呪いたかった、ということになるのぅ」
お茶を一口飲んで、ちらりとベッドへ視線を向けるシュエ。
「しかもお祭りなら、高確率で家は誰もいないでしょうしね」
「毎年、父さんの命日から母さんが寝込んでいたのって……」
「芻狗を置かれていた可能性が高いかと。ところで、……父君はどうやって亡くなったのでしょう?」
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