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2章:冒険者として
懐かしい気配 ☆2☆
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リーズが素早くシュエのもとに駆け寄り、彼女を庇うように前に出る。
その様子に、男性と女性は顔を見合わせて、くすりと微笑んだ。
「あなたもなのね。うふふ。若い子がまぶしいわ」
「ああ、こんな気持ちになるのは久しぶりだ! おや、こっちの子たちも懐かしい気配がする」
女性と男性はシュエとリーズ、そしてエリオットとリアムを見るとしみじみと言葉をこぼす。
「この子たちはともかく、あなた」
「おれ?」
おそらく、シュエとリーズと同じ竜人族の男女。何歳なのかはわからないが、シュエのことを見て『子孫』と口にしていたから、父よりも年上なのだろうと考え、黙り込んだ。
女性はシュエからエリオットに視線を移し、目線を合わせるようにしゃがんだ。澄んだ空色の瞳に見つめられ、エリオットは照れたように顔を赤らめる。
「ヴァンリーフの子ね?」
「えっ? どうしてわかるの?」
エリオットに彼らの記憶はない。なのになぜ、自分の苗字を知っているのだろうと不思議そうな表情を浮かべた。
「それは、わたしたちがあなたのご先祖さまと深い関わりがあったからよ」
女性の言葉がシュエの耳に届き、彼女は納得したように目を伏せる。鉄扇を取り出して、バッと広げて口元を隠すと、リーズの手をぎゅっと握る。
「シュエ?」
「そなたたちが、この世界に広げたのか?」
主語なく尋ねると、その問いの意味を理解しているのか、男性と女性は同時に首を縦に振った。
――この世界の冒険者カードの仕組み。その技術を与えたのは彼らだろうと確信し、こてんと首を傾げる。
「この世界に留まっておるのか?」
「必要があれば呼ばれるだけよ。ゴーレムが倒されても、封印が解けなければ意味がないもの」
そっとエリオットの手を取る女性。男性はリーズの前に立ち、シュエとリーズを交互に眺めてぽんぽんと肩を叩いた。
「なかなかお転婆そうな子だ。苦労しているのではないか?」
「ええ、まぁ、それなりに……」
「認めよった!」
むぅ、と唇を尖らせて不満そうな表情のシュエに、リーズはゆっくりと息を吐く。
「アクアマリンとヴァンリーフの血で、封印が解けたのね。では、問いましょう。あなたはこのアクアマリンの主になるつもりはある?」
エリオットは目を大きく見開いて、助けを求めるようにアルフォンスを振り返る。彼に呼ばれた気がしたのか、すぐにアルフォンスがエリオットのもとに走り出した。
「どういう意味、ですか?」
「そのままの意味よ。……ああ、もしかして、このアクアマリンの効果を知らないで、ここまできたの?」
女性がぎょっとしたように目を丸めると、エリオットは首肯する。
「その少年は、アクアマリンが鍵であったことも、自身の血で封印が解けることも知らなかったよ」
シュエが口を挟むと、男性が「ほう?」と感心したようにつぶやいた。
その様子に、男性と女性は顔を見合わせて、くすりと微笑んだ。
「あなたもなのね。うふふ。若い子がまぶしいわ」
「ああ、こんな気持ちになるのは久しぶりだ! おや、こっちの子たちも懐かしい気配がする」
女性と男性はシュエとリーズ、そしてエリオットとリアムを見るとしみじみと言葉をこぼす。
「この子たちはともかく、あなた」
「おれ?」
おそらく、シュエとリーズと同じ竜人族の男女。何歳なのかはわからないが、シュエのことを見て『子孫』と口にしていたから、父よりも年上なのだろうと考え、黙り込んだ。
女性はシュエからエリオットに視線を移し、目線を合わせるようにしゃがんだ。澄んだ空色の瞳に見つめられ、エリオットは照れたように顔を赤らめる。
「ヴァンリーフの子ね?」
「えっ? どうしてわかるの?」
エリオットに彼らの記憶はない。なのになぜ、自分の苗字を知っているのだろうと不思議そうな表情を浮かべた。
「それは、わたしたちがあなたのご先祖さまと深い関わりがあったからよ」
女性の言葉がシュエの耳に届き、彼女は納得したように目を伏せる。鉄扇を取り出して、バッと広げて口元を隠すと、リーズの手をぎゅっと握る。
「シュエ?」
「そなたたちが、この世界に広げたのか?」
主語なく尋ねると、その問いの意味を理解しているのか、男性と女性は同時に首を縦に振った。
――この世界の冒険者カードの仕組み。その技術を与えたのは彼らだろうと確信し、こてんと首を傾げる。
「この世界に留まっておるのか?」
「必要があれば呼ばれるだけよ。ゴーレムが倒されても、封印が解けなければ意味がないもの」
そっとエリオットの手を取る女性。男性はリーズの前に立ち、シュエとリーズを交互に眺めてぽんぽんと肩を叩いた。
「なかなかお転婆そうな子だ。苦労しているのではないか?」
「ええ、まぁ、それなりに……」
「認めよった!」
むぅ、と唇を尖らせて不満そうな表情のシュエに、リーズはゆっくりと息を吐く。
「アクアマリンとヴァンリーフの血で、封印が解けたのね。では、問いましょう。あなたはこのアクアマリンの主になるつもりはある?」
エリオットは目を大きく見開いて、助けを求めるようにアルフォンスを振り返る。彼に呼ばれた気がしたのか、すぐにアルフォンスがエリオットのもとに走り出した。
「どういう意味、ですか?」
「そのままの意味よ。……ああ、もしかして、このアクアマリンの効果を知らないで、ここまできたの?」
女性がぎょっとしたように目を丸めると、エリオットは首肯する。
「その少年は、アクアマリンが鍵であったことも、自身の血で封印が解けることも知らなかったよ」
シュエが口を挟むと、男性が「ほう?」と感心したようにつぶやいた。
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