竜人族の末っ子皇女の珍☆道☆中

秋月一花

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1章:旅人として

新たな国 ☆16☆

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「さっきぶりじゃな」
「どうしたんだ、いったい?」

 シュエが説明する前に、冒険者たちが矢継ぎ早に言葉を紡いでいく。

 それらを聞き終えたギルド長は、気絶している大人に対してちらりとシュエとリーズを見てから、

「うちで預かるべきか?」

 と、問いかけた。

「衛兵はいないのか?」
「あんまり仲が良くないんだ」
「まぁ、わらわはどちらでも構わんが。そなたはどうじゃ?」

 シュエは振り返り、少年に意見を求める。

 いきなりのことに少年は「えっ、えっと……」と慌てていたが、ギルド内にいる全員が少年に注目していることに気付き、ゆっくりと深呼吸をしてから顔を上げ、真剣な表情を浮かべて言葉を発した。

「罪を認め、その罪をきちんと背負って償ってほしい、と思います」

 体格の良い冒険者たちに囲まれながらも、臆さずに自分の意見を口にする少年に、シュエはふっと表情を綻ばせる。

「よく言った」

 柔らかい笑みを浮かべながら、少年にだけ聞こえるように小さな声で伝えると、彼はこくりと首を縦に動かした。

「ところで、なぜ衛兵と仲良くないんじゃ?」
「ちょっとした行き違いがあってな。衛兵の手柄になるはずのことを、うちらが奪っちまったんだ」
「手柄を奪う?」

 どんな手柄を奪ったのかをたずねると、街に魔物が現れたとき、衛兵よりも冒険者が活躍したと聞き、シュエは怪訝けげんそうな表情を浮かべる。

「魔物に襲われている一般人を助けるのは、衛兵だけの仕事ではなかろ?」
「お偉いさんはそう思わなかったってこった」

 両肩を上げるギルド長を見て、「面倒な世の中じゃなぁ」と同情するように言葉をこぼすと、彼に近付いて慰めるように背中をぽんぽんと叩いた。

「ところで、さっき『水色の髪の子どもを探している』ってヤツがここに来たんだが、もしかしてお前かぁ?」
「……たぶん、そうだと思う」
「そうか。きっと近くを探しているから、すぐに会えると思うぜ」
「うん、ありがとう」

 ぺこり、と頭を下げる少年に、ギルド長は微笑ましいものを見るように目元を細める。

「そやつの処遇はそなたたちに任せよう。わらわたちはただ捕まえただけじゃからのぅ」
「そうですね。郷に入っては郷に従えと言いますし、ここは彼らにお任せするのが得策かと」

 シュエの言葉に、リーズも賛成した。

「では、そういうことで。あとは頼んだぞ!」

 にこやかに手を振ってシュエとリーズはその場から去る。

 少年はどうしようかと悩んで、シュエたちを追いかけて彼女の腕をぱしっと掴む。

「どうした?」
「助けてくれて、ありがとう!」

 真っ直ぐな瞳で伝えられた言葉に、シュエは数回目をまたたかせて、緩やかに首を横に振った。
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