竜人族の末っ子皇女の珍☆道☆中

秋月一花

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1章:旅人として

新たな国 ☆10☆

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「ふっふっふっ」

 ピッと冒険者カードを見せると、子どもは「わぁ!」と大きな歓声を上げる。

「お客さん、こんなにちっちゃいのに、十五歳いじょうだったんだ!」
「人間の成長が早いだけじゃよ」

 ぼそりとつぶやいた声は、誰にも聞こえなかったようだ。

 リーズが「シュエ」と言葉を落とす。

 その声色があまりにもなにも感じさせなかったので、彼女は自分の口元を扇子で隠した。

「とりあえず、ここでの用事は済んだからの。あとは、そなたのお勧めの場所でも教えてもらおうかのぅ?」
「任せて!」

 冒険者カードをじっと見つめていた子どもに声をかけると、ぱぁっと明るい表情を浮かべて胸元をドンッと叩く。

 強く叩きすぎたのかけほこほと咳き込んだのを見て、リーズは苦笑を浮かべ、シュエは子どもの背中をさすった。

「では、邪魔をしたな。わらわたちはこれで失礼する。またくるかもしれんから、そのときは同じ『冒険者同士』としてよろしく頼む」

 にっと白い歯を見せるシュエに、他の冒険者たちはアぽかんと口を開けていたが、すぐに気を取り直して「あ、ああ……」と返事をする冒険者もいたので、満足したように冒険者ギルドを出る。

「――えっと、わたしが好きなところを案内していいの?」
「うむ」
「はい。お手数ですが、お願いできますか?」
「うんっ! ついてきて!」

 子どもは元気よくうなずいて、シュエの手を取って駆け出す。

「こっちだよ!」

 シュエは子どもの姿を見て小さく微笑む。思えば、自分よりも幼い子と接したことがない。

 ――竜人族は子どもを産む時間が長い。人間のように十月十日というわけではないので、滅多なことで子どもを見る機会がなかったのだ。

 人間の歳ではだいたいシュエよりも年下になるが、姿が違う。

 子どもの時間はどの種族でも短いのだろう。『大人』の姿であることが長いのは同じだな、と手を引かれながら考えた。

 この子はどんな大人になるのだろうか。大人になったとき、シュエたちのことを覚えているのだろうか。

 楽しそうに街を案内する子どもを眺めながら、シュエは笑顔を浮かべた。

「――ところで、どこに行くんじゃ?」

「私のとっておきの場所を、教えてあげる!」

 くるっと振り向く子どもの瞳は、まるで宝石のように輝いている。

 どんどんと高い場所へ足を進める。上り坂を歩いていると、ぜぃぜぃと肩で息をし始めた子どもにリーズが「大丈夫ですか?」と声をかけた。

「お客さんたち、なんでそんなに涼しい顔でこの坂のぼれるの!?」
「体力の違いよ」
「えええー、どんだけ体力あるのさー!」

 シュエの手を引っ張っていた子どもだったが、上り坂で段々と足が遅くなり、彼女が手を引いている。

「最後まで自分で歩きますか? それとも……」
「歩くもん!」

 意地になっているのか、頬を膨らませてがんばって歩く姿に、シュエとリーズは顔を見合わせて小さくうなずいた。
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