竜人族の末っ子皇女の珍☆道☆中

秋月一花

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2章:冒険者として

初仕事! ☆9☆

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 リーズが改めて、リーダーと呼ばれていた襲撃者を縛る。逃げられないように手を背中に回して手首を縛り、余った縄を握ったまま、歩くように促す。

 縄で繋がれたまま歩き出す襲撃者のあとをついていくように、シュエたちも続く。

「あ、その前に」

 くるりとシュエが踵を返して馬車に近付いた。馬が彼女に気付き、不思議そうに見つめてくる。

「ちぃと待っていておくれ。すぐに戻ってくるからの」

 シュエが手を伸ばして、馬の顔に触れる。

 そして、馬から離れて地面に触れ、目を閉じて竜人族の力を使う。この辺り一帯を魔物や悪鬼あっきから守る結界だ。

「わらわよりも強い者なら破れるじゃろうが……リーズ以外にいるかのぅ? この世界で」

 この世界の魔物や悪鬼の強さはどのくらいだろうか。今まで強敵というものは遭わなかった。おそらく、一番平和な世界を紹介してくれたのだろう。

 実戦経験のないシュエでも倒せるくらいの世界だから。

 シュエはそう考えて、やはり過保護では? と目を細める。

 馬の安全を考えて戻ったが、リーズたちを待たせているだろうと急いで彼らのもとに駆け寄った。

「うまくできましたか?」
「うむ。大丈夫じゃと思う!」

 リーズに問われてにっと白い歯を見せる。リーズは表情をやわらげると、「ではいきましょうか」と男性の背中を押す。

 シュエたち四人と、捕まえた襲撃者の合計五人で森の中を歩いていく。

 鬱蒼うっそうとした森の中は暗く、曇っていることで余計に鬱々うつうつとした雰囲気だ。

「……なんか、怖いものが出てきそうな森だね」

 草を踏む音にもびくっと少年が震えあがる。歩いているうちに、どんどんと白い霧が出てきた。少年が「うわぁ!」と大きな声を出す。

「どうした?」
「あ、あそこになんか大きい怖いものが……!」

 指先を震わせながら虚空を指す少年に、シュエは首を傾げる。ぶるぶると震えているので恐れているのはわかるが、彼の指の先にはなにもいないのだ。

「――なるほど、幻覚ですか」

 リーズがぽつりとつぶやく。

 護衛は少年の前に立ち、存在しない化け物を探しているようだ。

「この霧に、人々を惑わす効果があるようです」
「暗殺者ギルドにいかせぬために?」
「そう。簡単に暗殺者ギルドが見つかったら、おかしいでしょう?」

 ――あっさり見つかる暗殺者ギルドを想像して、シュエはぷっと噴き出す。

 すぐにこほんと咳払いを一つしてから、少年と護衛の様子を見る。ふと、護衛の表情が強張っていることに気付き、彼もなにかを見せられているようだと考え、扇子を広げた。
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