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1章:旅人として
海辺にて ☆4☆
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「申し訳ありませんが、他を当たってください」
女性たちを見て冷たい視線を向ける。リーズの腕に抱きついていた女性が顔を青ざめて離れた。その隙にシュエを抱き上げ、足早に去っていく。
「なんなんのよー! もー!」
女性の大声が聞こえたが、無視をして砂浜を歩くリーズを見て、もしかしてモテるのも大変なのか? とシュエは目元を細めて考えた。
しばらくそのまま砂浜を歩き、人がまばらになったところで足を止め、そのまま海を眺めることを数分。
波の音が、ただ響く。
「リーズ?」
「いえ、どの世界も海は広いものだな、と思いまして」
懐かしむように目を細めて水平線を眺めるリーズに、シュエも水平線に視線を移す。
「お主の旅は、どんなものじゃった?」
「以前教えたような気がするのですが?」
「簡単にのぅ。詳しくは教えてもらっておらん」
リーズは少し考え込んだ。正直に言えば、成人前の旅のことはもう記憶が薄れるくらいの昔の話だ。なので、詳しく教えてほしいと言われても悩んでしまう。
「なにせかなり昔のことですから……」
「どんな世界だったんじゃ?」
「そうですね……我々の世界と同じくらいの文明でした。人々も優しい人たちが多かった気がします」
竜人族の見た目は人間と変わらない。まだ幼い姿を旅をしていると、親切にいろいろ教えてくれる人たちもいた。そのことを思い出しながら、「なにがあったかな……」と悩んでいる姿を見て、シュエは首を傾げる。
「印象的なことはなかったのか?」
「あるにはありましたが、姫さまが生まれたあとのほうが印象的でしたから……」
シュエが目を丸くした。自分が生まれたときのことは阿保得ていない。いったい自分はどんな生まれだったのだろうか。
「元気な女の子が生まれたと、宮中騒ぎになったものです。姫さまの部屋、桃色が多かったでしょう? あれは陛下が自ら用意したからなんですよ」
「え、そうじゃったのか!?」
翠竜国の自身の部屋を思い浮かべる。確かに桃色の調度品がいろいろあった。
物心ついたときからそうだったので、なんの違和感もなく使っていたが、あれらすべてを父が選んでいたのだろうかと考えて、思わず噴き出す。
「想像するとなかなか面白いのぅ。生まれる前から性別がわかっていたのか?」
「ええ、皇子たちも泣いて喜んでいましたね」
兄三人が泣いていたと聞いて、シュエは目を瞬かせた。
「泣いて……?」
「それだけ『妹』がほしかったのでしょうね」
「喜んでいいのか、嘆くべきか……」
溺愛してくる兄たちの顔を思い浮かべ、シュエはやれやれとばかりに息を吐く。
「姫さまが全員から望まれた存在ということですよ」
「まぁ、そういうことにしておこう」
家族に愛されていることは、シュエが一番よく知っていることだから。
女性たちを見て冷たい視線を向ける。リーズの腕に抱きついていた女性が顔を青ざめて離れた。その隙にシュエを抱き上げ、足早に去っていく。
「なんなんのよー! もー!」
女性の大声が聞こえたが、無視をして砂浜を歩くリーズを見て、もしかしてモテるのも大変なのか? とシュエは目元を細めて考えた。
しばらくそのまま砂浜を歩き、人がまばらになったところで足を止め、そのまま海を眺めることを数分。
波の音が、ただ響く。
「リーズ?」
「いえ、どの世界も海は広いものだな、と思いまして」
懐かしむように目を細めて水平線を眺めるリーズに、シュエも水平線に視線を移す。
「お主の旅は、どんなものじゃった?」
「以前教えたような気がするのですが?」
「簡単にのぅ。詳しくは教えてもらっておらん」
リーズは少し考え込んだ。正直に言えば、成人前の旅のことはもう記憶が薄れるくらいの昔の話だ。なので、詳しく教えてほしいと言われても悩んでしまう。
「なにせかなり昔のことですから……」
「どんな世界だったんじゃ?」
「そうですね……我々の世界と同じくらいの文明でした。人々も優しい人たちが多かった気がします」
竜人族の見た目は人間と変わらない。まだ幼い姿を旅をしていると、親切にいろいろ教えてくれる人たちもいた。そのことを思い出しながら、「なにがあったかな……」と悩んでいる姿を見て、シュエは首を傾げる。
「印象的なことはなかったのか?」
「あるにはありましたが、姫さまが生まれたあとのほうが印象的でしたから……」
シュエが目を丸くした。自分が生まれたときのことは阿保得ていない。いったい自分はどんな生まれだったのだろうか。
「元気な女の子が生まれたと、宮中騒ぎになったものです。姫さまの部屋、桃色が多かったでしょう? あれは陛下が自ら用意したからなんですよ」
「え、そうじゃったのか!?」
翠竜国の自身の部屋を思い浮かべる。確かに桃色の調度品がいろいろあった。
物心ついたときからそうだったので、なんの違和感もなく使っていたが、あれらすべてを父が選んでいたのだろうかと考えて、思わず噴き出す。
「想像するとなかなか面白いのぅ。生まれる前から性別がわかっていたのか?」
「ええ、皇子たちも泣いて喜んでいましたね」
兄三人が泣いていたと聞いて、シュエは目を瞬かせた。
「泣いて……?」
「それだけ『妹』がほしかったのでしょうね」
「喜んでいいのか、嘆くべきか……」
溺愛してくる兄たちの顔を思い浮かべ、シュエはやれやれとばかりに息を吐く。
「姫さまが全員から望まれた存在ということですよ」
「まぁ、そういうことにしておこう」
家族に愛されていることは、シュエが一番よく知っていることだから。
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