38 / 131
1章:旅人として
困っている人を見かけたら? ☆28☆
しおりを挟む
その様子にリーズも安堵したのか、青年たちに頭を下げる。
「大切に食べますね」
「こんなことくらいしかできなくて、すみません」
「いいや。わらわが勝手に首を突っ込んでしまったからのぅ。お主ら、元気で暮らすんじゃよ」
シュエが軽く手を振りながら言葉をかけると、青年たちはこくりとうなずく。彼らは手を振り返してくれた。
きゅっとリーズの服を掴むと、彼はもう一度頭を下げてから、なにもいわずに村を出ていく。
おそらく、ルーランがうまく立ち回ってくれるだろう。
「……やはり、この世界の者からすると、わらわたちは悪鬼と変わらぬ存在なのかのぅ」
自分たちの姿は人間と変わらない。
しかし、持っている能力は人間よりも強いものだ。
悪鬼を倒す力、人間には視えないものが視える力、そして――縛られた魂を解放させる力。
竜人族であるシュエたちには、『当たり前』の力だ。
「人は自分にない能力を持つ者を、恐れますからね」
「リーズが旅立ったときも、そうだったのか?」
「ええ、まぁ。それに、私が旅に出たときは姫さまよりも小さいときでしたから、余計異端に見えたんでしょうね。もちろん、親切な人もいましたが」
当時を思い出しているのか、懐かしそうに目を細めて微笑んでいる姿を見て、シュエは彼の旅はどんなものだったのだろうと考えた。
「それでも、その力を見ても受け入れてくれる人間もいましたよ」
「ほほう?」
「竜人族にいろんな人がいるように、人間にもいろんな人がいるということですよ」
リーズの言葉を聞いて、シュエは「そうじゃの」とつぶやいてから、「歩く」と地面に降ろしてもらう。
あの青年たちはシュエの力を見ていない。
だからこそ、こうして餞別をくれたのだろう。
――でも、もしもシュエの力を見ても、同じように接してくれたのかなラ、それはとても嬉しいことだと彼女は思う。
「とりあえず、新鮮なうちにしまっとこうかの」
「そうですね」
誰もいないことを確認してから、リーズが野菜たちを収納する。
「この世界の人は、わらわたちが仕える収納も使えないじゃっけ?」
「そうですよ。この世界の人たちは、悪魔に抗う術もあまりないようですね」
ふむ、と納得したように顎を引き、シュエは天を見上げる。
まだ明るく、シュエたちを照らす太陽を見つめて、まぶしさに目を細めた。
「――まぁ、困っている人を見かけたら、わらわはまた助けるけどな」
「いやな思いをしても?」
「わらわたちにとって、人間との交流はこの旅くらいの繋がりしかなかろう。それに、困っている人を見捨てるのは、心情的にもいやじゃ!」
きっぱりと言い切って、シュエは笑顔を視える。
そんな彼女の頭を、リーズが労わるように優しく撫でた。
「大切に食べますね」
「こんなことくらいしかできなくて、すみません」
「いいや。わらわが勝手に首を突っ込んでしまったからのぅ。お主ら、元気で暮らすんじゃよ」
シュエが軽く手を振りながら言葉をかけると、青年たちはこくりとうなずく。彼らは手を振り返してくれた。
きゅっとリーズの服を掴むと、彼はもう一度頭を下げてから、なにもいわずに村を出ていく。
おそらく、ルーランがうまく立ち回ってくれるだろう。
「……やはり、この世界の者からすると、わらわたちは悪鬼と変わらぬ存在なのかのぅ」
自分たちの姿は人間と変わらない。
しかし、持っている能力は人間よりも強いものだ。
悪鬼を倒す力、人間には視えないものが視える力、そして――縛られた魂を解放させる力。
竜人族であるシュエたちには、『当たり前』の力だ。
「人は自分にない能力を持つ者を、恐れますからね」
「リーズが旅立ったときも、そうだったのか?」
「ええ、まぁ。それに、私が旅に出たときは姫さまよりも小さいときでしたから、余計異端に見えたんでしょうね。もちろん、親切な人もいましたが」
当時を思い出しているのか、懐かしそうに目を細めて微笑んでいる姿を見て、シュエは彼の旅はどんなものだったのだろうと考えた。
「それでも、その力を見ても受け入れてくれる人間もいましたよ」
「ほほう?」
「竜人族にいろんな人がいるように、人間にもいろんな人がいるということですよ」
リーズの言葉を聞いて、シュエは「そうじゃの」とつぶやいてから、「歩く」と地面に降ろしてもらう。
あの青年たちはシュエの力を見ていない。
だからこそ、こうして餞別をくれたのだろう。
――でも、もしもシュエの力を見ても、同じように接してくれたのかなラ、それはとても嬉しいことだと彼女は思う。
「とりあえず、新鮮なうちにしまっとこうかの」
「そうですね」
誰もいないことを確認してから、リーズが野菜たちを収納する。
「この世界の人は、わらわたちが仕える収納も使えないじゃっけ?」
「そうですよ。この世界の人たちは、悪魔に抗う術もあまりないようですね」
ふむ、と納得したように顎を引き、シュエは天を見上げる。
まだ明るく、シュエたちを照らす太陽を見つめて、まぶしさに目を細めた。
「――まぁ、困っている人を見かけたら、わらわはまた助けるけどな」
「いやな思いをしても?」
「わらわたちにとって、人間との交流はこの旅くらいの繋がりしかなかろう。それに、困っている人を見捨てるのは、心情的にもいやじゃ!」
きっぱりと言い切って、シュエは笑顔を視える。
そんな彼女の頭を、リーズが労わるように優しく撫でた。
12
あなたにおすすめの小説
1人生活なので自由な生き方を謳歌する
さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。
出来損ないと家族から追い出された。
唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。
これからはひとりで生きていかなくては。
そんな少女も実は、、、
1人の方が気楽に出来るしラッキー
これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
私ですか?
庭にハニワ
ファンタジー
うわ。
本当にやらかしたよ、あのボンクラ公子。
長年積み上げた婚約者の絆、なんてモノはひとっかけらもなかったようだ。
良く知らんけど。
この婚約、破棄するってコトは……貴族階級は騒ぎになるな。
それによって迷惑被るのは私なんだが。
あ、申し遅れました。
私、今婚約破棄された令嬢の影武者です。
特技は有効利用しよう。
庭にハニワ
ファンタジー
血の繋がらない義妹が、ボンクラ息子どもとはしゃいでる。
…………。
どうしてくれよう……。
婚約破棄、になるのかイマイチ自信が無いという事実。
この作者に色恋沙汰の話は、どーにもムリっポい。
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
金の羊亭へようこそ! 〝元〟聖女様の宿屋経営物語
紗々置 遼嘉
ファンタジー
アルシャインは真面目な聖女だった。
しかし、神聖力が枯渇して〝偽聖女〟と罵られて国を追い出された。
郊外に館を貰ったアルシャインは、護衛騎士を付けられた。
そして、そこが酒場兼宿屋だと分かると、復活させようと決意した。
そこには戦争孤児もいて、アルシャインはその子達を養うと決める。
アルシャインの食事処兼、宿屋経営の夢がどんどん形になっていく。
そして、孤児達の成長と日常、たまに恋愛がある物語である。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる