竜人族の末っ子皇女の珍☆道☆中

秋月一花

文字の大きさ
127 / 131
2章:冒険者として

封印された場所 ☆5☆

しおりを挟む
 シュエは突進しながらゴーレムの弱点がどこかを探す。とりあえず、先程のように関節を狙って翠竜すいりゅう剣で斬りつける。

 あっさりとゴーレムの腕が斬り落とされ、土にかえる。――と、思ったら、すぐにゴーレムの腕に戻っていった。

「ほほぅ、再生能力つきか!」
「さて、シュエ。どうします?」

 シュエは目を輝かせて、再生したゴーレムの腕を見て、興奮したように声を上げる。

 そんな彼女の様子に、リーズは苦笑を浮かべながら問いかけた。

「ルシアン! そなた魔術師ならばゴーレムのことに詳しいのではないか? 弱点があるならわらわたちに教えよ!」

 突然、シュエに問われたルシアンが顔を上げる。

 ルシアンはゴーレムの姿をじっくりと眺め、ゴーレムの起動方法を思い出す。額に文字が書かれていないことから、埋め込み式か口の中に紙が入っていると判断し、シュエに叫んだ。

「口の中に紙はないかっ?」
「ふむ、リーズ!」
「かしこまりました」

 リーズは剣を構えて、地面を蹴ってゴーレムに向かい、足を狙ってゴーレムの巨体を少しでも小さくした。

 シュエが勢いよく助走をし、鉱山の壁を蹴って大きく飛び跳ねゴーレムの口の中を確認する。

 なにか、紙のようなものが貼りつけられているのを視界に入れてから、着地した。

「あったぞ!」
「それなら、それを外せばゴーレムは動かないはずだ! 夜になったら暴れ出すから、今のうちに外したほうがいい!」
「今も暴れているが……?」
「夜になるとゴーレムはコントロール不能になるんだよ!」

 荒々しい声で、ルシアンがゴーレムのことをシュエに伝える。

 彼の声を聞きつけ、ゴーレムの身体がシュエではなくルシアンに向いた。

 リーズが斬った足も、すでに再生してしまい、ゴーレムはドシドシと地面を揺らしながらルシアン狙う。

 右腕を振り上げ、勢いよく振り下ろす。風を切るような音がして、ルシアンはばっと跳び下がった。

「ちなみにお主、こやつとの戦闘の相性は?」

 ピッと人差し指でゴーレムを指すシュエに、ルシアンは苦々しく眉間に皺を刻んで、口を開く。

「良いように見えるか?」
「まったく見えん」

 暗殺者ギルドのボスであるルシアン。彼の仕事は対人間だろうと考え、ゴーレムのような無機質な魔物相手では、分が悪いように思えた。

「ゴーレムに俺の魔術は通用しない。悪いが、戦力外だ」
「そのようじゃなぁ」

 残念そうに唇を尖らせるシュエに、リーズはアルフォンスたちの無事を確認してから、思考を巡らせる。

「エリオットの血を、壁に吸わせるのはどうでしょうか?」

 正当な血筋の血を壁に吸わせれば、ゴーレムの動きが止まるのではないか、と自身が思いついたことを話すリーズに、エリオットがアルフォンスの足にしがみついた。

「試してみようよ! おれの指を軽く切って、アルフォンス!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

大好きなおねえさまが死んだ

Ruhuna
ファンタジー
大好きなエステルおねえさまが死んでしまった まだ18歳という若さで

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

私ですか?

庭にハニワ
ファンタジー
うわ。 本当にやらかしたよ、あのボンクラ公子。 長年積み上げた婚約者の絆、なんてモノはひとっかけらもなかったようだ。 良く知らんけど。 この婚約、破棄するってコトは……貴族階級は騒ぎになるな。 それによって迷惑被るのは私なんだが。 あ、申し遅れました。 私、今婚約破棄された令嬢の影武者です。

特技は有効利用しよう。

庭にハニワ
ファンタジー
血の繋がらない義妹が、ボンクラ息子どもとはしゃいでる。 …………。 どうしてくれよう……。 婚約破棄、になるのかイマイチ自信が無いという事実。 この作者に色恋沙汰の話は、どーにもムリっポい。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

金の羊亭へようこそ! 〝元〟聖女様の宿屋経営物語

紗々置 遼嘉
ファンタジー
アルシャインは真面目な聖女だった。 しかし、神聖力が枯渇して〝偽聖女〟と罵られて国を追い出された。 郊外に館を貰ったアルシャインは、護衛騎士を付けられた。  そして、そこが酒場兼宿屋だと分かると、復活させようと決意した。 そこには戦争孤児もいて、アルシャインはその子達を養うと決める。 アルシャインの食事処兼、宿屋経営の夢がどんどん形になっていく。 そして、孤児達の成長と日常、たまに恋愛がある物語である。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

処理中です...