竜人族の末っ子皇女の珍☆道☆中

秋月一花

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2章:冒険者として

アクアマリンの主 ☆1☆

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「ならばなぜ、この場に?」

 男性に問いかけられ、シュエはぽんとエリオットの背中を叩く。

 エリオットは一瞬戸惑ったようにアルフォンスを見たが、すぐに男性と女性に顔を向けて口を開いた。

 彼の説明はとても拙かった。だが、伝えようとする必死さは伝わってきた。彼らは興味深そうにエリオットの話に耳を傾け、すべてを聞き終えるとちらっとルシアンを横目で見る。

 視線を感じたのか、肩をビクッと跳ね上げさせた。

「――なるほど、理由はわかった」
「ここにわたしたちの子孫と、深く関わったヴァンリーフの子が一緒に現れるなんて、奇跡だわ!」

 目をキラキラと輝かせて両手を組む女性。

「深く関わった?」
「ええ。この世界に旅をしていたのよ、わたしたち。そのときに、ヴァンリーフの子たちと一緒に冒険したの」

 すっと冒険者カードを取り出した彼らに、シュエとエリオットは顔を見合わせて、そのカードに書かれている情報を眺めた。

 男性の名はレイ、女性の名前はフォン。シュエとリーズには偽名であることがすぐにわかる。

 リーズは彼らの正体に気付いて、ハッとしたように彼らを凝視した。

 男性は片目を閉じて、口元で人差し指を立てる。まるで、『内緒だよ』と言うように。

 シュエはリーズとレイを交互に見て、首を傾げる。

 ひっそりとリーズがシュエに「あとで話します」と耳元でささやいたので、こくりとうなずいた。

「それで、あの、アクアマリンの主になるとは……?」

 アルフォンスが右手をあげて、おずおずとたずねる。

「ああ、そうだったわね。ごめんなさいね、ついつい懐かしくなっちゃって」

 いったいどのくらい前にこの世界を旅したのだろう? とシュエがレイとフォンをじーっと見つめると、彼らはにこにこと笑っていて、なにを考えているのかさっぱりとわからなかった。

「アクアマリンを見せてもらっても、いいかしら?」
「は、はい」

 緊張した面持ちで、エリオットがアクアマリンを取り出した。手のひらに乗せてフォンに見えやすいように差し出すと、彼女は「いい子ね」と彼の頭を撫でて、アクアマリンに視線を落とす。

「ああ、とてもきれいなままね。大事に扱ってくれているのがわかって、嬉しいわ」

 ふわりと花がほころぶように微笑むフォンに、エリオットは顔を赤らめた。彼女の笑顔を間近で見て、シュエはふと自身の母を思い出した。

「ちょっと借りるわね」

 エリオットの手からアクアマリンをひょいと取って、レイを振り返る。包み込むようにアクアマリンを軽く握り、彼の手がフォンの手に重なる。

 フォンたちの指の隙間から、淡い光が満ち――段々と明るさが強くなり、周囲を白い光で包み込んだ。
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