竜人族の末っ子皇女の珍☆道☆中

秋月一花

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1章:旅人として

新たな国 ☆3☆

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 シュエよりも背が低いので、何歳なのだろうと子どもの背中を追いかけながら考える。

 おそらく五、六歳かと予想し、その年齢で親の仕事を手伝っているのかと感心しながら背中を見つめた。

 子どもはどんどんと人通りの少ない場所へ歩いていく。

 朝市の通りは人が多く賑わっていたが、子どもが案内している道は寂れていた。

「ここだよ」
「ほぅ、確かに広そうじゃな」

 子どもが立ち止まり、入り口前でシュエとリーズに顔を向ける。

 シュエは宿屋の外観をじっくりと眺める。二階建てのようだ。

「みーんな港近くの宿屋を探していてさ、うちには滅多にこないんだ。だからさ、ね? お願い、うちにして!」

 パンッと両手を合わせて頼み込む子どもを前にして、声をかけようと口を開いた瞬間――

「あんたっ、また無理矢理連れてきたね!?」

 耳がキーンとなるくらいの怒号が、子どもの後ろから聞こえた。

「だって! お客さん連れてこないと、うちなくなっちゃうよ!」
「子どもがそんな心配しなくていいの! まったく、ごめんなさいね、旅の方々。うちの子が無理に連れてきたんでしょう?」

 どうやら子どもの母親のようだ。ショートカットの髪が良く似合っている。灰色のエプロンを身につけて、子どもの頭に手を置いてぐいっと頭を下げさせ、自身も頭を下げる。

「まぁまぁ、構わぬよ。宿屋を探していたのは本当じゃしの」
「ええ、部屋は空いていますか?」
「そりゃあ空いていますが……本当にうちに泊まってくれるのですか?」

 不安そうにリーズを見る女性に、「やった! お客さん!」と両手を上げて笑顔になる子ども。

 女性は子どもの頭から手を離し、「こらっ」と叱る。

「元気な子よの」
「ええ、元気すぎて……この前も強引にお客さんを連れてこようとしたんですよ」

 頬に手を添えてゆっくりと息を吐く。

 子どもは「えへへ」と白い歯を見せ、後頭部に手を回した。

「だって、うち『あかじ』なんでしょ?」
「お客さまの前で変なこと言わないの!」

 慌てたように子どもの口を押さえる母親に、シュエとリーズは顔を見合わせる。

 確かに寂れた印象を受ける宿屋だ。儲かってはいないのだろう。

「とりあえず、三日分でよいかのぅ? この街を見て回りたいし、情報収集をしたい」
「こちらのお金、使えますか?」

 リーズがふところから金貨をじゃらりと取り出す。

 女性は金貨とリーズを交互に見て、「も、もちろんです!」と大きくうなずいた。

 宿屋に入り、空いている部屋に案内された。シュエは辺りを見回して微笑む。

「ほう、なかなか風情があってよいではないか」

 広さはそこそこ。シングルベッドが二つ。その真ん中にチェストがあり、上には花瓶が置かれ生花が一輪飾られている。

 掃除が行き届いているようで、埃の一つ見当たらない。
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