111 / 131
2章:冒険者として
暗殺者ギルド ☆1☆
しおりを挟む
室内にいる暗殺者たちは、とても戸惑っているようで誰も動かない。
困惑するまま、縋るようにボスに視線を向ける。襲撃者のリーダーも捕まっているので、余計に混乱しているようだ。
襲いかかってこないところをみると、組織としての連携がまだあまりできていないのだろうと結論付け、シュエは肩をすくめる。
「……その前に、ここには台所があるのか?」
「……え?」
「腹が減ったから、なにか作りたい。特別にそなたたちにも食べさせてやろう」
白い歯を見せて笑うシュエに、リーズが目をパチパチと瞬かせて呆れたような視線を彼女に向けた。
「見たところ、そなたたちまともに食えておらんじゃろ?」
この場にいる暗殺ギルドの人たちの身体は、細すぎた。筋肉のある細さではなく、まるで骨と皮だけの人もいる。
「ま、そなたたちには重いかもしれんがのぅ」
くすっと笑ってシュエは「台所はどこじゃ?」と家の中を歩き出す。彼女のマイペースさに、暗殺ギルドのボスは同情のまなざしをリーズに注いだ。
「……ここで大人しくしていれば、命は取りません。あなたたち全員です」
リーズが淡々とした口調でそう宣言してから、少年の護衛に近付いてぽんと軽く肩を叩いて、シュエに近付いていく。
「なにを作るつもりですか?」
「からあげじゃ。身体を動かしたからの、たくさん食べるのじゃ」
ホクホクとした顔で話すシュエに、リーズは呆然としている暗殺者ギルドの人たちを眺めて、ゆっくり息を吐いた。
「勝手に台所使っていいんですか?」
「構わんじゃろ。……それに、ちぃと気になることもあるしのぅ」
台所に? とリーズが目を丸くすると、シュエはくふくふと笑いながら、目的の台所を見つけた。ずらりと並んだスパイスたちを視界に入れ、彼女はぱぁっ表情を明るくする。
「いろいろなスパイス! 暗殺者ギルドやめてスパイスを使った料理でも作ればいいのに」
「……待ってください、このスパイスの中に、毒があるようなのですが……」
「うむ。毒の耐性をつけようとしたんじゃろうな」
図鑑などでよく見るものから、シュエもわからないものまで様々な毒も並んでいた。リーズはどんな毒なのかを理解しているのか、うわぁ、と小さく声を上げた。
「どんなものがあるかのぅ」
「……蠱毒もありそうですねぇ。なにも台所に置かなくても……」
「あの壺じゃろ? よくまぁ集めたもんじゃ」
ひそひそと話しているシュエとリーズ。ちらっと後ろを振り返ってから、その場にいる全員に聞こえるように口を開く。
困惑するまま、縋るようにボスに視線を向ける。襲撃者のリーダーも捕まっているので、余計に混乱しているようだ。
襲いかかってこないところをみると、組織としての連携がまだあまりできていないのだろうと結論付け、シュエは肩をすくめる。
「……その前に、ここには台所があるのか?」
「……え?」
「腹が減ったから、なにか作りたい。特別にそなたたちにも食べさせてやろう」
白い歯を見せて笑うシュエに、リーズが目をパチパチと瞬かせて呆れたような視線を彼女に向けた。
「見たところ、そなたたちまともに食えておらんじゃろ?」
この場にいる暗殺ギルドの人たちの身体は、細すぎた。筋肉のある細さではなく、まるで骨と皮だけの人もいる。
「ま、そなたたちには重いかもしれんがのぅ」
くすっと笑ってシュエは「台所はどこじゃ?」と家の中を歩き出す。彼女のマイペースさに、暗殺ギルドのボスは同情のまなざしをリーズに注いだ。
「……ここで大人しくしていれば、命は取りません。あなたたち全員です」
リーズが淡々とした口調でそう宣言してから、少年の護衛に近付いてぽんと軽く肩を叩いて、シュエに近付いていく。
「なにを作るつもりですか?」
「からあげじゃ。身体を動かしたからの、たくさん食べるのじゃ」
ホクホクとした顔で話すシュエに、リーズは呆然としている暗殺者ギルドの人たちを眺めて、ゆっくり息を吐いた。
「勝手に台所使っていいんですか?」
「構わんじゃろ。……それに、ちぃと気になることもあるしのぅ」
台所に? とリーズが目を丸くすると、シュエはくふくふと笑いながら、目的の台所を見つけた。ずらりと並んだスパイスたちを視界に入れ、彼女はぱぁっ表情を明るくする。
「いろいろなスパイス! 暗殺者ギルドやめてスパイスを使った料理でも作ればいいのに」
「……待ってください、このスパイスの中に、毒があるようなのですが……」
「うむ。毒の耐性をつけようとしたんじゃろうな」
図鑑などでよく見るものから、シュエもわからないものまで様々な毒も並んでいた。リーズはどんな毒なのかを理解しているのか、うわぁ、と小さく声を上げた。
「どんなものがあるかのぅ」
「……蠱毒もありそうですねぇ。なにも台所に置かなくても……」
「あの壺じゃろ? よくまぁ集めたもんじゃ」
ひそひそと話しているシュエとリーズ。ちらっと後ろを振り返ってから、その場にいる全員に聞こえるように口を開く。
1
あなたにおすすめの小説
1人生活なので自由な生き方を謳歌する
さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。
出来損ないと家族から追い出された。
唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。
これからはひとりで生きていかなくては。
そんな少女も実は、、、
1人の方が気楽に出来るしラッキー
これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。
この子、貴方の子供です。私とは寝てない? いいえ、貴方と妹の子です。
サイコちゃん
恋愛
貧乏暮らしをしていたエルティアナは赤ん坊を連れて、オーガスト伯爵の屋敷を訪ねた。その赤ん坊をオーガストの子供だと言い張るが、彼は身に覚えがない。するとエルティアナはこの赤ん坊は妹メルティアナとオーガストの子供だと告げる。当時、妹は第一王子の婚約者であり、現在はこの国の王妃である。ようやく事態を理解したオーガストは動揺し、彼女を追い返そうとするが――
異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!
明衣令央
ファンタジー
糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。
一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。
だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。
そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。
この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。
2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。
心が折れた日に神の声を聞く
木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。
どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。
何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。
絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。
没ネタ供養、第二弾の短編です。
ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中
あ、まん。
ファンタジー
仕事一筋40年。
結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。
定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。
だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。
唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。
化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。
彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。
現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。
これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
私ですか?
庭にハニワ
ファンタジー
うわ。
本当にやらかしたよ、あのボンクラ公子。
長年積み上げた婚約者の絆、なんてモノはひとっかけらもなかったようだ。
良く知らんけど。
この婚約、破棄するってコトは……貴族階級は騒ぎになるな。
それによって迷惑被るのは私なんだが。
あ、申し遅れました。
私、今婚約破棄された令嬢の影武者です。
ありふれた聖女のざまぁ
雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。
異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが…
「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」
「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」
※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる